【福島】歴史の薫り漂う城下町・会津若松をめぐる~鶴ヶ城・飯盛山・七日町通り

福島県の西部、会津地方の中心都市である会津若松市は、江戸時代には会津藩の城下町として盛えた歴史の面影を残す街です。
とりわけ戊辰戦争で激しい戦いを繰り広げたエピソードは、多くの方がご存じのことでしょう。

鶴ヶ城や飯盛山、七日町通りなどの歴史情緒あふれる会津若松市のスポットを、便利な周遊バスを使って巡ってきました。史跡からグルメまで、歴史の重厚さをひしひしと感じる街です!

目次

会津若松の観光には「まちなか周遊バス」が便利

見どころが広範囲にある会津若松市をめぐるには、観光スポットを循環運行する「まちなか周遊バス」が便利です。レトロ調のボンネットバス「ハイカラさん」と、その逆方向を走る「あかべぇ」(車体に赤べこのキャラクターをペイント)が、主要な観光地を繋いでいます。

1回の乗車運賃は、どこでも大人210円、小学生110円。1日フリー乗車券は大人600円、小学生300円で、たいへんお得です。フリー乗車券は車内では購入できないため、会津若松駅前の「会津バス駅前案内所」などで事前に購入しておきましょう。

まちなか周遊バス
<レトロな外観が魅力のまちなか周遊バス「はいからさん」>

>>会津バス公式サイト「まちなか周遊バス」

難攻不落の名城「鶴ヶ城」

まずは会津若松のシンボル、鶴ヶ城に向かいます。まちなか周遊バスの「鶴ヶ城入口」で降りるのが便利です。

1868年の戊辰戦争では新政府軍による猛攻に耐え、難攻不落の名城として知れ渡った鶴ヶ城は、壮大な石垣に守られています。
城の玄関口である北出丸から本丸へと通じる「椿坂」では、そびえる石垣の向こうに鶴ヶ城の天守を見ることができます。堂々とした眺めが圧巻です。

鶴ヶ城
<椿坂から鶴ヶ城天守を見上げる>

椿坂を登ると右側に管理事務所/観光案内所があります。

周囲には城内の地図や、初代の葦名氏から伊達氏、蒲生氏、上杉氏、蒲生氏、加藤氏、保科氏、松平氏と続く歴代の城主がわかる案内板があります。チェックしておきましょう。

家紋案内板
<歴代城主の家紋を伝える案内板>

鶴ヶ城
<管理事務所の西側の石垣の上から見た天守>

管理事務所から天守閣の方へ向かうと、「武者走り」というV字型になった石の階段があります。

攻め入ってきた敵を石垣の上から迎撃するために築かれたもので、城内の武士が効率よく移動できるように、左が上り、右が下りと決められていたそうです。築城当時の姿を残す石段に、戦う城の風格が漂っています。

階段
<V字型の階段が印象的な武者走り>

本丸に入ると、天守の威厳ある姿が待ち構えています。迫力!

戊辰戦争にも耐え抜いた天守は、後に明治政府の命令で取り壊されましたが、1965年に再建。2011年には、屋根を幕末当時の赤瓦に甦らせました。表面に鉄分入りの釉薬を施して焼いた赤瓦は、強度に優れており、会津の豪雪にも耐えるそうです。

鶴ヶ城
<本丸の庭園から天守を望む>

鉄門
<赤瓦が輝く鉄門(くろがねもん)>

天守の中は郷土博物館になっており、五層の展望台からは城下町を一望できます。

...ということで内部に入りたかったのですが、実は天守は2022年10月~23年3月まで長寿命化工事中!残念ながら、入城できませんでした...。春のリニューアルオープンを楽しみに待ちましょう。

なお、南走り長屋・干飯櫓では「光のアートプロジェクト」を実施中です。また、城内の「茶室麟閣」は通常どおり営業しています。

鶴ヶ城

  • 住所:福島県会津若松市追手町1-1
  • 営業時間:8:30-17:00(入場は16:30まで)
  • 休日:無休
  • 料金:
    • デジタルアート単独入場券 大人410円 小人(小中学生)150円
    • 茶室麟閣単独入園券 大人210円 小人(小中学生)無料
      ※セット券あり
  • 公式サイト:鶴ヶ城

