【東京】葛飾区に行けば宇宙との距離が近くなる!?

プラネタリウム

<トップの画像提供:葛飾区郷土と天文の博物館>

ご存じでしたか?今年2022年は、全天の星座88が確定してちょうど100年にあたります。また、来年2023年は、プラネタリウム誕生100周年になります。宇宙に思いを馳せたくなるこの機会、今日は東京都葛飾区で宇宙を感じられる場所を紹介しましょう。

目次

星座確定から100年、プラネタリウム誕生から99年

プレート(しし座)
<葛飾区の歩道から/©Kanmuri Yuki>

夜空に光る星をつなげて動物や物に例える星座。古代から世界中で、さまざまな星座が想像されてきました。現在、全天には88の星座があるとされていますが、これを確定したのは1922年第1回国際天文学連合でのこと。つまりちょうど100年前にあたるのです。

また、最初のプラネタリウムがドイツのイエナに設置されたのは、その翌年の1923年でした。ちなみに日本初のプラネタリウム設置はそれから14年後の1937年、大阪でのことです。最初の国産プラネタリウムの誕生は、さらに21年後の1958年でした。それから60年以上経った現在では、プラネタリウムは全国に存在します。そのうち、今日ご紹介するのは、東京都葛飾区にある2か所のプラネタリウムです。

葛飾区郷土と天文の博物館

葛飾区郷土と天文の博物館
<葛飾区郷土と天文の博物館 外観/画像提供:葛飾区郷土と天文の博物館>

まずは「葛飾区郷土と天文の博物館」。ここは、いわば理科と社会が同居する博物館ですが、大人にも発見の多い展示を備えています。プラネタリウムでは、季節ごとにオリジナル番組を生解説つきで上映しています。新型コロナウイルスの影響で上映回数は幾分減っていますが、それでも週末には1日4回上映される日もあり、何時に来館しても大抵見そびれずにすむのが嬉しいところです。

天体観測ドーム
<天体観測ドーム/画像提供:葛飾区郷土と天文の博物館>

開館時間も金・土曜日は夜21時までと、区立にしては意外なほど遅くまで開いています。というのも、通常であれば、この金と土の夜には、天体観測室で星の観望会「かつしか星空散歩」が開催されるのです。残念ながら2022年4月現在の時点では、新型コロナウイルスのため休止となっていますが、その分再開が楽しみなイベントでもあります。

望遠鏡
<望遠鏡/画像提供:葛飾区郷土と天文の博物館>

また、「葛飾区郷土と天文の博物館」の屋上には太陽望遠鏡も設置されており、天文展示室からこの望遠鏡を通して「今」の太陽の様子も観察できます。

地球の自転を感じるフーコーの振り子

さらに、階段踊り場にはフーコーの振り子が置かれています。フーコーの振り子とは、長い弦でつるされた振り子のことで、1851年フランスの物理学者レオン・フーコーが、地球の自転を説明するためにこれを用いたことから、こう呼ばれるようになりました。パリのパンテオンの公開実験で用いられたものは67mの長さに28kgの振り子がつるされていたと言います。「葛飾区郷土と天文の博物館」のフーコーの振り子は、「直径約38cm、質量約130kgの真鍮製の球が、長さ14mのワイヤーで」(同館公式サイト説明より)つるされたものです。

フーコーの振り子
<上からみたフーコーの振り子/©Kanmuri Yuki>

振動を続ける振り子は、地球の自転の影響を受け、行ったり来たりする振動面が回転しているように見えます。北緯90度の北極点で振り子を振動させると、ちょうど1日(約24時間)かけて振動面が360度回転します。けれども、赤道下においては振動面は全く回転しません。つまり緯度が低ければ低いほど、振動ごとに変化する角度が小さくなっていくわけです。そのため、フランス北部(北緯50度)だと一周するのに約31時間かかるのに対し、東京葛飾区(北緯35度)だと約41時間かかります。

揺れるだけの振り子でさえ地球の自転の影響を受けるのを、こうやって目の当たりにすると、しみじみ、私たちのいるこの場所も宇宙の片隅に過ぎないのだなと思わずにはいられません。

