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【エチオピア】現人類のルーツ、世界遺産オモ川流域の伝統的村を訪問 Part.1
エチオピアというと、コーヒー発祥の地、そして美人が多い国というイメージを持たれる人も少なくないかもしれません。アフリカ北東部に位置するエチオピアは、唯一植民地化されず独立を保ったアフリカの国であり、人類の祖先として最古の化石である類人猿「ルーシー」が見つかった国です。人口は1億1千万人とアフリカで2番目に多く、民族ごとに分かれる11の州と2つの自治区からなる連邦制です。南部オモ川下流では1930年代から人類の進化を示す化石が多数発掘され、1980年にはユネスコ世界遺産に登録されています。
エチオピアというと、北部ラリベラ岩窟教会や、ダナキル砂漠への旅行が有名ですが、今回は、オモ川流域に暮らす、伝統的な暮らしを保つ2つの民族を訪問する旅をご紹介します。
目次
人類進化の軌跡が眠る、エチオピア
日本から首都アジスアベバ・ボレ国際空港へは、エチオピア航空の韓国(仁川)経由が最も乗り継ぎが短く、16時間で到着します。その他、フランクフルト、イスタンブール、カタール、ドバイ経由などのルートも存在します。言語は、アムハラ語、オロモ語を始めとし、様々な言語が話されていますが、首都のアジスアベバを除くと、ホテルや観光ガイド以外で英語が通じることは少ないため、ツアーに参加するか、ガイドを探すことをおすすめします。
また、エチオピアでは新年を9月11日とするエチオピア暦を採用します。1日の始まりも日の出から始まる12時間制を使うため、朝の6時がエチオピア時間の0時となります。公共交通機関を使って待ち合わせをする場合などに非常に混乱しやすいので、注意が必要です。
通貨はエチオピアブルで、2022年2月現在、1ブル=2円ほどのレート。2021年9月時点では空港到着時のアライバルビザ取得が停止されているため、申請者が居住する国のエチオピア大使館で申請、もしくは、オンラインで観光ビザを取得する必要があるようです。
アジスアベバの教会とエチオピア文化
首都アジスアベバに到着したら、ぜひ訪れて欲しいのが、エチオピアの教会。エチオピアの歴史を遡ると、紀元前10世紀にはユダヤ教が伝わったのち、エチオピアの最初の王国ではギリシャの神々が信仰されていたことがわかっています。その後4世紀からキリスト教の布教が始まったものの、上記の宗教等と混ざり合い、独特のキリスト教「エチオピア正教会」として発達していきました。人口の約45%がこのエチオピア正教を信仰し、エチオピア北部には、巡礼の地であるラリベラ岩窟教会などが存在します。
アジスアベバ市内にも、多くの教会があり、日々多くの信者が足を運びます。有名なのは、三位一体大教会であるホーリー・トリニティ大聖堂やセイント・ガブリエル教会。また、筆者がおすすめしたいのは、エントト・マリヤム教会。この教会は、アジスアベバで最も高い北部エントト山の上、標高3,200mの位置に立っていて、アジスアベバが一望できます。教会の横には博物館が併設されている他、オーストラリアから持ってこられたエチオピア初のユーカリの木も植えられています。地元の人々は、この教会に祈りに訪れ、また、病気を治すと言われている「聖なる湧き水」に水浴びをしに来るようです。
ホーリー・トリニティ大聖堂
- 住所:Arat Kilo area, Addis Ababa, Ethiopia
- 営業日:月曜日~金曜日
- 営業時間:8:00~13:00, 14:00~18:00/博物館は8:00~12:00、14:00~17:00
セイント・ガブリエル・チャーチ
- 住所: Kifle ketema: Arada. Kebele:08
- 営業時間: 朝のミサは毎日6:30~
エントト・マリヤム教会
- 住所:Entoto Mountains
- 営業時間:8:30~18:00
- 入場料: 教会、宮殿、博物館合わせて100ブル
