広大な海を舞台に活躍する海上保安庁を紹介します(関西空港海上保安航空基地)

こんにちは!たびこふれライターの中尾です。

海上保安庁の見学会に参加する機会に恵まれ行ってきました。

海上保安庁を舞台にした映画「海猿」はご存知の方も多いはず。

映画のおかげで海上保安庁の業務内容をかなり知ることができましたが、まだまだどんな装備でどんな隊員がいらっしゃるのか知られていないのも事実です。

見学会ではぜひSNS等を通じて海上保安庁を紹介して欲しいと依頼を受けましたので、今回配布された資料を基に海上保安庁を紹介していきましょう!

目次

海上保安庁・水上警察・海上自衛隊の違いとは?

僕自身、この違いが分かっていませんでした。おそらく皆さんもそうではないでしょうか。
ざっくり言うと、水上警察は警備範囲が港湾地区や河川や湖・沼など(近く)、海上保安庁は日本の外洋や日本沿岸までの広範囲(遠く)、そして海上自衛隊は防衛省の管轄で遠くは海外まで活動範囲が及びます。また、水上警察や海上保安庁は逮捕権があるものの、海上自衛隊は逮捕権がないことも違いとして挙げられます。

海上保安庁とは?

海上の警察と消防などの様々な役割を担っています。

広大な海に囲まれた海洋国家である日本。貿易や漁業により恵みを得る一方、海難や密輸・密航といった海上犯罪、そして領土や海洋資源の帰属について国家間の主権主張の場となるなど、海上において様々な事案が発生しています。

海上保安庁は昭和23年5月に発足し、以来、国民が安心して海を利用し、様々な恩恵を享受できるよう関係国との連携・協力関係の強化を図りつつ、海上における犯罪の取締り、領海警備、海難救助、環境保全、災害対応、海洋調査、船舶の航行安全などの活動に日夜従事しています(配布された資料より引用)

海上保安庁 帽子

海上保安庁が守るエリア

日本の領土は約38万平方キロメートルで、世界61位の面積です。しかし、主権が及ぶ領域、漁業や天然資源開発を自由に行える排他的経済水域(EEZ)は約447万平方キロメートルと領土の約12倍で世界でも10位以内の面積を誇ります。海上保安庁はこの広大なエリアを11の管区に分けて24時間365日守り続けています(配布された資料より引用)

海上保安庁 資料

海上保安庁の任務は?

海上の安全および治安の確保を図ることです。

  1. 領海・排他的経済水域(EEZ)を守る。
  2. 治安の確保。
  3. 生命を救う。
  4. 青い海を守る。
  5. 災害に備える。
  6. 海を知る。
  7. 海上交通の安全を守る。
  8. 海をつなぐ。

上記8つの柱を基本として職員一丸となって任務を遂行しています。

海上保安官になるには?

海上保安大学校、海上保安学校という選択肢があります。

海上保安官には、巡視船艇での勤務などの海上勤務だけでなく、本庁や管区本部などでの陸上における勤務や海外での勤務など、様々な活躍の場があります。このような舞台で活躍する海上保安官には、幅広い知識や技能だけでなく、特殊な業務を行うための専門的な能力も求められるため、海上保安官を養成するための教育機関での学びが必要となります。

なお、海上保安大学校や海上保安学校に入学と同時に国家公務員としての身分が与えられ、海上保安大学校および海上保安学校に在学中は給与が支給されています。

海上保安大学校(広島県呉市):幹部海上保安官になる

  • 本科:受験資格は高校卒業後2年未満まで。期間は4年9ヵ月間です。給与は毎月約15万円。
  • 初任科:受験資格は大学卒業後30歳未満まで。期間は2年間です。給与は毎月約18万円。

