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【島根】石見富士「三瓶山」のカルデラを大縦走!
こんにちは!たびこふれライターの中尾です。
今回ご紹介するのは島根県に悠々とそびえる「三瓶山(さんべさん)」です。島根県のほぼ中央部に位置し、中国山地の主軸から離れた独立峰で、草原が広がる山頂からは360度の展望が開けます。
主峰の男三瓶山(おさんべさん/標高1,126m)をはじめとする峰々が、室の内(むろのうち)と呼ばれるくぼ地を取り囲んで環状に並び、山麓を一周する道路から幾本もの登山道が各峰へ続きます。
僕自身、三瓶山へは小学校高学年の夏休みに家族旅行で訪れたことがある地。その時は麓から山容を見たのですが、その姿がとても印象的でいつか登ってみたいと思っていました。三瓶山のイメージは、アニメの日本昔話のオープニングで子供が龍に乗って空を飛んでいるシーン。三瓶山は噴火口の周りを龍がぐるっと取り囲んでいる感じ。今回、登る機会に恵まれましたので、その時のレポートをお送りします。
目次
三瓶山
三瓶山(さんべさん)は大山隠岐国立公園に指定されています。中国地方でたった2つの活火山のうちの1つで、最後に噴火したのは約4,000年前。山の頂に立つと、複数の山が窪地を囲むように連なって見え、人気の三瓶温泉をはじめ、周辺にある多くの素晴らしい火山性温泉の源となっています。
また、三瓶山は古代日本神話にも登場します。8世紀の出雲国風土記には、あまりにも自分の国が小さいと考えた国造りの神が海の向こうから引き寄せた土地を1つにまとめるのに三瓶山と大山を杭として使ったという国引き神話が記されているそうです。【三瓶山公式サイトより引用】
三瓶山の登山道情報
主要な三瓶山の登山コースは6コースあります。
1. 姫逃池(ひめのがいけ)登山道
所要時間は約80分~120分。三瓶自然館サヒメル駐車場から男三瓶山山頂までの最短コースです。
2. 名号(みょうごう)登山道
所要時間は約90分~130分。国指定天然記念物の三瓶山自然林内を進み、男三瓶山山頂へ至るコース。
3. 西の原(にしのはら)登山道
所要時間は約100分~140分。西の原草原から男三瓶山山頂へ登る見晴らしの良いコース。
4. 東の原(ひがしのはら)登山道
所要時間は約60分~80分。東の原駐車場から観光リフトと並行する登山道を通り女三瓶山山頂へ登るコース。※三瓶観光リストは4月~11月に運行
5. 女夫松(めおとまつ)登山道
所要時間は約60分~80分。三瓶温泉近くから孫三瓶山山頂へ登るコース。
6. 縦走登山道
所要時間は1周約4~6時間。男三瓶山、女三瓶山、大平山、孫三瓶山、子三瓶山の各峰を一周するコース。
登山に際しての注意点
- 私個人的に三瓶山の縦走登山は中級以上のレベルが必要です
- 登って下るの往復登山はそれほど体力はいりませんが、縦走するとなるとかなりきついです
- 登り始めると名号登山道以外、途中にトイレがありません。携帯トイレが必携です
- 山小屋はありません。男三瓶山山頂付近に避難小屋があるだけです(中にトイレはありません)
- 三瓶山登山口までのアクセス道路にコンビニエンスストアがほとんどありません。必要なものは予め用意することをおすすめします
- 山中には売店や自動販売機がありません。食料や飲料(多めに)は必ず持参することをおすすめします
- 縦走する場合は、ライト(日没に備えて)を持参した方がいいです
- 10月~翌4月は降雪の可能性があります
- 山中は携帯電話が繋がらない場所があります
- 危険な場所にはロープが張られています。絶対に入らないようにしましょう
今回僕が登ったルート
東の原(ひがしのはら)登山口でレンタカーを駐車。観光リフトで途中まで登り、女三瓶山(めさんべさん/953m)、男三瓶山(おさんべさん/1,126m)、子三瓶山(こさんべさん/961m)、孫三瓶山(まごさんべさん/903m)、大平山(たいへいざん/854m)の順に、時計の反対周りに縦走しました。(もちろん時計回りでも縦走できます。)
東の原登山口
東の原(ひがしのはら)登山口は三瓶山の東に位置しています。三瓶山をぐるっと縦走するのであれば、東の原登山口から登り始めることを僕はおすすめします。正面の山は女三瓶山です。
