日本アルプスとはどこのこと? 北、中央、南の特徴や山の一覧

日本アルプス 山

「日本アルプスという言葉は聞いたことがあるけれど、詳しいことはよく知らない」という人もいるのではないでしょうか。

日本アルプスは、本州中央部にある「北アルプス(飛騨山脈)」「南アルプス(赤石山脈)」「中央アルプス(木曽山脈)」の総称。日本の山の魅力が詰まった日本アルプスについて、それぞれの特徴を交えて解説します。

目次

<1. 日本アルプスとは >

<2. 北アルプス(飛騨山脈)の場所や特徴>

<3. 南アルプス(赤石山脈)の場所や特徴>

<4. 中央アルプス(木曽山脈)の場所や特徴>

1. 日本アルプスとは

飛騨山脈
<飛騨山脈/出典元:写真AC

本州の中央部に位置する日本アルプスは、「北アルプス(飛騨山脈)」「南アルプス(赤石山脈)」「中央アルプス(木曽山脈)」の3つの山脈の総称です。

国土が山がちな日本においても、3,000m級の山々が連なるのはこの日本アルプスだけ。それゆえ「日本列島の屋根」とも呼ばれ、多くの登山者を惹きつけています。

なぜ「アルプス」? 名前の由来

日本アルプスは、なぜ「アルプス」という呼称が付いたのでしょうか。もともと「アルプス」とは、フランス、スイス、オーストリアなど中央ヨーロッパ7か国にまたがるアルプス山脈(ヨーロッパアルプス)を指しています。

「アルプス」は高山の代名詞になっていることから、いつしかヨーロッパ以外でもアルプス山脈に似た景観をもつ山脈は「アルプス」の名で呼ばれるように。日本アルプスも、岩峰や雪渓の多いヨーロッパアルプスに似た景観が見られることから、そう呼ばれるようになりました。

最初に「日本アルプス」という呼称を使ったのは、イギリス人冶金技師のウィリアム・ゴーランドだといわれています。彼は1881年刊行の『中部および北方日本旅行者案内』において、飛騨山脈について「日本アルプスと称してしかるべきところであろう」と記しました。

アルプス山脈
<アルプス山脈(スイス)/出典元:写真AC

日本アルプスの魅力とは

「日本の屋根」ともいわれるだけあって、日本アルプスには標高が高く、形の美しい山々が集まっています。「日本の山岳標高トップ100」のうち、なんと92座を日本アルプスの山々が占めているのです。

険しい岩山に、美しい稜線、白く輝く雪渓(せっけい)、可憐な高山植物など、多彩な景観が楽しめるのも日本アルプスの魅力。国立公園や日本ジオパーク、ユネスコエコパークなど、さまざまな認定を受けている日本アルプスとその周辺は、日本が世界に誇る山岳地帯といえるでしょう。

登山を始めた人は「いつか日本アルプスを登りたい」と願い、ベテランは何度も足しげく通ってしまう、日本アルプスにはそんな吸引力があるのです。

続いては、「北アルプス(飛騨山脈)」「南アルプス(赤石山脈)」「中央アルプス(木曽山脈)」について、それぞれの場所や特徴などをお伝えします。

1. 北アルプス(飛騨山脈)の場所や特徴

白馬岳
<白馬岳/出典元:写真AC

まずは北アルプスの場所や特徴についてです。

北アルプスの場所

その名からもわかる通り、北アルプスは日本アルプスの中で最も北に位置する山脈で、富山県・岐阜県・長野県の県境付近に連なっています。「北アルプス」というのはあくまでも通称。正式名称は「飛騨山脈」といいます。

北アルプスの特徴

南北に150km、東西25kmにおよぶ北アルプスは、その大部分が「中部山岳国立公園」に指定されており、観光開発も盛んなエリア。3,000mを超える高山は日本に21座ありますが、そのうち10座が北アルプスに集中しています。

北アルプスはおもに「槍ヶ岳・穂高連峰」「立山・白馬岳・剣岳(剱岳)」「御嶽山・乗鞍岳」の3つのエリアに分けられ、槍ヶ岳や穂高岳、剱岳など、登山者を惹きつけてやまない名山が揃っています。