海上保安学校(京都府舞鶴市):現場第一線の海上保安官になる

  • 受験資格は高校卒業後12年未満まで。期間は1~2年間です。※海上保安大学校、海上保安学校共に全寮制です。

海上保安庁が保有する船艇・航空機

船艇(2024年4月1日現在)475隻

海上保安庁 船艇
<写真は石垣港で撮影したPL型「あぐに」>

■巡視船:146隻

  • PLH型(ヘリコプター搭載型):20隻
  • PL型(3,500トン型):55隻
  • PM型(500トン型):35隻
  • PS型(180トン型):35隻
  • FL型:1隻

■巡視艇:239隻

  • PC型(30メートル型):70隻
  • CL型(20メートル型):169隻

●特殊警備救難艇:67隻

  • 放射能調査艇:3隻
  • 警備艇:2隻
  • 監視取締艇:62隻

■測量船:15隻

  • HL型:7隻
  • HS型:8隻

■灯台見回り船:5

  • LM型:2隻
  • LS型:3隻

■教育業務用船:3隻

航空機(2024年4月1日現在)97機

海上保安庁 航空機

■航空機:34機

  • ガルフV:2機
  • ファルコン2000:6機
  • ボンバル300:8機
  • サーブ340:4機
  • ビーチ350:10機
  • セスナ172:4機

■無操縦者航空機(リース):3機

  • シーガーディアン:3機

■ヘリコプター:60機

  • スーパーピューマ225:15機
  • スーパーピューマ332:2機
  • アグスタ139:21機
  • シコルスキー76C:2機
  • シコルスキー76D:13機
  • ベル412:3機
  • ベル505:4機

第五管区海上保安本部

海上保安庁 資料

海上保安庁が管轄する地域は、全部で11のエリアで分けられています。北は北海道から南は沖縄までとても広い範囲です。

海上保安庁 資料

その中で第五管区海上保安本部は大阪、滋賀、兵庫(日本海側を除く)、和歌山、徳島および高知各府県の区域ならびにその沿岸水域を管轄し、海上における治安の維持、交通の安全確保、海難の救助などを実施しています。

関西空港海上保安航空基地

  • 所属機:サーブ340、スーパーピューマ225
  • 所属船艇:CLさのゆり、CLそらかぜ

IMG_1866.jpeg

関西空港海上保安航空基地は、関西国際空港の北側に位置し、関空展望ホールの隣にあります。

IMG_1865.jpeg

国内有数の国際空港である関西国際空港周辺海域の治安と安全を確保する任務を担うとともに、保有する航空機で広大な海の安全確保と、機動救難士による迅速な海難救助対応にあたっています。