なぜかというと、5つある登山口の中で唯一リフトを使えるから。「登りにリフトを使うのは邪道だ」と言われそうですが、前述の通り、一度登るとトイレがないからです。時間をできるだけ短縮するにはリフトも登山手段のひとつだと思います。僕は下りもリフトを使いましたが...(笑)。
東の原登山口には大きな駐車場があります。それではトイレを済ませて登りましょう。
<右側の山頂付近に鉄塔が建っている山が女三瓶山(めさんべさん)です>
観光リフト
観光リフト情報
- 運行期間:4月~11月
- 運行時間:8:30~16:30(山頂乗り場の最終改札時間は16:30です)
- 定休日:火曜日
- 所要時間:片道約15分(歩くと登り40分、下り30分)
- 料金:大人片道470円・大人往復750円、子ども片道350円・子ども往復550円
※三瓶山を縦走するのであれば、午前中の早めの時間に登る必要があります
チケットはこちらの自動販売機で購入します。小銭がなくても両替機があります。
それでは出発!【8:55】
神話の世界のような神々しい雰囲気に包まれていました。
下を見るとピョンピョンと野生のウサギがいました。
約15分の空中散歩(鉄柱は20本)で頂上降り口に到着。【9:10】
女三瓶山へ
【感想】リフト降り場から女三瓶山までは約20分。ジグザグに山道を登ります。リフトを利用して女三瓶山までは誰でも登れます。ここまではスポーツシューズで登れる山です。
頂上降り口で靴ひもを結び直し、まずは女三瓶山(めさんべさん)へ登り始めます。【9:08】
11月4日ですが、紅葉は終盤でした。
最初はこのような整備された道を進みます。
さぁ、ここから山道に入ります。【9:11】
緩やかな坂が続きます。ジグザグに高度を上げていきます。
まだこの頃は景色を楽しむ余裕がありました...(笑)。
女三瓶山の山頂が見えてきました!この分岐を左に行くと男三瓶山への縦走路です。【9:25】
女三瓶山(めさんべさん)山頂(953m)に到着しました。【9:26】※リフト降り場【9:08発】⇒女三瓶山山頂【9:26着】所要時間は18分
女三瓶山からの眺め。左下の白いところが大平山の東の原展望テラス(標高854m)、真ん中の三角の山が孫三瓶山(903m)、その隣のこんもりとした山が子三瓶山(961m)です。
東の原の駐車場が眼下に望めます。
男三瓶山(1,126m)は雲の中です。
男三瓶山へ
【感想】女三瓶山(957m)から男三瓶山(1,126m)までは約1時間。危険がいっぱい!最大の難所となる縦走路です。ガレ場、崖っぷち、ロープなどフルコースの体験。この先は興味本位で進んではいけません。
女三瓶山からの眺めを満喫しましたので男三瓶山へ向かいます。【9:30】
女三瓶山を下り男三瓶山への縦走路の分岐です。ハイカーはここから観光リフト方面へ下りましょう。【9:33】
分岐からは細い山道になります。この先注意の看板が立っています。
それでは、道なき道を進みます!後方は男三瓶山です。
縦走路からカルデラを囲んで、子三瓶山(中央)、孫三瓶山(左側)が見えています。アップダウンがとてもきつそう...。
カルデラの真ん中にある室の内(むろのうち)池です。エメラルドグリーンに輝く池です。
枯葉に足を滑らせないように進みます。
まだ見えぬ男三瓶山を正面に進みます。
急登が始まりました。これからロープで登る箇所が増えます。
ロープを使ってひーひー言いながら登っていきます。
兜山(かぶとやま)に到着しました。【9:42】
男三瓶山はまだ雲の中です。
何度もロープを使って急登を登ります。
振り返ると女三瓶山の山容が見えています。
室の内を取り囲むように三瓶山の各峰がそびえています。紅葉も後半戦といったところでしょうか。
木々が低くなり視界が開けてきました。
地肌が見える足場の悪いところを通過します。滑りやすいので慎重に進みましょう。【9:58】
ユートピア(980m)を通過します。【10:00】
遥か彼方に子三瓶山への登山道が見えています。
こんな岩場も登ります。ロープはあるものの初心者の僕には緊張感マックスです...。
写真では分かりづらいですが、両側は崖っぷちです...。へっぴり腰で通過しました。
まだまだ急登が続きます。
はい、崖っぷちです。ゆっくり進みます。
手が震えてピンボケです。滑落が多い場所だそうです。
こちらは北側の登山口方面です。
横の鎖場です。足場に気をつけながら進みます。
崖っぷちはまだまだ続きます。
