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【フランス】心まで海色に染まる!港町で「海に生きる人々のお祭り」
北西フランス、ノルマンディー地方の小さな可愛い港町フェカン。この町の漁業の歴史は古く、人々は常に、海と共に生活してきました。そんな港町で今年の夏、「フェカン・グラン・エルカル(Fécamp Grand Escale)」と称される5日間の海のフェスティバルが開催されました。美しい帆船や漁船やヨット等が小さな港に集合し、海をキーワードとする各種スタンドが岸辺に並んだこのイベントは、海に関わって生きる人々と海を愛する人々が集まって楽しむお祭り。海が大好きな人は見逃せない!という訳で、会場の様子をご報告します。
目次
フェカンってどんな町?
フェカン は、断崖岩で有名なエトルタ海岸から東約20kmに位置する小さな可愛い港町。切り立った石灰岩の断崖と小石の美しい海岸は、英仏海峡に面したこの地域独特の世界でも稀な風景です。
フェカン Fécampという町の名は、ゲルマン語で魚を現す語根fisk を有するfiscannum という単語に由来しています。この地は、先史時代から人が住んでいた形跡があり、町は古くから海洋貿易も盛んで、19世紀半ば〜20世紀はタラやニシン漁で繁栄しました。
フランスで有名な銘酒ベネディクティンを生み出した町としても知られています。
「フェカン ・グラン・エスカル」の特徴は、全ての船、全ての海に関わるに人々のためのお祭りだということ。古くから海と生活を共存してきた港町にふさわしい、素敵なコンセプトのこのイベントは、今年を第一回として、今後毎年恒例になるそうです。では、イベント会場を一緒に訪ねてみましょう。
会場を散策しよう
町の中心側から、会場に入った時に見える風景がこちら。細長いフェカン 港の両岸には大型の船、中央には小型船、奥に見える6階建ての建物は、漁業美術館ぺシェリーです。写真では見えませんが、漁船やヨット等の停泊は更に奥、港の突き当たりには海岸と大海が広がっています。
両岸には、海に関連するスタンドがずらりと並びます。行政のスタンド、地元のヨットやマリンスポーツのクラブ、自然保護団体、食品店、レインパーカーやマリンシャツ、海関連の絵画やアート、そしてお土産店などなど。
通路の所々に設置されたベンチも、港風。木枠の椅子の上には、かつては商品入れに使われたような大きな麻袋がシートとして使われていました。
今回のお祭りの目玉となったフランスが世界に誇る美しい帆船べレム(Belem)。フェスティバル開催中は、一部の船の内部を見学したり、観光船に乗って海を遊覧したりすることも可能です。
様々なアニメーションも用意されています。こちらは、海の男たちの歌。
ちょうど、ボートのイベントがあったようで、一斉に港から海に向かう様子も見学できました。デンマークのチームです。
色とりどりの可愛い漁船たち。
食事も海風。昔ながらの方法で作るニシンの燻製は、ビールやワインの肴に、テラス席で食べることもできます。会場内には幾つかレストランも設置されていますし、一歩会場を出ると、町のレストランもたくさんあります。
漁業美術館 ぺシェリー
会場の中心にそびえ立つ、漁業美術館ぺシェリー(musée de Fécamp Les Pêsheries)は、かつて町に繁栄をもたらしたタラ・ニシン加工工場を改造して、2017年にオープンした近代的な美術館です。ここでは、町の歴史や昔の漁師の生活ぶりを、貴重なオブジェや絵画、ビデオなどで知ることができます。
建物の最上階は港と海が見渡せるガラス張りのパノラマビュー。テラスに出て、空飛ぶカモメと至近距離で、潮風に吹かれることもできるのです。
出航の時
フェスティバルが終わった翌日、出航する船を眺めに、私は再びフェカンの海岸に立ちました。船たちは順次、ゆっくりとフェカン 港を出航してゆき、見送り人々からは拍手や「メルシー!」の掛け声が。船からは、それに応えるように汽笛が幾度も鳴り響きます。港町の浪漫溢れる、ちょっと切ない光景です。
小さな灯台の横をすり抜け大海に出た帆船は、しばらく停滞して帆を広げ、一番美しい姿で次の目的地へと旅立ってゆきました。
さようなら、また来年会えればいいな。
さいごに
フェカンの海の祭典、いかがでしたか?「やっぱり海が大好きだ!」と再確認された方、いらっしゃいますか?こんなアンティークな帆船に乗って大海をゆらゆら漂う、白日夢を見た私。空想世界なら船酔いもないしね!
酷暑の日が続く季節、みなさん、お身体に気をつけて夏をエンジョイして下さいね。ではまた、次の旅路でお会いできることを楽しみにしています。
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原田さゆり
- 旅・文化・猫を愛する、フランスの田舎在住者。フランス中を旅しています。