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ドイツが誇る高級磁器マイセンの魅力
マイセンと聞くと高級な磁器を思い浮かべる人が多いかもしれません。マイセンはドイツにある世界的に知られている磁器のブランドです。日本でも人気があるため、日本に店舗を構えており、それだけでなく多くの百貨店でも取り扱われているほどです。今回はそんな日本でも知名度のあるマイセンについて、その歴史や特徴などを紹介したいと思います。
目次
ヨーロッパで白い金と呼ばれた磁器
磁器は中国で生み出されたものですが、それは17世紀までヨーロッパで製造することができず、中国や日本から輸入される舶来の高級品でした。そのため白い金とも呼ばれ、宮殿の一室を磁器で埋めつくすなど、王族は自身の権力や財力を示すことに磁器を利用していたのです。磁器のコレクターであるザクセン王国のアウグスト2世が、他国のコレクションである中国の壺およそ150個と兵士600名を交換したエピソードから、磁器の希少性がわかるかもしれません。
研究の末に生み出されたヨーロッパ産の磁器
磁器コレクターのアウグスト2世は、集めるだけでなく磁器の生産を強く願っていました。そのため錬金術師を雇い、その研究にあたらせていたのです。磁器作成に成功したのは研究を始めて数年が経った1709年のこと。翌年には生産拠点をドイツ東部の小都市マイセンへと移します。当初は日本や中国の磁器の模倣でしたが、ロココスタイルの優美なデザインを取り込み、独自のスタイルを築き上げていきます。そしてドイツを代表する名窯となり、今では磁器の一大ブランドとして多くの人に愛されるようになったのです。
マイセンの魅力
マイセンの磁器で定番となっているのは「ブルーオニオン」と呼ばれる中国趣味のデザインです。ザクロとして描かれたものが玉ねぎに変化して、デザインとして定着したと言われています。今も昔も人気のこのデザインはマイセンの代名詞的なものと言えるでしょう。
伝統的なデザインがある一方で、現代の暮らしに合わせたモダンなデザインも多く手がけています。また器だけでなく造形的なオブジェも有名であり、ロココスタイルの瀟洒なオブジェも忘れてはいけないでしょう。このようにマイセンでは様々なスタイルのデザインを取り扱うため多くの人に愛されるブランドになっているのです。
マイセンの生まれ故郷である町
もしマイセンの磁器に興味があるのであれば、ぜひ訪れてほしいのが生産拠点となっているマイセンの町です。
街のシンボルとも言えるのがアルブレヒト城ですが、マイセンの磁器と深い繋がりがあります。磁器の生産が成功した後に、他国に情報を漏らすことなく磁器生産を行うために生産施設が城内に移されました。そればかりでなく磁器製造に成功した錬金術師でさえも情報を守るために城内に幽閉されたのでした。
そんな機密情報の隠し場所だった城ですが、今ではマイセンの歴史や磁器のコレクションを展示しており、マイセンの磁器を世に広める場に生まれ変わっているのです。
アルブレヒト城 / Albrechtsburg Meissen
- アドレス:Albrechtsburg Domplatz 1, 01662 Meißen
- 開館時間: 3月〜10月 10:00〜18:00、11月〜2月 10:00〜17:00
- 入場料:10ユーロ
- 公式サイト:アルブレヒト城
マイセンを存分に楽しめる美術館
最後に紹介したいのはマイセンの町にある美術館です。こちらの美術館では過去から現在までの様々な磁器を紹介しています。それ以外にも、型からオブジェを作成、型から取り出されたパーツの組み立てなど、マイセンの磁器が作られるプロセスの一部を目の前で実演するガイドツアーもあります。作成の様子も見学できるため、より深くマイセンのことがわかるに違いありません。
また美術館には、マイセンの器で食事や飲み物を楽しめるレストラン、マイセンの器を購入できるショップ、そしてマイセンの器を安く購入できるアウトレットショップも併設されています。そのため思う存分にマイセンを楽しむことができるでしょう。
マイセン磁器美術館 / Meissen Porzellan-Museum
- アドレス:Talstraße 9, 01662 Meißen
- 開館時間:9:00〜17:00
- 入場料:12ユーロ
- 公式サイト:Meissen Porzellan-Stiftung
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K.Hayashi
- 大学卒業後に渡独。フリーランスライターとしてドイツの文化について多くの記事を執筆中。