公開日:
最終更新日:
寒さの中に感動がある!網走流氷砕氷船「おーろら」で氷の海を突き進む
流氷は冬のオホーツク海の風物詩です。遥か彼方カムチャッカ半島から海に流れ出した氷が、ゆっくりと北海道にやってきます。流氷を近くに感じたいのなら沖に出るのが一番。網走港から「流氷砕氷船おーろら」に乗船しました。
目次
北海道にやってくる「冬の使者」
<海鳥がオホーツク海に飛び交う>
流氷は寒気に吹き付けられた海水が凍ってできる「海氷」です。
11月ごろになると、オホーツク海最北西部沿岸の海に冷たい風が吹きつけます。それにより海水は小さな針や板状の氷晶に変化。互いにぶつかり合ったり、結合したりして蓮の葉状の氷になり、やがて強い北西の季節風と東カラフト海流に乗って成長しながらオホーツク海を南下します。遥か1,000kmにも及ぶ旅の果てに1月下旬〜2月上旬に北海道東部沿岸にたどり着きます。
<流氷は風まかせに移動>
流氷はいつもオホーツク海に浮かんでいるわけではなく、風向きによって一晩で沖に流されてしまいます。1980年代までは湾岸までぎっしりと押し寄せていましたが、近年は沖合に留まっていることが多くなりました。
いざ真っ白なオホーツク海へ!
<流氷の世界に出航!>
道の駅流氷街道網走が「流氷観光砕氷船おーろら」の乗り場です。「おーろら」は1991年に運航を開始しました。文字通り流氷を砕きながら約60分かけて網走沖を遊覧します。運行期間は1月~3月まで。時期によって1日2〜4便が運航されています。料金は大人4,000円。世界的にも流氷を見ることができるエリアは限られているので、その金額は決して高くないと言えるでしょう。※料金は2023年度の消費税込み
<寒さと引き換えに絶景が広がる>
「おーろら」は、総重量491t、全長45.0m、全幅10.0m、出力3,000馬力、最大速力14ノット、氷海速力3ノット。1階客室は自由席になっており、低い位置から流氷を間近に眺めることができます。また、流氷の砕氷が眼前で楽しめる特別客室もあります。オホーツク海の寒風に耐えられるのなら、砕氷の音と衝撃を楽しめる「展望デッキ」がおすすめ。しっかり防寒して挑んでください。
<流氷ブルーに輝く>
まばらに浮かんでいた流氷は、沖に進むにしたがって密度を増してゆき、真っ白な平原に変わります。南極観測船同様、大きな船体と強い推進力を使って氷の上に乗りかかり、船の重量で砕きながら進みます。その迫力に目が離せません。
流氷の上は絶滅危惧種の宝庫
<クリオネは貝殻を持たない巻貝>
流氷の下ではクリオネやプランクトンなど、さまざまな生き物が息づいています。エサを追って還流系の魚たちが大挙して押し寄せ、さらに魚を求めてワシなどの猛禽類やアザラシがやってきます。生態系を保つためには、どれ一つ欠かすことができません。
<オオワシの集団>
さっそく「オオワシ」が出迎えてくれました。日本で一番大きなワシともいわれ、オスの全長は88cm、メスの方が大きく102cm、翼を広げると220~250cmもあります。夏季にロシア東部で繁殖し、越冬のため朝鮮半島やオホーツク海沿岸部に南下します。群れている光景はとても希少です。総個体数は約4,600~5,100羽と推定され、絶滅が危惧されています。
<流氷に佇むオジロワシ>
流氷の上で羽を休めるオジロワシを発見しました。オオワシよりも少し小ぶりで、全長70 ~98cm、翼を広げた大きさは180~240cmです。その名の通り白い尾が特徴です。ユーラシア大陸北部で繁殖し、冬季になると中国東部、ペルシャ湾周辺、北日本に飛来します。オジロワシの総個体数は約20,300~39,600羽と推定されており、オオワシ同様、絶滅が危惧されています。いずれも肉眼では小さくしか見えないため、乗船する際には双眼鏡などを用意してください。
流氷クルーズの思い出をお土産に
<写真提供:ベル食品株式会社>
道の駅流氷街道網走内の売店には流氷をイメージした食品が販売されています。「オホーツク流氷カレー」は、北見市の本格インド料理レストラン「クリシュナ」の料理長マクスード・アラムさんが、オホーツク海の青さと、海面に浮かぶ白い流氷の景色に魅せられて試行錯誤の末に完成しました。ジンギスカンのタレで有名なベル食品ではレトルトカレーを商品化。カレーの常識を覆す味と彩りに心が奪われます。
<写真提供:網走ビール株式会社>
網走に醸造所がある網走ビールの「流氷ドラフト」は、流氷を仕込水に使用したしています。天然色素クチナシによるオホーツク海をイメージした鮮やかなブルーが特徴的で、すっきりとした爽やかな飲み口です。流氷クルーズの思い出をお土産に持ち帰りください。
網走流氷砕氷船「おーろら」
- 住所:網走市南3条東4丁目5の1
- 電話:0152-43-6000 (9:00~17:00)
- 実施期間:1月下旬~3月上旬
- 運行日:毎日運航予定ですが、状況によって運休の場合があります
- 公式サイト:網走流氷観光砕氷船 おーろら
関連記事
Ranking北海道記事ランキング
-
吉田匡和
- 札幌市在住のよろずライターです。美味しい食べ物から温泉、穴場スポットや定番スポットの知られざる楽しみ方など、地元ライターらしい視点でワクワクを紹介します。