関西空港海上保安航空基地の見学

前置きが長くなりました。海上保安庁のことを少し知っていただいたところで基地の見学へ進みましょう。

機動救難士によるデモンストレーションと装備の紹介

まずは動画をご覧ください。機動救難士による降下のデモンストレーションです。これが映画「海猿」で紹介された機動救難士です。

海上保安庁 機動救難士

機動救難士のお二人が常に装備している備品を紹介してくれました。

海上保安庁 機動救難士

こちらは子どもを運搬する担架。

海上保安庁 機動救難士

これは海中にいる救難者の呼吸を確保するためのマスクです。これだけの装備を担いで救難現場へ向かっているのです。

ヘリコプター

海上保安庁 ヘリコプター

こちらはヘリコプターの「スーパーピューマ225」です。中型回転翼航空機の部類に入ります。

  • 全長:19.50m

  • 全高:4.97m
  • 自重:6,762kg

です。

海上保安庁 ヘリコプター

鼻先の下に付いている黒いドームは地上を撮影しながら救難船や救難者を探し出す装置です。

海上保安庁 ヘリコプター

MHは「Medium Helicopter」の略で中型回転翼航空機です。したがってMHの697号機という意味となります。

海上保安庁 ヘリコプター

側面には透明の窓枠があります。これはバブルウインドウと言って、ここに顔を入れて上下左右を監視するために使われています。

海上保安庁 ヘリコプター

サイドドアにはウィンチが備え付けられています。これは機動救難士を吊り下げたり、吊り上げたりする時に使います。

海上保安庁 ヘリコプター

コックピットです。ヘリコプターですが、コックピットは完全にデジタル化されています。

海上保安庁 ヘリコプター

旅客機と同規模のデジタル化されたコックピットです。現在の状況が瞬時に把握できるようになっています。

海上保安庁 ヘリコプター

ヘリコプターの内部です。座席は折り畳み式です。救難者を横に数人寝かせることができます。

海上保安庁 ヘリコプター

いつでも出勤できるように整備も万全です。24時間365日フル回転です。

海上保安庁 ヘリコプター

MH918は「シコルスキー76D」です。整備のため、当基地に飛来していました。

海上保安庁 ヘリコプター

機内はスーパーピューマ225より狭いのが特徴です。

海上保安庁 ヘリコプター

こちらも整備のため飛来していた「スーパーピューマ225」です。

トーイングカー

海上保安庁 トーイングカー

飛行機やヘリコプターを地上で移動させる際にトーイングカーを使用します。このトーイングカーは「みみずく」号です!

航空機

海上保安庁 航空機

こちらは航空機の「MAサーブ340」です。機体番号はJA953Aです。愛称は「はやぶさ」。中型回転翼航空機の部類に入ります。MAとは、「Medium Airplane」の略で中型飛行機のことです。

  • 全長:19.73m
  • 全幅:22.75m
  • 全高:7.00m ●自重:8,643kg

です。

海上保安庁 航空機

後方に駐機しているのは機体番号JA952A、愛称は「うみつばめ」です。JA953Aと同じ「MAサーブ340」です。

海上保安庁 航空機

「MAサーブ340」を後方から撮影。後方に大きなドアが付いているのがお分かりでしょうか。

海上保安庁 航空機

「MAサーブ340」を真後ろから撮影。なかなかこの角度で飛行機を見ることがありませんね。

海上保安庁 航空機

前方のJA953Aの下に大きなドアがありますね。

海上保安庁 航空機

機内から見るとこんな感じです。

海上保安庁 航空機

機内最後方です。グレーの筒状のものは救難用のブイ、左の赤いところを開けてここからブイを投下します。

海上保安庁 航空機

投下用のブイです。いくつかタイプがあるそうです。

海上保安庁 航空機

「MAサーブ340」のコックピットです。操縦士は機長と副操縦士の2名運航です。少し古い機体なので、アナログの計器も目立ちます。

海上保安庁 航空機

横3列の座席が並びます。「MAサーブ340」はその名の通りスウェーデンの自動車メーカー「サーブ」社が製造していました(現在は製造していません)。日本の航空会社でも近年まで使用していました。

海上保安庁 航空機

座席には旅客機同様に安全のしおりが設置されていました。

海上保安庁 航空機

長距離を飛ぶこともありますので、トイレも設置されています。

関西空港海上保安航空基地を見学しての感想

海上保安庁 機動救難士

映画「海猿」の公開で脚光を浴びた海上保安庁。2024年1月2日に羽田空港で不慮な事故が起きましたが、日本の海を守る最前線の舞台として活躍しています。特に機動救難士は自らの命を削ってまで、過酷な現場で活躍しているのは凄いと思いました。何よりも男前の精鋭ぞろいです。もちろん彼らのお世話にならないように自分自身で注意が必要ですが、災害時は真っ先に駆けつけてくれる彼らには感謝しかありませんね。このような見学の機会をいただけた海上保安庁には感謝です。

目指せ!海上保安官

『海上保安官になるには?』で紹介しましたが再度下記にアクセスしてご確認ください。

海上保安庁インフォメーション

海上保安庁 航空機

※当記事は2023年10月21日に見学した時のものです。また当記事は見学の際に配布された資料を一部引用して作成しています。

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中尾勝

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