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桜の季節にひっそりと咲くニリンソウを見に行こう!
一本の茎から2輪ずつ花を咲かせることから名がついたニリンソウ。かつては日本各地の山野に自生していましたが、今では県によっては絶滅危惧種リストに名を連ねるほど珍しい花となっています。
そんな中、東京都板橋区にはまだ自生群落が残っていて、季節になると木々の根元に、緑に白い花模様の絨毯を敷いたような景色が広がります。開花時期は4月前半と、桜の季節に重なるため、いささか注目されにくい感がありますが、桜とはまた違う可憐な花は一見の価値あり。ぜひ訪れてほしい群生地を紹介しましょう。
目次
武蔵野台地の端にあたる板橋区
キンポウゲ科イチリンソウ属のニリンソウは、山野の林やその周辺の湿った場所に生える植物。つまり板橋区には、その条件に合う環境が残っているのです。というのも、同区は「武蔵野台地と荒川の低地で成り立っており」、台地と低地の間に「斜面林や湧水点」があるからです。(板橋区公式サイトより)そういうわけで板橋区の「区の花」はニリンソウ。同区のオフィシャルシンボルやコミュニケーションシンボルにもニリンソウが描かれています。また、いたばし観光キャラクター「りんりんちゃん」も、ニリンソウの妖精をイメージしたものです。
<ニリンソウの妖精りんりんちゃん像 ©Kanmuri Yuki>
都内最大の自生地赤塚公園
ニリンソウの都内最大の自生地は、板橋区の赤塚公園大門地区にあります。都営三田線新高島平駅からまっすぐ南に10分ほど歩き首都高速高架をくぐると、武蔵野台地の崖線に沿って左右に細長くのびるのが赤塚公園です。そこから右手に折れて園路を行くと、園路に沿ってニリンソウが約200mにわたり群生しています。
<赤塚公園のニリンソウ自生地 ©Kanmuri Yuki>
都立赤塚公園大門地区ニリンソウ自生地
- 入園無料
- HP:都立赤塚公園
<板橋区立赤塚植物園 ©Kanmuri Yuki>
都立赤塚公園から南西に徒歩10分ほど行ったところにある赤塚植物園でも、ニリンソウを見ることができます。同園はTwitterで園内の開花情報もこまめに流していますから、開花時期を事前にチェックしてもいいですね。
板橋区立赤塚植物園
<赤塚城跡城址の梅林 ©Kanmuri Yuki>
余談ですが、赤塚植物園のすぐ横には、東京大仏のある浄蓮寺があります。その少し北には、赤塚城跡があり、高台にある城址の梅林も、そのふもとにある赤塚溜池公園も梅の名所になっています。
小豆沢斜面の自生地
板橋区内のニリンソウ自生地のうち、もうひとつのおすすめ場所は、小豆沢神社の北側斜面です。歩きにくい斜面ながら、ちょっとした遊歩道が整備されていて、ニリンソウを見ながら散歩できるようになっています。場所は、都営三田線志村坂上駅から歩いて約10分の距離です。
<小豆沢斜面のニリンソウ ©Kanmuri Yuki>
小豆沢公園ニリンソウ群生地
志村坂上駅からニリンソウ自生地に向かうなら、その途中寄り道してほしいのが庭園「薬師の泉」です。ここは古くは15世紀末に開基した大善寺の境内にあたり、清水が湧き出す場所でした。江戸時代、八代将軍徳川吉宗が鷹狩で大善寺に立ち寄ったおりには、この清水を誉め、大善寺のご本尊を「清水薬師」と称したと伝えられます。
江戸時代、この場所は、中山道を往来する人々で賑わい、1836年に完成した『江戸名所図会』にも取り上げられました。残念ながら、その後は戦争などで荒廃。けれども現代になって、板橋区が『江戸名所図会』の挿絵をもとに庭園の復元整備を行い、平成元年「薬師の泉」として開園したのです。
規模は大きくありませんが、水場を囲う斜面に多くの木々・植物が植えられ、座って庭に対峙すると、四季ごとの屏風絵を目の前に見る心地がします。
<『薬師の泉』秋の様子 ©Kanmuri Yuki>
薬師の泉
- 所在地:板橋区小豆沢3丁目7-20
- 開園時間:9時~16時半
- 休園日:年末年始
- 利用料金:無料
<新河岸川の桜並木 ©Kanmuri Yuki>
最後にもうひとつおまけ情報を!小豆沢公園斜面のニリンソウをごらんになったら、そのまま目の前の新河岸川の川岸まで行ってみてください。新河岸川川沿いの遊歩道は桜並木になっています。ニリンソウが咲いていれば、おそらく桜も満開なはず。新河岸川の桜並木は意外に知られていない穴場なので人も少なく、ゆっくりとお花見を楽しめることでしょう。
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冠ゆき
- 山田流箏曲名取。1994年より海外在住。多様な文化に囲まれることで培った視点を生かして、フランスと世界のあれこれを日本に紹介中。