根強い人気の誇る真田幸村ゆかりの九度山と高野山参詣の拠点だった高野口の見どころを紹介します!

和歌山県の九度山と言えば、真田幸村親子が蟄居していた場所として古くから有名で、いろんな物語で取り上げられていますが、やはり2016年の大河ドラマ「真田丸」により一躍観光地として脚光を浴びました。

大河ドラマ放映から7年が経過しましたが、今でも九度山は観光地として見どころが豊富です。今回は九度山駅から九度山の見どころを廻った後、かつての高野山参詣の拠点だった高野口まで歩いてみました。

目次

九度山までのアクセス

南海高野線九度山駅

九度山までのアクセスを紹介しましょう。一般的には南海高野線九度山駅で下車します。九度山駅は特急列車が止まらないので注意しましょう。通常は橋本駅で普通列車や観光列車の天空に乗ることになります。なお九度山駅から見どころまでは徒歩10分以内です。

JR高野口駅

少し変わったアクセスとしてJR高野口駅というのがあります。今回は行きに九度山駅で降りて帰りに高野口駅から帰りました。ここは南海高野線が無かったころの高野山に向かう入口だった駅です。駅から九度山の入り口にあたる九度山大橋まで徒歩25分くらいかかります。

なお、九度山は狭い道もあるので、車を使う場合は道の駅柿の郷くどやまの駐車場もしくは道路沿いにある町営駐車場に車を止めて見どころを回ると便利です。京奈和自動車道の高野口ICから南方向に8分程度で道の駅に行けます。

九度山の魅力1:休憩所や抜け穴のある九度山の街並み

九度山

九度山の見どころは町並みに点在するいくつかのスポットです。九度山駅から丹生川を渡る方法もありますが、できれば橋を渡らずに北側の道である真田のみち沿いに歩くのが良いでしょう。

真田の道は道標がしっかりとしているので、迷うことなく気になるスポットに行けます。メインの見どころの前には真田いこい茶屋・まちなか休憩所があり、その先の角。対面石をの前を左に曲がったところには、旧萱野家・大石順教尼の記念館がああり、九度山町の指定文化財になっています。

真田古墳

対面石の右方向を直進し、次の道を左に曲がったところに真田古墳というのがあります。本来は6世紀ごろの古墳があったとされますが、それ以上に真田の抜け穴伝説の井戸が有名です。

伝承ではこの抜け穴の先につながっているのが、大阪の天王寺とされており、真偽ははともかくとして真田幸村への敬愛を持つ地元の人の熱い思いが伝わりました。

九度山の魅力2:九度山・真田ミュージアム

九度山・真田ミュージアム

九度山には真田三代が幽閉された場所として有名ですが、そのことを知るのに最も良いのが、九度山・真田ミュージアムです。2016年に大河ドラマの舞台になったことで、今まで以上に注目を集めた九度山ですが、ミュージアムではNHKの協力もあって様々な映像があり、解りやすく紹介されています。

九度山・真田ミュージアム

中に入ると、エントランスにいきなり真田昌幸・幸村・大助の三代の像が立っています。博物館は上田時代、九度山時代、大坂の陣、九度山異聞、真田伝説、十勇士伝説と別れており、また企画展示室があります。訪問時には刀に関する企画展が行われていました。

>>九度山・真田ミュージアムの公式サイトはこちら

九度山の魅力3:真田庵(善名称院)

真田庵

真田庵の正式名は善名称院です。関ヶ原の戦いで西軍についたために九度山に幽閉・蟄居されることとなり真田昌幸・幸村がここに住んだといわれています。また大助が生まれた場所のようです。幸村の父・昌幸はこの地で1611年に亡くなりました。

真田庵

昌幸の死後、幸村は父の供養のために最初は森の中に宝篋印塔を建てたそうです。幸村と子の大助は、その後大坂の陣に参戦しその場で亡くなり、建物もいつの間にか消滅したようです。その後1741年になって大安上人という人が、真田の住んでいた伝承の残るこの場所に、地蔵菩薩と堂を建てました。それが現在の真田庵です。

