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小さなキャロットアイランド!沖縄の離島・津堅島に行ってみよう
沖縄本島から行ける離島は数多くあります。慶良間諸島や久米島など、観光客にも人気の離島も多いのですが、逆に観光地化されずにひっそりと沖縄の原風景を残す離島もまだあるのです。沖縄本島中部のうるま市、勝連半島の沖に浮かぶ津堅島(つけんじま)もそんな島のひとつです。別名キャロットアイランドと呼ばれる、にんじん畑が広がるのどかな島を訪ねてみましょう。
目次
知ってる?津堅島
沖縄でも人気のドライブルートとして有名なのは「海中道路」。文字通り海の真ん中を約5kmも貫く海中道路の先には、離島である浜比嘉島、平安座島、宮城島、伊計島があります。離島ならではの美しい海の景色、それが手軽に車で行けるということから海中道路を訪れる人は少なくありません。
その海中道路のあるうるま市には、車では行けない離島がまだ他にもあります。それが「津堅島」です。キャロットアイランドの別名がある津堅島は、島の面積の大半をにんじん畑が占めるというのどかな島。主な産業は農業と漁業であり、観光地化されていないためかその存在を知らない方も多いのではないでしょうか。初めて沖縄を訪れる人にとっては、目的地にならないようなマイナーな存在の島と言っても過言ではありません。
しかしマイナーだからゆえにごった返すような観光客もいない津堅島は、ゆっくりとした島時間の流れる貴重な離島だったりもするのです。周囲は約7kmで、一番高い標高が39mという平らでのっぺりした形の津堅島。自転車があれば島の隅々まで行けてしまうようなスケール感です。人口は500人弱ほどで、人が少ないからこそ温かな触れ合いを求めるにはもってこいかも。
津堅島へと渡るには?
津堅島へはフェリーに乗らないと行けません。フェリー乗り場は勝連半島の先端近く、海中道路から約10分ほどの距離にある平敷屋港です。現実的なアクセス方法としてはレンタカーで平敷屋港まで行くのがベターです。港には無料の駐車場がありますので、津堅島滞在中は駐車場に置いておけば問題なしです。
レンタカーではなくバスでのアクセスも可能で、那覇バスターミナルから27番に乗れば、所要時間は2時間ほどで最寄りの平敷屋バス停までは辿り着けます。ただしバス停から港までは徒歩約15分ほどかかりますのでご注意を。
津堅島行きのフェリーは平敷屋港発が7:30、9:00、11:00、14:00、17:00の1日5本。津堅島までの所要時間は約30分ですが、1便と5便は所要時間15分の高速船での運航となっています。なお復路は8:00、10:00、12:00、15:00、17:30の同じく5本で、日帰りが十分可能な本数が確保されています。
運賃はフェリーが往復で大人1,240円、高速船は往復大人1,530円となっていて良心的な運賃といえますね。先ほども少し触れましたが、島はそれほど大きくないため移動の主流はレンタル自転車。ただアップダウンがきついエリアも少しだけあるので、どうしても車で移動したいという方はフェリーにレンタカーを積んで島に渡りましょう。航送運賃は4~5mの車で往復13,000円で、車を載せる際には予約が必要ですので必ず電話で連絡を忘れずに。
フェリーは思ったよりも小さな船体で、車は10台も載らないほどの車両甲板です。乗船はちょっと面白くて、車両乗り入れ口から人も歩いて入ります。客室は1階、2階に設けられていて、3階部分はオープンテラスになっていてベンチもいくつか置かれています。
風を感じつつ、浜比嘉島や平安座島などの島陰を見ながらの航路は気持ちがいいのでおすすめ。ちなみに出航時からすでに目的地の津堅島の姿は見えています。退屈を感じる前に島には着いてしまうことでしょう。
津堅島をめぐるには?注意点も
津堅島の南側に位置する津堅港に入港すれば、いよいよ行動開始です。島内を観光するにはまず自転車を確保しましょう。港から徒歩5分のあずま商店へ向かい、1日500円のレンタル自転車をゲットしてください。ちなみに津堅島にはこのあずま商店くらいしか目ぼしいお店はありません。自販機は集落内にはいくつかありますが、菓子などの食料品はここで手に入れましょう。
そして、もし津堅島で昼食を考えている人は気をつけないといけません。離島あるあるなのですが、予備知識がないと昼食難民と化してしまう恐れがあるのです。かくいう私も危うく昼食を取れなくなるところでした。
ネットで調べていると、島内には飲食店の存在が記されています。しかしその店舗は2023年1月現在、すでに閉業していて利用することができません。そもそもネットに情報が少ない津堅島では、それ以外に昼食を取れるような店舗の存在が記されていないのです。
島のメインとなる宿泊施設「民宿神谷荘」では宿泊者以外も食堂の利用ができるのですが、気を付けないと閑散期の冬季は休業状態になります。その代わりにフェリー入港時に港で出張販売でお弁当を販売してくれているので、これをゲットできれば問題はありません。500円という値段に似合わないボリューム満点のお弁当はとても美味しいのでおすすめしたいところです。
が、数量は無尽蔵というわけではないので、工事関係者などまとまった数の人が購入してしまったら売り切れという事態も考えられます。危ない橋を渡りたくないのなら、フェリーに乗る前にお弁当などの食料を買ってから行く方が安全策といえるかもしれません。