飯盛山で白虎隊の少年たちに想いを馳せる

鶴ヶ城が激しい攻撃に耐えた戊辰戦争では、白虎隊の悲劇があったことも知られています。
会津の歴史を語るうえでは欠かせない、少年隊士たちが自刃した「飯盛山」にも、まちなか周遊バスで訪れることができます。バス停「飯盛山下」から、山のふもとはすぐそこです。

飯盛山
<飯盛山の入口>

飯盛山の上まで歩いて登るのはツライ...という方もご心配なく。5分で山の上まで連れて行ってくれる、スロープコンベア(動く坂道)が存在します。料金は1回250円。だんだん遠ざかる市中の景色を見ながら、ほどなく白虎隊士の墓の前に到着します。

スロープコンベア
<スロープコンベアで飯盛山の上へ>

戊辰戦争で戦った19人の少年たちが葬られた「白虎隊十九士の墓」は、背後に立つ針葉樹に守られるようにたたずんでいます。筆者が訪れた日も多くの参拝客が訪れており、花々が手向けられていました。今も変わらず多くの人々の胸を打つできごとであることがわかります。

白虎隊十九士の墓
<中央が白虎隊十九士の墓>

お墓
<今も墓前には線香の煙が絶えない>

白虎隊十九士の墓の右手へ足を進めると、自刃した隊士の中で唯一生き残った飯沼貞吉の墓があります。喉を突いた後でまだ息があるところを偶然に助けられ、周囲の人々の治療で一命を取り留めた彼の存在によって、白虎隊の悲劇が世に知られることになりました。

飯沼貞吉の墓と記念碑
<飯沼貞吉の墓と記念碑。遺髪などが収められている>

貞吉の墓のさらに右側に、「白虎隊自刃の地」があります。炎上する城下を見た隊士たちは「敵に捕らえられて屈辱を受けるよりも、潔く自刃して武士の本分を明らかにするべき」という考えのもと、全員が自刃を決断したといいます。

自刃の地に建てられた、白虎隊士の石像が見つめる南西の方角には、鶴ヶ城の天守が小さく見えています。10代の少年たちがこの景色を見ながら最期に何を思ったのだろう...と、悲しい歴史に想いを馳せずにはいられません。

白虎隊自刃の地
<白虎隊自刃の地。隊士の石像が見つめる先に鶴ヶ城がある>

白虎隊自刃の地から見た会津市内
<白虎隊自刃の地から見た会津市内。遠くに小さく鶴ヶ城天守が見える>

二重らせん構造がすごい!会津さざえ堂

白虎隊十九士の墓から階段を下り、お土産屋さんの横の道を抜けると、六角三層のお堂の「会津さざえ堂」があります。名前の由来は一目瞭然!

お堂の中は全体がらせんを描くスロープ状の回廊になっており、外観はてっぺんに向かってぐるぐると斜めの屋根が取り巻いています。地面に貝のさざえを立てたような、独特の構造です。

会津さざえ堂
<会津さざえ堂>

会津さざえ堂
<さざえ堂の正面>

さざえ堂の正式名称は「旧正宗寺三匝堂」。江戸時代中期に建てられた仏堂です。

かつてはスロープ状の回廊に沿って西国三十三観音像が祀られており、参拝者はこのお堂をお参りすることで巡礼を終えたことになるという、民の心に寄り添う身近な巡礼の施設でした。

会津さざえ堂
<さざえ堂の入口。左に上りの回廊が見える>

会津さざえ堂
<上りの回廊>

このスロープ状の回廊は、実は二重らせんになっています。上りと下りが別々の通路になっているため、多くの参拝者がすれ違うことなく、一方通行で安全にお参りできるのがポイント。実際に歩いてみると、この時代にこんな建築物があったなんて!と、その構造の巧みさにビックリします。