冬は、日本海の暖かい海流が水蒸気となって大雪が降る北アルプス。登山シーズンは中央アルプス・南アルプスより短いですが、ふもとには温泉やスキー場も多いため、1年中いつ訪れても観光やウィンタースポーツを楽しむことができます。

北アルプスの山

北アルプスの最高峰は、標高:3,190mの奥穂高岳。「日本百名山」にも選定されている奥穂高岳・槍ヶ岳・乗鞍岳・立山・剱岳・水晶岳・白馬岳・薬師岳・鷲羽岳・笠ヶ岳・鹿島槍ヶ岳・常念岳・五竜岳・焼岳の14座のほかにも、主要な山として次のようなものがあります。

  • 奥穂高岳(標高:3,190m)
  • 槍ヶ岳(やりがたけ・標高:3,180m)
  • ジャンダルム(標高:3,163m)
  • 乗鞍岳(のりくらだけ・標高:3,025m)
  • 立山(たてやま・標高:3,015m)
  • 剱岳(つるぎだけ・標高:2,999m)
  • 水晶岳(標高:2,986m)
  • 白馬岳(標高:2,932m)
  • 薬師岳(標高:2,926m)
  • 野口五郎岳(標高:2,924m)
  • 鷲羽岳(わしばだけ・標高:2,924m)
  • 笠ヶ岳(標高:2,898m)
  • 鹿島槍ヶ岳(標高:2,889m)
  • 常念岳(標高:2,857m)
  • 三俣蓮華岳(みつまたれんげだけ・標高:2,841m)
  • 黒部五郎岳(標高:2,839m)
  • 針ノ木岳(標高:2,821m)
  • 五竜岳(標高:2,814m)
  • 燕岳(つばくろだけ・標高:2,762m)
  • 唐松岳(標高:2,695m)
  • 蝶ヶ岳(標高:2,677m)
  • 爺ヶ岳(じいがたけ・標高:2,670m)
  • 餓鬼岳(がきだけ・標高:2,647m)
  • 烏帽子岳(えぼしだけ・標高:2,628m)
  • 焼岳(やけだけ・標高:2,444m)
  • 鍬崎山(くわさきやま・標高:2,089m)
  • 赤牛岳(標高:2,864m)

槍ヶ岳
<槍ヶ岳/出典元:写真AC

北アルプスの一番人気は、その名の通り、天を突くようにとがった穂先が特徴的な槍ヶ岳。北アルプスの中でも異彩を放つ山容から、登山者憧れの存在となっており、ポツンと祠が立つ山頂からは、360度のパノラマが広がります。

ただし、槍ヶ岳は中級~上級者向けなので、はじめての北アルプスなら唐松岳がおすすめ。白馬村から出ているゴンドラとリフトを2本乗り継ぐと、標高1,830mの「八方池山荘」まで行けるため、アルプス初心者でも森林限界を超えた天空の世界へとたどり着くことができます。高山植物に彩られる夏、紅葉の秋など、四季折々の風景に魅了されるはず。

3. 南アルプス(赤石山脈)の場所や特徴

南アルプスの場所や特徴です。

南アルプスの場所

日本アルプスの最南に位置するのが「南アルプス」。正式名称を「赤石山脈」といい、長野県・山梨県・静岡県の県境部に広がっています。

南北120mにおよぶ南アルプスは、甲斐駒ヶ岳をピークとした「北部山脈」、白峰三山を中心とした「東側稜線」、狭義の赤石山脈にあたり、赤石岳や聖岳などの3,000m峰のある「西側稜線」の3つに分けられます。

赤石岳
<赤石岳/出典元:写真AC

南アルプスの特徴

太平洋側に位置しているため、北アルプスに比べると冬の積雪が少なく、晴天率が高いなど、穏やかな気象に恵まれた南アルプス。

3,000m超の9座が広範囲に連なり、大きく深い山脈が広がる南アルプスは、確かな体力とプランニングを兼ね備えた登山者にしか制覇できない山域。樹林帯の中をひたすら登ることが多いですが、そのぶん視界が開けたときの感動はひとしおです。

標高2,700m前後まで森林が広がり、豊かな自然に恵まれているのも南アルプスの魅力。特産種の「キタダケソウ」をはじめとする希少な高山植物が生息しており、季節によっては一面の花畑も楽しめます。