バナナの葉が生活の中心、ドルゼの人々
ドルゼ族はガモ高地に住み、現在約3万人いるとされています。アジスアベバ からは車で約7時間、近郊のアルバミンチの街までアジスアベバ から飛行機で行き、そこから車でアクセスすることも可能です。アジスアベバ からドルゼへ向かう道中では、ぜひアワサ湖を訪れてみてください。
アワサは南部でも随一の都市で、湖で取れたフレッシュな魚料理が楽しめる避暑地ともなっています。午前中には湖で取れた新鮮な魚がフィッシュマーケットに並びます。
アジスアベバ から7時間かけてドルゼに着くと、村の観光ガイドの出迎えを受け、入村します。ドルゼで有名なのは、コットンの織物とエンセーテと呼ばれるバナナに似た植物の葉を使った独特の生活文化です。例えば、彼等の住居は竹とエンセーテの葉で作られ、なんと60年ももつ耐久性を誇ります。
また、この村は標高が高いので、エチオピア人の主食であるテフという植物が育たず、エンセーテを主食とします。エンセーテの茎をしごいてデンプンを取り出し、葉で包んで地面の中に埋めて発酵させたものを火で焼いてパンのように調理します。酸味があるものの、モチモチとした食感で蜂蜜などをつけて食べるのが一般的です。
ドルゼの街では、月曜日と木曜日には村のマーケットも開催され、人々の日常生活を垣間見ることができます。
ドルゼ村
- 住所:ガモ高地
- 入場料:約100ブル
誇り高きハマー族の成人儀式
アルバミンチの村を出発し、ハマー族の暮らすトゥルミの街を目指します。ハマー族の人々は独特のファッションをしているため、容易に見分けることが可能です。例えば、女性は顎下までの長さの髪に、バターと赤土を塗った、赤いドレッドヘアーをしています。また、ビーズをふんだんに使って装飾されたヤギ革のスカートを履き、首や腕には大きな飾りを身に纏います。
ハマー族は一夫多妻制ですが、首飾りが一つだと第一夫人、二つだと第二夫人、といった違いもあるようです。ハマー族は気高い戦闘民族と言われ、アグレッシブな性格だと言われています。写真撮影の際などにも拒否感を示されることが少なくないため、声をかけてから撮影するようにしましょう(撮影料を要求されることも珍しくありません)。
ハマー族を訪れる際に運が良ければぜひ参加して欲しいのが、成人の儀式「ブルジャンプ」。これは、少年が立派な大人としての勇敢さを見せるために、並んだ雄牛の背中の上を渡っていく儀式です。筆者が訪問した際には、ちょうどマーケットで成人の儀式を行うという男の子に遭遇。儀式を見せてもらうことになりました(通常3,000~4,000円の見学料を払う必要があります)。儀式の前には石を砕いて作った染料で顔にペインティングを施し、村の女性たちが歌とダンスで雰囲気を作り出します。また、ダンスの最中には鞭を持った男性が女性たちを鞭打つのです。これは、女性たちがいかにその男性を愛しているかを見せる意味があるのだそう。
儀式は男の子が並んだ牛の背中を3往復することで終了。参加者の到着が遅れすっかり日が暮れていたため、筆者は写真を撮ることができませんでした...。
ハマー村
- 住所:オモ渓谷東部 トゥルミ
まとめ
今回は、エチオピア・アジスアベバ を出発し、人類の祖先が化石となって多く見つかっているオモ川流域の民族をご紹介しました。それぞれの民族で異なる住居、食文化、ファッションを持っていますが、そうした文化も西洋化の波により徐々に少なくなってきています。ですので、伝統的な文化が廃れてしまう前にぜひ訪問して欲しい所です。
今回ご紹介したドルゼ族とハマー族は、生活様式も性格も全く異なり、それぞれの村を訪れることで民族の多様性を様々な側面から体験できます。次回は、さらに奥深い歴史と文化を持つムルシ族をご紹介!
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Saori K. Courtois
- 西アフリカ在住の国際公務員。アフリカの日常的観光スポットから~旅行に役立つ情報まで幅広くお届けします。