会津さざえ堂
<さざえ堂の最上部>

会津さざえ堂
<下りの回廊。一方通行なので安心>

さざえ堂を出て、目の前にのびる石の階段を降りると、猪苗代湖から城下に水を引くために開削された「戸ノ口堰」が水音をたてています。その先には、山腹を通ってきた水が流れ出る「戸ノ口堰洞穴」が、ぽっかりと口を開いています。

白虎隊の20人の少年たちは、戸ノ口原の戦いに敗れた後で、この洞穴を潜ってようやく飯盛山へとたどり着いたそうです。「水が流れる中で、こんなに小さい穴の中を...」と、その過酷さに愕然としてしまいます。

その後に燃える城下を見て、自刃に至った少年たちの気持ちを思うと、胸が締め付けられます。

戸ノ口堰洞穴
<戸ノ口堰洞穴>

飯盛山

会津さざえ堂

  • 住所:福島県会津若松市一箕町八幡滝沢155
  • 営業時間:4月-11月: 8:15-日没/12月-3月: 9:00-16:00
  • 休日:無休
  • 料金:大人 400円 大学・高校生 300円 小学・中学生 200円
  • 会津さざえ堂 公式サイト:会津さざえ堂

風情あふれる七日町通りで会津名物を堪能

城下町の会津若松では、歴史的な建物が並ぶ街並みの散策もぜひ楽しみたいところです。

藩政時代から栄える「七日町」は、毎月七のつく日に市が立ったことからこの名が付けられました。

昔ながらの蔵や洋館が立ち並ぶ「七日町通り」は、ノスタルジックな魅力が溢れる素敵な通り。会津料理のお店や、会津の名産品を扱うお店がたくさんありますよ。

まちなか周遊バスは「七日町駅前」「七日町中央」「七日町白木屋前」の3か所に停車します。食べ歩きやお買い物に便利です。

七日町通り
<昔ながらの建物が美しい七日町通り>

「赤べこ」がテーマのカフェ
<会津名物「赤べこ」がテーマのカフェ。店内は赤べこグッズがいっぱい>

歴史ある建物が並ぶ七日町通りの中でひときわ存在感を放っているのが、JR七日町駅近くの「渋川問屋」。明治初期から、会津一の海産物問屋として栄えた商家です。美しい格子が目を引きます。

渋川問屋
<渋川問屋>

現在はその美しい建物を利用して、郷土料理の名店になっています。こちらで会津料理を食べてきました。案内された部屋にはどっしりとした囲炉裏や帳場があり、大正時代の大店の頃の雰囲気が残っています。往時の商家の空気に浸れますよ。

渋川問屋
<渋川問屋の店内>

次々に運ばれてきたお料理は、棒タラ煮、ニシンの山椒漬、こづゆなど。会津の名品が勢揃いです。かつては北前船で北海道から新潟に運ばれ、会津に入ってきたというニシンや棒タラの干物料理は、滋味あふれる美味しさでした。会津の歴史の長さを味覚で実感できます。

食事
<左奥がニシンの昆布巻、左手前がニシンの山椒漬>

食事
<左が棒タラ煮、右がこづゆ>

まとめ

城下町の歴史を今に伝える会津若松は見どころがいっぱい。以下の点を確認しながら、歴史散策を楽しんでくださいね。

  • 会津若松市の観光には、「まちなか周遊バス」が便利です
  • まちなか周遊バスの1日フリー乗車券は車内では購入できません。会津若松駅前の「会津バス駅前案内所」などで入手しましょう
  • 鶴ヶ城の天守は2022年10月~23年3月まで長寿命化工事のため、中に入ることはできません
  • 飯盛山は徒歩で登れます。5分で山の上まで連れて行ってくれる、スロープコンベア(1回250円)もあります
  • 歴史的な建物が並ぶ七日町はお買い物やお食事、カフェなどがいっぱい。充分な時間を確保して歩きましょう

それでは、城下町の壮大な歴史を感じる素敵な旅を!

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朝茶

ライター/英和・和英翻訳者。出版社に11年勤務後、2009年にシンガポールに転居。東南アジアの文化と料理にハマる。2013年に帰国した後は日本文化に改めて関心を深め、今はとにかく国内各地を旅したいです!

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