神様の元には、天から降ってきた石が!呼ばれないと行けない「天河神社」って?

天河神社

芸能や音楽の神様として名高い「天河大辨財天社(天河神社)」。奈良県天川村という山深い場所にありながら、日本全国からの訪問者が止まないパワースポットです。今回は秋の大きな祭りである秋季大祭に合わせて、電車を乗り継いで遥々遠くまで行ってみました。

目次

ことの始まりは、空から降ってきた石!

天河神社

「天河神社は、(神様に)呼ばれないと行くことができない」と噂されているような場所でもあり、芸能人やミュージシャンなどもお忍びで訪れることもしばしば。それだけエネルギーの強い場所として知られています。

それもそのはず、ここのいわれとして伺ったお話によると、太古の昔に天から降ってきたと言われている大きな4つの石があり、その内の3つが天河神社の敷地内に祀られているのです。

天河神社

そして天河神社の奥宮が祀られている弥山周辺一帯は、今もなお山伏や修行僧が歩く「大峯奥駆道」、高野山や熊野三山と共にユネスコの世界文化遺産にも登録されている貴重な場所。

その修験道の開祖である役行者(えんのぎょうじゃ)が、そこで神の降臨を願った時に現れたのが天河神社にも祀られている神様「弁財天」...水の神であり、芸能や音楽の神様とも言われる弁天様だったのです。

UFOも飛んでくるパワースポット?

五十鈴

天河神社の拝殿には、驚くべき特徴があります。まず、上を見上げると巨大な鈴が6つ。これは五十鈴と呼ばれる形の鈴で天河神社のシンボルマークのような存在です。その姿から、UFOを思い浮かべる人も少なくはないようですね。そうそう、実際にこの付近でUFOを見た人もいるようですよ。

五十鈴は神代時代、アメノウズメが岩戸開きのために踊った際に振っていた神代鈴と、同様のものだとも伝えられているのだとか。ここでは巨大な3つの鈴が三角に結ばれ、それが2つ重なった状態で吊るされているのですが、上手に鳴らすとガラリガラリと音がでます。コツは振るのではなく回すこと、ぜひトライしてみて下さいね。

能のレジェンドが崇拝する天河神社

能舞台

そしてここにはとても素晴らしい「能舞台」があります。舞台を取り囲むように張られている御翠簾(みす)が上がると、そこには木々が枝を大きく伸ばしている姿が。

「杉、檜に神が宿る」と伺いましたが、ほのかに香り漂うそのご神気を吸い込みながら、木々に差し込む陽の光や風そよぐ自然の風景をバックに能を鑑賞できるなんて、こんなに贅沢なことはありません。

能「融」片山九郎右衛門
<能「融」片山九郎右衛門>

天河神社では年に3度、能が奉納されています。能の世界での大御所「世阿弥」の息子・観世元雅(かんぜもとまさ)が、ここまで辿り着くのが本当に困難な時代に天河神社を目指してやって来て、能と秘蔵の面を奉納したという歴史があるそうです。

この日の舞台は、鳥達のさえずりや秋晴れの天川を感じながらの心地よい能鑑賞となり、どこまでも贅沢で見応えのある舞台を体験。

能の最中に、演者の前を鳥がスーッと飛んで横切るような一幕があったのですが、「この舞台は自然と一体化できる」と伺っていた意味がとてもリアリティーを持って思い出されました。

存在感ある宮司一族は、有名な鬼の末裔!

柿坂 神酒之祐大宮司(名誉宮司)

天河神社といえば、もうひとつ。柿坂 神酒之祐(みきのすけ)大宮司(名誉宮司)さんという存在があります。柿坂家は、山岳信仰の開祖「役行者」の弟子の「前鬼と後鬼」の末裔なのだそうですよ。神酒之祐大宮司さんは65代目の宮司さんなのですが、ここまで存在感のある宮司さんはそうはいません。

若い頃に、世界を旅して回られていたという大宮司さん。様々な文化交流を経たご自分の経験を元に、大切なものは何かという事をとても大きな視点で私たちに教えてくれます。

今でこそ各地の神社でもミュージシャンが演奏したりイベントを行ったりしていますが、天河神社はそのさきがけのような存在。大宮司さんの音楽好きもあり、過去にはブライアン・イーノや細野晴臣など、数多くの大物たちがここで演奏をしています。

細野晴臣×柿坂名誉宮司
<2022年10月 細野晴臣×柿坂名誉宮司「かんながら対談」(主催・オフィスTEN)。前夜の、能舞台での奉納演奏後>

大宮司さんは引退された今でも、大きなお祭りでは神社にいらっしゃる時があります。秋季大祭の日は、大宮司さん自身の心から発せられる儀式の歌や言葉で空間を清められていました。とてもアーティスティックでチャーミングな大宮司さんは、天河神社の大らかな雰囲気そのものです。

あるがままに、カンナガラの道を

朝拝

翌日、神社で毎朝行われている「朝拝」にも参加したのですが、そこでも天河神社の大らかさが伺えました。

こちらの神様は階段を登った高い場所に祀られていて、手前にお供え物を並べているのですが、朝拝でご神事を行われている最中にお供物の周りに鳥がやってきます。それをそのまま、あるがままにされていたのが印象的でした。

だからと言って田舎にあるホンワカした神社という感じでは全くなく、ご神殿に向かうとピンと張った、深遠な空気が常に流れています。とても不思議なんですが、そこが天河神社の凄さなのでしょうね。緩やかな受け入れ感がありながらも、芯のある空間がしっかりと保たれているのです。

神代の唄や舞いに思いを馳せて

天河神社

今回は、紅葉の季節に合わせての参拝。神社近辺やその道中では、赤・黄・緑と鮮やかに彩られた木々が美しく、葉っぱがハラハラと舞い落ちる様子や川に流れる水の音など、自然からたくさんの美しい贈り物を受け取れました。

冬には雪、春には桜。山深く何もないような場所だからこそ、心を澄まして豊かな自然に深々と感じ入ることができるのかも知れませんね。

天河神社

秋季大祭の次の日には、五節句開きの神事がありました。天河神社では、1年の中にある5つの節目の日にもお祭りをしているのですが、この日は旧暦の10月10日。人間のお産で言うところの「命が生まれる日」ともあり、始まりの日として五節句開きの神事が行われています。

天河神社ではこれをもって、いよいよ新たな1年のサイクルが始まるそうです。年越しの大祓の頃には雪景色が見られるのでしょうね。

山深い秘境にある天河神社、カンナガラ(神の思し召しのまま、あるがまま)の世界。ここで自然の中に身を置き八百万の存在を感じながら、神代の唄や舞いに思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

天河大辨財天社(天河神社)

  • 住所:奈良県吉野郡天川村坪内107
  • 電話:0747-63-0558
  • 公式サイト:天河神社

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Hinata Yoshioka

フォト&ライター。国内を転々と旅した後、沖縄にたどり着き12年を過ごす。現在は神戸を中心に活動中。ハワイ好きでフラ歴もあり、ロミロミマッサージのセラピストとしての一面も持つ。好きなことは料理・物作り・音楽・読書・写真・旅などあらゆることに興味はつきない。世界を船でぐるり2周した物語もWebで掲載中!!

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