ようやく危険地帯を抜けました。【10:23】
男三瓶山の頂上まであとわずかです。
ここを登り切ったら男三瓶山の頂上です。
男三瓶山の頂上直下にある避難小屋です。縦走路にはこの避難小屋しかありません。【10:25】
避難小屋の内部はこんな感じです。とても清潔に保たれています。ただし、室内にはトイレがありません。
男三瓶山山頂への最後の登りです。
男三瓶山山頂(1,126m)に到着です。※女三瓶山山頂【9:30発】⇒男三瓶山山頂【10:30着】所要時間は1時間
三瓶山頂神社が鎮座していました。
男三瓶山山頂はこんなところです。
子三瓶山へ
【感想】男三瓶山(1,126m)から子三瓶山(961m)までは約1時間10分。女三瓶山から男三瓶山までが危険地帯と思いきや、男三瓶山から子三瓶山の縦走路も急坂をお尻をつきながら滑り落ち、さらに急登を登る感じ。ハイキングポールの使用をおすすめします。
男三瓶山の頂上でゆっくりしているとトイレが間に合いません(汗)。5分滞在して10:35に子三瓶山へ向け縦走を続けます。
しばらく草原地帯を進みます。
横に室の内を見ながら子三瓶山へ向かいます。室の内は約1.1haほどの小さな火山湖です。
しばらく草原地帯を抜けるように下ります。
登山道の分岐点に標識が立っていますので、道に迷うことはありません。
時計の反対回りに周回していますので、方角で言うと現在12時を過ぎ、11時に向かっています。左側4時の方向に女三瓶山が見えています。
眼下に見える池は浮布の池です。三瓶山の西側になります。
ところどころに休憩用のベンチがありますが、そんなに休んでいる余裕はありません。縦走路にはトイレがありませんので...。
これから目指す右側に子三瓶山(961m)、そしてその後登る孫三瓶山(903m)が見えています。右側の子三瓶山にはハッキリと登山道が見えています。
男三瓶山から子三瓶山まで一旦山を下ります。最初はこのような歩きやすい登山道なのですが...。
このように、劣化とともに鉄の杭が出ているところもありますので十分注意が必要です。
下り坂が急になってきました。
少しずつ急な下り坂になっていきます。
登山道がくねくねとなり、ジグザグに下っていきます。
途中、見える子三瓶山と孫三瓶山の山容がとても美しいですね。
下り坂が急なところはこのような木に助けてもらって下りました。
急な下り坂になりました。スリップに注意が必要です。さらにむき出しになった岩にも注意が必要です。
ロープ場の連続です。
写真では分かりづらいですが、かなりの急坂です。
えぐい急坂です。この区間で尻もちを3回つきました。ズボンはドロドロです...(笑)。
落石にも注意が必要です。
下り切りました。逆に縦走していたらこの坂を登るのは疲労困憊でしょう。
向こう側に女三瓶山が見えています。
次は再び登り坂です。目指す子三瓶山が目の前にそびえています。
さぁ登りましょう。この登り返し、体力が一気に消耗します。
子三瓶山...。間近で見ると急登です。
ジグザグに高度を上げていきます。
急登を登り切りました。この先が子三瓶山の山頂です。
子三瓶山山頂(961m)に到着です。※男三瓶山山頂【10:35発】⇒子三瓶山山頂【11:45着】所要時間は1時間10分
子三瓶山の山頂からの男三瓶山です。
子三瓶山の山頂からの女三瓶山(奥の鉄塔が建っているところ)です。
孫三瓶山へ
【感想】子三瓶山(961m)から孫三瓶山(903m)までは約40分。男三瓶山から子三瓶山の登山道と同様に下って登ります。この下り坂も急なのでゆっくり下りました。
子三瓶山の山頂で5分間休憩して、11:50に孫三瓶山へ向かって下り始めました。
最初はなだらかな草原地帯を下りますが...。
眼下に室の内が見えています。
子三瓶山の山頂が正面に見えています。
あれ?登山道が見えなくなった...。
いきなりストーーンと急な下り坂になります。下りきったところしか見えません。あそこまで下ります...。
立ち止まっては下り、立ち止まっては下りの繰り返しです。
それにしてもあの十字路。綺麗ですね。
急坂に格闘しながら何とか下りてきました。途中の写真はありません...。
ここが十字路の分岐点です。
十字路から見た男三瓶山です。
さぁ、孫三瓶山に向けて登り返しです。
孫三瓶山の登り返しの途中から見た右が女三瓶山、左が男三瓶山です。
中央が男三瓶山、左が子三瓶山です。
さぁ、孫三瓶山の頂上まであと少し!