葛飾区郷土と天文の博物館
<どこか懐かしい昭和30年代の住居/©Kanmuri Yuki>

同博物館の展示は、歴史や地理、考古学、地域学など社会系のものも充実しています。特に映画セットのような昭和30年代の住居再現は必見です。

葛飾区郷土と天文の博物館

  • 開館時間:火~木と日・祝は9時~17時、金・土(祝日以外)は9時~21時
  • 休館日:月曜日(祝日の場合は開館)、第2・4火曜日(祝日の場合は開館し、直後の平日が休館)、年末年始
  • 入館料:大人100円、小中学生50円
  • プラネタリウム観覧料:大人350円、小中学生100円
  • 公式サイト:葛飾区郷土と天文の博物館

プラネターリアム銀河座

プラネターリアム銀河座
<プラネターリアム銀河座/©Kanmuri Yuki>

葛飾区には、もう1か所プラネタリウム施設が存在します。その名は「プラネターリアム銀河座」、場所は浄土真宗の寺院、證願寺(しょうがんじ)です。

お寺にプラネタリウムがあるということ自体、風変りですが、このプラネターリアム銀河座で上映される月替わりプログラムも、非常に個性的なものです。例えば、最近のテーマをざっと見ても『ネコと宇宙』、『免疫と宇宙』、『自然と六角形』『虹は何色(なにいろ)?何色(なんしょく)?』などなど、意表を突かれる視点のテーマが並んでいます。

それもそのはず、館長の春日了氏の経歴からして型破りです。小惑星7674に「KASUGA」という名を冠するほど造詣深いアマチュア天文家であると同時に、声楽家としても活躍した美声の持ち主。ところがその本職は證願寺の第17代住職という人物なのです。

お寺にプラネタリウムを開いた理由

證願寺
<この建物の中にプラネタリウムが.../©Kanmuri Yuki>

一体なぜお寺でプラネタリウムなのか?ご本人にお尋ねすると、次のように語ってくださいました。曰く、もともと天文学に非常に興味を持っていたが、お寺の跡取りという責任があり僧侶になった。お寺の仕事を始めてつくづく残念に思うのは、現代の日本では仏教は死者を弔うビジネスという面が大きいことだ。本来の仏教は生きている人の悩みに答えるものであり、決して弔いのためだけにあるのではない。「生き方を示す仏教」を広めるにはどうすればいいのか。自問するうち、プラネタリウムで広い宇宙を見ながら、観念的な話をしてはどうかと思い至り、「プラネターリアム銀河座」が1996年に誕生した。

證願寺
<證願寺御本堂/©Kanmuri Yuki>

天文学に関する上映は、月に2回土曜日に、生解説付きで行われます。定員25名(現在は新型コロナ感染対策のため椅子と椅子の間を2m開けているので、さらに少数)のアットホームな雰囲気の中、満天の星を仰ぐのは、何とも言えない贅沢な気分です。

それとは別に、ほぼ月に1回、40代までの方を対象にプラネタリウムの星空の下での法話も行ってきました。ただ、今現在は、新型コロナウイルスの影響で休止中です。

ライオンとスティラコサウルスが守る寺

スティラコサウルス
<番人にスカウトされたスティラコサウルス ©Kanmuri Yuki>

ところで、この證願寺の御本堂の番人は、よくある狛犬ではなく、ライオンとスティラコサウルスです。向かって左側に建つライオン像は、東京藝術大学の彫刻家の手彫り作品。仏法を重んじたインドのアショーカ王が法勅を刻ませた石柱にライオンをあしらうのが多かったことにちなみます。

向かって右のスティラコサウルスは、ライオンと同等、あるいはそれ以上のインパクトを持つ番人を、と選ばれました。元は1990年に幕張メッセで開催された大恐竜博で活躍したものだそうですが、その後廃棄に回されるところを證願寺にスカウトされて2006年やってきたそうです。

一般的にお寺には堅苦しいイメージが付いて回りますが、それを払拭できたらという願いを込めたスカウトでしたが、その狙い通り、今も毎日通りがかりに写真を撮る人が絶えないそうです。

プラネターリアム銀河座

  • 住所:東京都葛飾区立石7-11-30 證願寺内
  • TEL:03-3696-1170
  • 基本的に第1・第3土曜日の14時~15時上映
    ※上映月の前の月に入館希望者の抽選が行われる。申込期日は、前の月に公式サイト上で発表
  • 料金:大人1,000円
  • 公式サイト:プラネターリアム 銀河座

魅力的なプラネタリウム施設が2か所ある葛飾区。宇宙を感じたくなったら一度訪ねてみてください。

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冠ゆき

山田流箏曲名取。1994年より海外在住。多様な文化に囲まれることで培った視点を生かして、フランスと世界のあれこれを日本に紹介中。

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