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ニューヨークのパブリックアート。中央分離帯を彩る「パークアベニューの動物園」
ニューヨークを歩いていると、オブジェや壁画など、いたるとこでパブリックアートを見かけますが、マンハッタン区マレーヒル地区のパークアベニューの中央分離帯には、カラフルな動物のポリゴンアートが展示されています。
パークアベニューをグランドセントラル駅に向かって北へ歩くと、34丁目から38丁目の間の中央分離帯に色鮮やかな熊やゴリラ、マンモスなどが展示されているのが目につきます。これらは、「パトロンズ・オブ・パークアベニュー(POPA)」が主催するインスタレーションの第1回目となる展示品で、世界的に有名なアーティスト・彫刻家のイドリス・B氏が手がけたものです。
「パークアベニューの動物園(The Zoo on Park Avenue)」というタイトルのこのパブリックアートは、2022年2月16日に展示が始まり2回目の冬を迎えますが、展示は2023年2月1日まで続くので、まだ間に合います。
目次
アート作品の制作者イドリス・Bって?
イドリス・B氏は、チュニジア系フランス人で現在はドバイを拠点に活動しています。パリの郊外で生まれ育った同氏は、「アラジン」や「ライオンキング」などのディズニーの名作の絵を好んで描くなど、子どもの頃からアートに興味を示していたそう。成人してからは、高級ファッションブランドの「ディオール」や「モンクレール」、「コーチ」などのウィンドウディスプレイの制作をしていた時期もあります。
同氏の作品は、曲線のない、面と面をつなぎあわせた多角形(ポリゴン)の動物の彫刻が中心。「ポリマルズ(Polymals)」は、熊やワニ、ゴリラなど、野生動物をモチーフにしたシリーズで、「ポリサウルス(Polysaurs)」は、マンモス、剣歯虎(サーベルタイガー)など古代の生き物をモチーフにしたシリーズです。ポリゴンの動物は、日本の折り紙にインスピレーションを受けて作り始めたとのこと。
カラフルな動物たちを紹介します
分離帯を彩る、カラフルで個性的な動物たちを簡単に紹介しましょう。それぞれの動物のポジションは、人間の心を表現しているそうです。
熊のバルー
人生、いつ何が起こるかわからないので、食べて飲んでリラックスする事が1番だと、木の下でのんびりリラックスする熊のバルー。ピンクっぽい赤が、ひときわ目立ちます。北へ歩くと青っぽい紫色のバルーもいます。
サーベルタイガーのディエゴ
かつては地球上で最も大きく獰猛なネコ科動物であったサーベルタイガーのディエゴは、次の獲物を探して徘徊しているところです。
ゴリラのモジョ
自分の縄張りを守るために立っている黄色いゴリラのモジョ。彼のポジションは、強さ、冷静さ、勇気を表しています。
少し北へ歩くと、キタノホテルの前には色が違うちょっと怖いモジョもいます。
バッファローのユアラス
攻撃的で今にも飛びかかってきそうな態勢のユアラスですが、自分の縄張りを守ろうとしているところだそう。自尊心や誇りを表現しています。
クロコダイルのダンディー
大きく口を開けたダンディーは、私たち1人1人の心の中にある純粋さを表しています。
マンモスのマニー
象の祖先であるマンモスのマニー。不動のポジションは冷静さと決断力を表現。今はじっとしていますが、適切なタイミングで前進します。
パトロンズ・オブ・パークアベニュー(POPA)
同インスタレーションを主催するPOPA は、パークアベニューの34丁目から39丁目までの中央分離帯の手入れや管理、植栽を行う団体です。
中央分離帯を美しく彩る春のチューリップやピンクの桜、モクレンの花、夏のベゴニアなど、また、ホリデーシーズンのクリスマスイルミネーションやユダヤ教の祭り、ハヌカのマノーラなどの装飾は、POPAの企画と働きによるものです。
季節ごとの植栽や装飾、管理などにかかる資金は、パークアベニューのビルのオーナーの他、マンションの自治会、個人からの寄付、助成金などにより賄われています。
POPAが中央分離帯にアートを展示するのは、「パークアベニューの動物園」が初となります。
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ナツコ・H
- 世界で活躍するジャズ奏者の夫のマネージメント、CD収録曲の作曲を手がける。NYの日系新聞でニュース記事執筆中。法律翻訳家。93年よりNY在住。