孫三瓶山山頂(903m)に到着です。※子三瓶山山頂【11:50発】⇒孫三瓶山山頂【12:30着】所要時間は40分
孫三瓶山の山頂から見た男三瓶山(中央)、子三瓶山(左)です。
大平山へ
【感想】孫三瓶山(903m)から大平山(854m)までは約40分。ここまで来ればあとはなだらかな下り坂です。気持ちのいい森林浴ウォーキングです。
写真を撮ったら大平山(12:30発)へ向かいます。
こんな感じの登山道です。
森林浴気分で進みます。
大平山山頂が見えてきました。後方の山は女三瓶山です。
大平山山頂(854m)に到着です。※孫三瓶山山頂【12:30発】⇒大平山山頂【13:10着】所要時間は40分
大平山山頂から見た三瓶山大パノラマです。右から女三瓶山、男三瓶山、子三瓶山、孫三瓶山です。
大平山山頂には東の原展望テラスがあります。ここから南側(三瓶山大パノラマは北側)の大パノラマが広がります。
下山
大平山を後にリフト乗り場まで移動します【13:15発】。正面に女三瓶山が見えています。
女三瓶山への登山道の分岐です。この時、13:15。朝9:10にここを通過しましたので、4時間で縦走しました。
大平山から3分でリフト乗り場に到着です。ここから登山道を歩いて下山(約40分)することも可能です。でもトイレの我慢が限界なのでリフトで下ります。
下りのリフトは展望が広がり気持ちいいです。天気も良くなりました。
リフトを利用して下山です。13:30に下山しました。8:55に出発しましたので、4時間35分で三瓶山を縦走しました。リフトを利用しなければ、登り40分、下り30分程度かかるので5時間半~6時間かかります。
麓の観光リフトの乗り場から女三瓶山が見えます。ここからは女三瓶山のみ見ることができます。
東の原駐車場に面して石見ワイナリーがあります。建物内にはトイレがあります。
中にはワインの販売があります。
そして土産物の販売、そして喫茶を行っています。営業時間は10:00~17:00です。無休ですが冬季は不定休です。
同じく東の原駐車場に面して石見の社があります。フードコートになっていて、食事はこちらで食べることができます。
東の原駐車場には綺麗なトイレがあります。登山前に必ずトイレを済ませましょう。
東の原駐車場です。広々とした駐車スペースです。
登ってみた感想と注意点
もう一度、三瓶山登山に際しての注意点です。※必ずご確認ください
- 私個人的に三瓶山の縦走登山は中級以上のレベルが必要です
- 登って下るの往復登山はそれほど体力はいりませんが、縦走するとなるとかなりきついです
- 登り始めると名号登山道以外、途中にトイレがありません。携帯トイレが必携です
- 山小屋はありません。男三瓶山山頂付近に避難小屋があるだけです(中にトイレはありません)
- 三瓶山登山口までのアクセス道路にコンビニエンスストアがほとんどありません。必要なものは予め用意することをおすすめします
- 山中には売店や自動販売機がありません。食料や飲料(多めに)は必ず持参することをおすすめします
- 縦走する場合は、ライト(日没に備えて)を持参した方がいいです
- 10月~翌4月は降雪の可能性があります
- 山中は携帯電話が繋がらない場所があります
- 危険な場所にはロープが張られています。絶対に入らないようにしましょう
※当記事は2022年11月4日に登山した際のものです。最新情報は必ず公式サイトやSNSにてご確認ください
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中尾勝
- 旅が大好き!国内海外を問わず飛び回っていますが、海外へは2011年に渡航して以来、出国していません。今は原点に戻り国内を旅しながら日本の良さを体感中。