島内の観光スポットに行ってみよう
さあいよいよ島内の散策開始です。まずは港からも近いホートゥガーへ行ってみましょう。ちなみにホートゥガーとは沖縄のことばで鳩の井戸という意味。その昔、日照りが続き水不足だった時のこと。いつも鳩だけが羽根を濡らしていることを不思議に思った島民が、鳩のあとをつけてみると湧き水があったことから名付けられたのだとか。水不足に悩まされがちな離島ですが、このホートゥガーは島民の命の水として長い間使われてきたのです。
ホートゥガーのある洞窟への入口手前にはフォトジェニックなスポットもあるので要チェックです。にんじんの形をしたベンチと離島ならではの美しい海がバックに広がっています。
そこから海に向かって階段を下りればホートゥガーがあります。
崖の下には目の前は海だというのに、不思議と真水が湧き出ています。生活を支えてきた水は今は島の観光資源として活躍しているのです。また、このホートゥガーのすぐ横にはマカーという名の小さな祠があります。男女が抱き合うような姿の鍾乳石が置かれており、子孫繁栄の神とされ、子宝にご利益があるということです。
ホートゥガーから島で一番立派な建物、津堅小中学校を経由して向かうのは津堅島のシンボル的な存在です。津堅島の名産品、ニンジンをかたどった展望台です。沖縄の旅行雑誌に津堅島が紹介される際には必ずと言っていいほどここの写真が使われています。
ニンジンの展望台はもちろん登ることができ、最上部からは津堅島を一望できます。このあたりが島でも一番標高の高いポイントなので景色の良さは抜群です。ぜひじっくりと眺めを楽しみましょう。
ニンジンの展望台からも見えた島の西側にある美しい砂浜は、およそ1kmにもおよぶロングビーチ、トゥマイ浜です。夏になるとこの浜で海遊びを楽しむために観光客が訪れるのです。
マリンスポーツ関係も充実、バーベキューを楽しめる施設もありますので、県内屈指ともいわれる透明度抜群の海を堪能しましょう。離島ならではの透き通った海は訪れた人の心を癒すこと間違いなし。5月から10月ごろにかけては遊泳期間となっており、クラゲ除けのネットも設置されます。
さらに島の西側を北へと向かえば沖縄の三線の始祖とされる、赤犬子(阿嘉之子・アカインコ)の生誕の地とされるシヌグガマがあります。赤犬子は琉球王朝第二尚氏、尚真王に仕えた人物で、三線の始祖とされている人物。沖縄出身アーティストも当たり前のように音楽チャートを賑わすようになりましたが、その源流がこの津堅島だったのです。
シヌグガマはホートゥガーのように海沿いの洞窟であり、近年石碑や案内板が整備されて観光客にも分かりやすいスポットになりました。シヌグガマに通じる道路には黒木(くるち)と呼ばれる三線の棹に使われる黒檀も植樹されていて、民謡のふるさとといった風情を醸し出しています。そしてこのシヌグガマ周辺の海もまた格別の美しさですのでお見逃しなく。
島の最北端にある浜はヤジリ浜で、こちらも遠浅の美しい海が広がっています。目の前のアフ岩までは潮が引けば歩いて渡れる時もあるそうです。観光客もほとんどいない浜なのでゆっくりと絶景を独り占めしてみてはどうでしょうか。
そして島の面積の大半を占めるのはにんじん畑。島の真ん中あたりは道の両脇を畑が広がるキャロットロードと呼ばれる風景がずっと続きます。のどかなにんじん畑の中をサイクリングしてみましょう。
ちなみに、島内にはにんじんをモチーフにしたものが色々ありますので、いくつのにんじんを探し出せるかチャレンジしても楽しいかもしれませんね。
島の南東部には旧津堅島灯台跡があります。レンガ造りの土台を残すのみになっていますが、この灯台が沖縄県で初めて建てられた灯台なのだそう。高さは12mを誇ったとされていますが、戦争で破壊されてしまい今にいたっています。なお、現在の津堅島灯台はニンジン展望台の近くにあります。白亜の灯台で、青空に映える美しい灯台です。
漁港では少し不思議な光景が見られるので行ってみてください。いくつものプールのようなものが並んでいることに気付くでしょう。中を覗いてみるとブクブクと泡を噴き出すエアレーションも確認できますが、これはもずくの養殖用プールなのです。もずくは津堅島の名産物のひとつでもあるのです。
津堅島を宿泊で楽しもうというのであれば、そのベースキャンプとしておすすめは先ほども紹介した「民宿神谷荘」です。津堅島のメインビーチであるトゥマイ浜の南端に面しており、夏のビーチをとことん楽しみたい方にはこれ以上のロケーションはありません。ちなみに神谷荘の目の前の浜には波平岩という名の1本だけ木が生えたお茶目な岩もあります。
癒しに満ちた静かな離島へ
沖縄観光の定番コースには入らないであろう存在の津堅島。
離島らしい静かで美しい沖縄の海や、ゆったりとした島時間を味わったり、温もりに満ちた島民たちとの触れ合いを求める人にはもってこい。色々不便さもある島ですが、逆にそれこそが離島らしさであり、都会の生活に疲れた人には逆に新鮮に写るものなのです。
そんな魅力に満ちた津堅島、一度は訪ねてみてください。
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bow
- 最北端、最南端などの端っこスポットや、日本一〇〇なスポットなど、どちらかというとニッチな観光スポットやB級スポットが好きです。