大安上人がここに堂を立てたエピソードとして、上人が森の中にあった幸村の宝篋印塔の前に来たときに、本尊が現れて善名称院を立てよというお告げがあったそうです。

九度山の魅力4:女人高野の慈尊院

慈尊院

九度山の中心から少し離れたところ西に10分くらい歩いたところに慈尊院があります。ここは高野街道を使ってこの地に来た人が、いよいよ高野山への山に登る(町石道:ちょういしみち)ための登山口の所にあり、空海が高野山の表玄関として伽藍を創建し、寺務所(政所)を置いたのが始まりです。

また明治時代まで高野山は女人禁制だったこともあり慈尊院は女人高野と言われています。空海が開いた高野山を一目見ようと、空海の母親が着ましたが、母と言えども高野山に入れなかったので、慈尊院にとどまりました。それを知った空海がひと月に9度、高野山から町石道を下って母に会っていたという伝承から、九度山という地域名となったそうです。

慈尊院

女人高野の関係で、女性に優しい場所とということで、子宝や安産祈願の寺院として女性がの参拝が多いです。また「乳房型絵馬」というのがあり、このことから最近では乳がん、子宮がんの予防・完治の願いのために訪れる人が後を絶ちません。そのほか境内には高野山の案内犬として活躍したゴンの像があります。

九度山の魅力5:丹生官省符神社

丹生官省符神社

慈尊院の境内からのぼり階段が続いた上にあるのが、丹生官省符神社(にうかんしょうぶじんじゃ)があります。この神社創建の由来は、空海が真言密教の道場の拠点を探していたとき、猟師姿をした狩場明神(高野御子大神)が、空海に高野山の存在を教えるために、白と黒の二匹の犬に導かせたという伝承があります。

丹生官省符神社

空海が嵯峨天皇から高野山の地を賜る際、入口に丹生高野明神社として祀り神社が創建されました。同時に階段の下に慈尊院を立てています。神社の本殿3棟、宮殿4棟、棟札 2枚は1965年に国の重要文化財に指定されています。

九度山の魅力6:高野山大門に続く町石道の入り口

町石道

丹生官省符神社かの奥には駐車場がありますが、そのさきに歩いていくと、山道が奥に続いているところがあります。これが高野山大門に続いている町石道の入り口です。町石道とは全長22kmある参詣道で、途中180もの町石の目印があります。その町石には密教の諸尊を表す梵字が刻まれています。

仁王門

町石道の登山口とは別にさらに階段があり、その上に仁王門が見えます。そこには勝利寺があります。寺の由来は空海が42歳の時に厄除観音を祀った事に由来しました。下にある慈尊院よりも古くからあります。

仁王門のなかに鎮座する仁王像は高野山奥の院の明遍杉で作られており、また御幸門は後白河上皇の高野山参拝をきっかけに歴代天皇・上皇が玉髪を高野山に収める際に使者が入る門となりました。また境内には紙遊苑と呼ばれる昔の凧を展示した資料館があります。

九度山の魅力7:2mの陶像「米金」

米金

九度山の町中には不思議な像「米金」が飾ってあるところがあります。明治から大正時代に活躍した陶芸家の南紀荘平(本名:井端荘平)が作ったという高さが2mもある陶製の像で、全国的にも珍しい大きさです。

米金

地元の人からは「米金の金時像」と呼ばれており、坂田金時(金太郎)をモチーフにしたものと思われます。現在は全体的に灰色になっていますが、かつての写真が飾られており、米金と書かれた前掛けは赤かったようです。また「米金医院」という看板が掲げられており、この像は元々は医院の看板のような役目があったと思われます。

九度山の魅力8:高野山参詣大橋(九度山橋)

九度山橋

九度山の北を流れる紀の川には橋がかけられています。九度山橋という橋ですが、別名高野山参詣大橋という名前がついています。これは南海電車ができる前、かつて旧国鉄の高野口駅から高野山参詣のために歩いていたときにこの橋を渡ったからです。

九度山橋

橋があるのは、九度山の中心部で主に真田関係のスポットが多い東側と、道の駅や慈尊院がある西側とを区切っている丹生川の合流点のすぐ東側に架かっています。そのため橋に入る前は合流点も見えますが、歩道は合流点とは反対の東側しかなく、橋からは見えませんでした。

その代わり橋の上から流れる紀の川の様子を意味ていると、かつて多くの人が高野山を目指す時にこの後から続く山道のことをあれこれ考えながら登ったのだろうとの想像が掻き立てられます。

