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ブエノスアイレスの病院事情と実体験レポート
今回はブエノスアイレスで入院するとどうなのか、様子をご紹介します。
旅行中、アルゼンチンで入院することになったら「どうなっちゃうんだろう??」と不安になりますよね。病気や怪我は、時と場合を選んではくれません。もしかしたら、旅行中に病院のお世話になることもあるかもしれません。
これまで病気知らずだった息子が9月に入院しました。息子はおかげさまで無事退院し「あの時は大変だったよね」という心境まで来たので、この経験をシェアできたらと思います。
目次
息子が入院するまでの経緯
息子の場合は、風邪のような症状から始まり、毎日夜中・朝・午後と39度以上の熱を出すようになりました。産まれてから一度も熱を出したことがなかったので、私たちはかなり慌てましたが、子供が熱を出すのはよくあること。
コロナ禍ということもあり、診察は定期検診を受けている先生に、WhatsApp (LINEの海外版)でお願いしました。保育園に行き出して2週間ということもあり、様子を見ましょうと言われ、そして高熱が出た時は、水風呂に入れるようにということでした。
日本では熱が出た時はお風呂には入りませんよね?
わたしは驚いて日本の叔父(看護師)に連絡し確認してしまいました。「そういう地域もある」という回答だったので渋々承諾。実際高熱が出た際に、解熱剤を飲ませて水風呂(お湯が冷めたくらいの温度)に入れると、熱は下がりすぐに良くなりました。
そんなこんなで、熱が出たら水風呂につけて下げるを繰り返して3週間。しかし状況は改善されません。あんまり毎日ひどい熱が出るので、日曜日に救急で近所の総合病院に行ったところ、その場で入院することになりました。
病院での食事の様子
息子が入院した病院は、ブエノスアイレスのレコレータ地区にある「バスタリカ」という病院です。実は、わたしも息子を出産した時にお世話になった総合病院です。朝ごはんは、アルゼンチンにありがちなガジェティータと呼ばれる甘くないビスケットにジャムとバターがつきます。飲み物は紅茶とミルク。毎朝、このメニューは同じです。
昼と夜は、色々なバリエーションがありましたが、ボリュームたっぷりのご飯が用意されます。塩味はほとんどついていないので、自分で付随の塩をかけて好みの味に調整します。味は塩を足せば美味しくいただけて、市内の下手なレストランに行くよりもよっぽど美味しい。
アルゼンチンは通常夕食が22時頃なので、17時にメリエンダというおやつの時間があります。病院ではおやつの時間もしっかりあって、寝ているだけの人に出すにはどうなんだろう?というくらいの内容が用意されました。
我が家は1歳9ヶ月の子どもだったこともあり、24時間体制で付き添いが必要でした。そのため食事は付き添いの分も用意されます。わたしが出産した時は主人が付き添ってくれましたが、主人の分の食事は出なかったのでご飯を食べに自宅に帰っていました。
病院でのコミュニケーションの様子
コロナ禍ということと、入院当初はコロナの病状に似ているところがあったので、「コロナの疑いあり」で入院しました。その場合、防護服のような格好で診察を受けたり、看護師さんたちも手袋やエプロンを室内で外すなど、厳重に院内感染を防ぐ対策をしていました。
コロナの検査結果が陰性とわかってからは、通常の入院と一緒です。ただ、病院内を移動する時はマスク着用という制限がありました。
入院してからも1日に何度も39度以上の熱が出ていたので、24時間体制で看護してくれます。付き添いのわたしも看護師さんが点滴を変えるたび、体温を測りにくるたび、熱が上がるたびに夜も起こされ常に寝不足状態でしたが、何かあったら電話すればすぐ来てくれるのはとても安心でした。
我が家の場合、わたしのスペイン語がまだ怪しいですが、主人と主人の家族はネイティブです。主治医の先生が病室で状況を説明する時は、自宅で仕事をしている主人か義母に電話し先生の説明を聞いてもらい、その後わたしに主人や義母が説明するという流れでした。
主治医の先生も、わたしが少しでも理解できるようにゆっくりと簡単な単語で説明するなど気を使ってくれました。もし英語が話せるなら、医師の先生方は英語で説明します。現地でスペイン語を通訳している日本人の中には、病院の付き添い対応をしてくれている人もいます。不安な場合はお願いしても良いでしょう。
医療状況とサービスの様子
他国の医療状況は気になるところですよね。病院や受診する科によっても違うと思いますが、息子が受診した病院の小児科は日本とほとんど変わりません。
わたしが出産した時にお世話になった産婦人科では、帝王切開でも3日で退院だったのでびっくりしましたが、小児科はコロナ禍でも治療方針が決まっているため、自宅療養でも問題ないと判断するまで入院でした。
また、日中・夜勤と担当医が交代するたびに挨拶に来てくれて、状況を把握してもらえたり、すべての部屋が個室だったり、毎日シーツを変えてくれて、汚してしまった時もすぐに変えに来てくれるなど、快適なサービスを受けました。病室も毎日朝晩、掃除が入り、個室のシャワーもトイレも清潔感があります。ホテルのようなアメニティも用意されていました。
アルゼンチンの医師は、保険のランクによってレベルがあります。高い保険に加入してれば、ランクの高い先生を受診できるシステムです。もしくは、国立病院の場合無料で医療を受けられます。国立病院の医師にも良い先生がいるとは聞きますが、医療が無料ということで陸続きの他国から観光バスでアルゼンチンの医療を受けにくる人々もいるそうで、手術や受診を受けるまでが大変(予約がなかなか取れない&順番待ち)という話も耳にしました。
まとめ
海外旅行中に病院に行くことになった場合の心の準備になれば、と今回は病院で入院する様子についてご紹介しました。いかがだったでしょうか。
もちろん旅行の場合は、何もなく楽しめることが一番ですね。体調管理に気をつけて、ぜひ楽しい旅を満喫してくださいね!
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AKANE
- アルゼンチンのブエノス・アイレス在住のタンゴダンサー、講師。タンゴやブエノス・アイレスの文化・情報について、日本から見て地球の反対側の本場ブエノス・アイレスから情報を発信中。