南アルプスの山

南アルプスには、甲斐駒ヶ岳・鳳凰三山・北岳・間ノ岳・仙丈ヶ岳・塩見岳・荒川岳・赤石岳・聖岳・光岳の14座の「日本百名山」があります。南アルプスの最高峰は、富士山に次いで日本で2番目に高い北岳。そのほかにも個性豊かな山々が揃っています。

  • 甲斐駒が岳(標高:2,967m)
  • 観音岳(標高:2,840m)
  • 北岳(標高:3,193m)
  • 間ノ岳(標高:3,190m)
  • 仙丈ヶ岳(標高:3,033m)
  • 塩見岳(標高:3,052m)
  • 荒川東岳(標高:3,141m)、
  • 赤石岳(標高:3,120m)
  • 聖岳(ひじりだけ・標高:3,013m)
  • 光岳(てかりだけ・標高:2,591m)
  • 鋸岳(のこぎりだけ・標高:2,685m)
  • 櫛形山(標高:2,052m)
  • 農鳥岳(標高:3,025m)
  • 笊ヶ岳(ざるがたけ・標高:2,629m)
  • 上河内岳(標高:2,803m)
  • 池口岳(標高:2,392m)
  • 大無間岳(だいむげんざん・標高:2,329m)
  • アサヨ峰(標高:2,799m)
  • 茶臼岳(標高:2,604m)
  • 奥茶臼山(標高:2,474m)

南アルプスで人気の山は、やはり日本第2位の高さを誇る北岳。高山植物の宝庫であることから「花の百名山」にも認定されています。富士山の眺望も抜群で、ほとんど同じ目線で正面に見る富士山は格別です。

北岳
<北岳/出典元:写真AC

4. 中央アルプス(木曽山脈)の場所や特徴

空木岳
<空木岳/出典元:写真AC

中央アルプスの場所や特徴です。

中央アルプスの場所

北アルプスと南アルプスのあいだ、木曽川と天竜川に挟まれて南北約100kmにわたって走る山並みが中央アルプス。長野県独自の山脈で、正式には「木曽山脈」といいます。

木曽駒ヶ岳
<木曽駒ヶ岳/出典元:写真AC

最高峰は3,000mにわずかに満たない木曽駒ヶ岳で、木曽駒ヶ岳を中心に2,700~2,800mの山々が連なっています。

中央アルプスの特徴

千畳敷カール
<千畳敷カール/出典元:写真AC

北アルプスと南アルプスに比べると規模は小さめながらも、急峻で切り立った地形の中央アルプスには、ダイナミックな岩峰に千畳敷にと、変化に富んだアルプスの魅力が詰まっています。

中央アルプスの地形の特徴として挙げられるのが、すり鉢状にえぐられたような「カール地形」。夏になるとカールには高山植物が咲き乱れ、特に有名な「千畳敷カール」は観光地としても高い人気を誇っています。

中央アルプスの山

中央アルプス(木曽山脈)には、「日本百名山」に選定されている木曽駒ヶ岳・空木岳・恵那山をはじめ、以下のような山々が連なっています。

  • 木曽駒ヶ岳(標高:2,956m)
  • 宝剣岳(標高:2,931m)
  • 空木岳(うつぎだけ・標高:2,864m)
  • 三ノ沢岳(標高:2,847m)
  • 南駒ヶ岳(標高:2,841m)
  • 熊沢岳(標高:2,778m)
  • 仙涯嶺(せんがいれい・標高:2,734m)
  • 麦草岳(標高:2,733m)
  • 将棊頭山(しょうぎがしらやま・標高:2,730m)
  • 檜尾岳(ひのきおだけ・標高:2,728m)
  • 東川岳(標高:2,671m)
  • 越百山(こすもやま・標高:2,614m)
  • 大棚入山(おおだないりやま・標高:2,375m)
  • 安平路山(あんぺいじやま・標高:2,363m)
  • 経ヶ岳(きょうがたけ・標高:2,296m)
  • 恵那山(えなさん・標高:2,191m)

中央アルプス最高峰の木曽駒ケ岳は、高低差日本一のロープウェイで一気に標高2,600m地点までのぼれるので、初心者でも千畳敷カールのダイナミックな景観を楽しむことができます。

北、南、中央と、それぞれに個性あふれる山々が連なり、日本の山の魅力が凝縮された日本アルプス。天候やルート、装備などには十分注意しながら、心洗われる山歩きを楽しんでください。

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