九度山の魅力9:高野口駅前の旧葛城館

旧葛城館

高野山参詣大橋から北方向、高野口駅を目指して行きます。かつての高野山参詣の表参道だった余韻が残り、黄な粉団子が名物の浪花堂などの老舗の和菓子店の姿があります。やがてJRの線路が見えたときにひときわ大きな木造三階の建物旧葛城館が見えてきます。

旧葛城館

旧葛城館は明治時代後期ごろに建てられた旅館の後で、かつて高野口駅(当初は名倉駅)が高野山の参詣ルートの拠点だったことから多くの旅館が作られたうちのひとつです。大正14年に南海鉄道(現:南海電鉄)の高野山下駅ができてからは参拝拠点としての役割は終わりましたが、旧葛城館は平成時代初期まで宴会場として使われていたそうです。

休業後に登録有形文化財に登録され、保存修理が行われています。高野口駅もかつての参拝客を出迎えていた名残が残っており、旧葛城館と共に一度は見ておく価値の高い場所です。

九度山のグルメ:九度山駅にあるおむすびスタンド くど

おむすびスタンド くど

南海九度山駅の駅構内にあるおむすびの専門店です。昔ながらの方法で薪をくべるところからはじめ、薪の炎で炊いたご飯をひとつひとつ手作りで作ります。メニューは、白米と黒米があり、白米は炊き立て限定の塩むすびをはじめ16種類、黒米は6種類から選べます。イートインとテイクアウト両方できます。

おむすびスタンド くど

今回はテイクアウトで購入しました。温かいお茶もあるのですが、それも昔の国鉄時代の駅弁についている容器をほうふつとさせるような内容で懐かしさも感じました。

おむすびスタンド くど

  • 住所:和歌山県伊都郡九度山町九度山123番地2駅内
  • TEL:0736-20-7553
  • 営業時間:9:00~16:00
  • 定休日:月曜日
  • 公式サイト:おむすびスタンド くど

九度山のショッピング:道の駅 柿の郷くどやま

道の駅 柿の郷くどやま

九度山の中心を流れる丹生川の西側にある道の駅です。大型車3台をふくめた125台の駐車場があります。施設は公衆トイレと子どもが楽しめるアミューズメント広場を含めて7か所あり、九度山観光にぜひ立ち寄りたいスポットです。

道の駅 柿の郷くどやま

施設のイチオシは、「産直市場よってって」です。ここは九度山で採れる野菜や果物がリーズナブルに手に入ります。そのため地元の人も多く買いに来るようでした。また野菜の他、県内産の農産物や加工食品なども多くあるので、お土産を買うのに非常に重宝します。

道の駅 柿の郷くどやま

また併設している世界遺産情報センターは、九度山と高野山のふたつの世界遺産を知るためのビジターセンターです。施設内には九度山、町石道、高野山によって構成されており、写真付きのパネル展示で解りやすい解説があります。

最初に行って学んでおくとこの地域の事がより詳しくわかるようになっています。

道の駅 柿の郷くどやま

  • 住所:和歌山県伊都郡九度山町入郷5-5
  • TEL:0748-33-2559
  • 営業時間:9:00~17:30
  • 定休日:無休(1月1~3日のみ)
  • 公式サイト:道の駅 柿の郷くどやま

九度山は真田一族と高野山の入口というふたつの要素が混じった場所

九度山は、関ヶ原の戦いで破れた真田幸村親子が、幽閉・蟄居した地として有名で、真田氏と地元の人たちに関する史跡や情報が埋まっています。それだけではなく、高野山の入口、町石道のスタート地点でもあり、女人高野の慈尊院など、真田以外の見どころもあり、川の先にある高野口にはかつての高野山参拝の拠点としての名残がありました。

今年の大河ドラマでは徳川家康が取り上げられているので、物語の終盤にはまた真田と九度山がクローズアップされる可能性があります。この機会に九度山に再訪してみてはいかがでしょうか。

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万代正平

旅行が好きな旅人。日本国内は、北海道の網走、道東周辺から沖縄の八重山諸島・与那国島まで47都道府県すべて行ったことがあります。2020年2月までは毎年東南アジアに渡航しており、東南アジア10か国すべて訪問しました。海外では他にヨーロッパ(英国、ベルギー、アイルランド)アメリカ、中国、香港、マカオ、台湾、韓国への渡航経験があります。2020年春以降は、主に国内の旅行を中心に活動しています。

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