障害者と行く、黒部峡谷トロッコ電車と善光寺の旅

黒部渓谷

コロナウイルスの感染が爆発している中、オリンピックに続きパラリンピックが開催されました。開催に関しては賛否両論ありましたが、ハンディを負った人達が脚光を浴びる大事な機会になったと思います。

パラリンピックの開催中、数年前に脳卒中で倒れ、一命は取り留めたものの右半身に麻痺が残り、障害者になってしまった友人から久しぶりに連絡がきました。その友人と夏季休暇を兼ねて旅行に行ってきました!

不要不急の外出を控えなければならない時期なので、感染対策はもちろんのこと、今回は「障害者と旅行」というテーマをもって旅をしてきました。

果たして、この国は障害者に対してどこまで配慮が行き届いているのか?旅行という側面から検証して行きたいと思います。

目次

どこへ行く?

黒部峡谷トロッコ電車

どこかいい避暑地はないかとネットで検索してみると、黒部の涼しげな景色に心が奪われました。

しかし、黒部といえば日本屈指の山岳地帯で障害がある友人と山を歩くなんて到底困難であります。別の画像に目をやると何やら山の中を走る奇妙な電車が目に飛び込んできました。よく見ると、普通の電車よりひとまわり小さく、窓ガラスのないオープン車両からスマホで写真を撮っている乗客の姿がありました。さらに調べると黒部にトロッコ電車が走っていることが分かりました。これなら友人でも楽しめそうですね!

ということで...今回のスケジュールは以下の通りです。

  • 【1日目】横浜発ーー岐阜タンメン松本店ーー剱の湯 御宿 野乃
  • 【2日目】宇奈月駅++欅平駅++宇奈月駅ーー道の駅小谷 深山の湯ーー東横イン松本駅前本町
  • 【3日目】善光寺ーー帰宅

※記号:ーー車、++電車

「岐阜たんめん」は期待通りの美味しさ

この旅行に行く前から全国的に梅雨空のような雨が続き、各地に甚大な被害をもたらしていました。

今回利用した高速道路もその影響により途中の通行止め区間で降ろされ、タイトなカーブが続く一般道を迂回しながら目的地に向かいました。早朝から走り続けたせいもあり、お腹が減ってきてしまいました。少し早いお昼になりますが、予定外であった長野県・松本市で何か美味しいものはないかと調べてみました。松本市に失礼ですが、ご当地グルメと言えるほどのものがなさそうなのでサクッとラーメンでも食べようと調べたところ、「岐阜タンメン」というどこかで聞いたことのある名前が出てきました。

そういえば、以前テレビの「秘密のケンミンSHOW」という番組で「岐阜タンメン」を取り上げていたことがあり、機会があれば食べたいと思っていたので、迷わずこの店に決めました!

岐阜タンメン

11時のオープン前に駐車場に到着すると、すでに並んでる人がいました。どうやら人気店のようです。

岐阜タンメン

見た目から一般的にタンメンと言われてるものとは別物ですね。油がかなり浮いていてくどいように見えますが、意外にあっさりしており、にんにくの風味がかなり効いていてクセになりそうな味わいです。麺はほぼ九州の豚骨ラーメンのようなやや芯のある細麺で替玉もあるようです。個人的にはスープがもう少し熱いとなお良かったです。

岐阜タンメン

  • 住所:長野県松本市筑摩1丁目11番13号
  • TEL:0263-74-3084
  • 営業時間:11:00~翌3:00 (ラストオーダー2:30)

>>岐阜タンメンの公式HPはこちら

おサルさんはご立腹

お腹も満たされ岐阜タンメンのにんにくでスタミナを充電したところで、本日の宿泊地の富山県に向かいます。

松本市から1時間ほど、安房峠道路・平湯IC 下り付近の山深い所を走行していると、前方から「えっほらえっほら」と見慣れない動きをする物体がこちらに向かってきました。

野生の猿

野生のおサルさんの登場です。カメラを向けると歯をむき出しにしてこちらを威嚇してきました。

「天然温泉 剱の湯 御宿 野乃」で整う

延々と続く山の中を走って3時間...ようやく本日の宿泊場所に到着しました。

天然温泉 剱の湯 御宿 野乃

フロントに障害者がいることを告げて駐車場の場所を確認すると、ホテルの玄関口の横に駐車させていただき大変助かりました。

天然温泉 剱の湯 御宿 野乃 館内

館内は畳敷きになっており、素足で歩くことができてとても快適です。

天然温泉 剱の湯 御宿 野乃 温泉

旅の疲れを天然温泉で癒します。

温泉

木の香りで落ち着きます。

サウナ

サウナも完備されています。

サウナ時計

サウナ通にはわかるサウナ機器の老舗メーカーメトス社製のサウナで体の芯から温めます。

水風呂

たっぷり汗をかいて、水風呂で整えます。まさに至福の瞬間です。

洗い場

洗い場も独立しています。

アイスキャンデー

なんと湯上り用のアイスまであります。

あんま王

業務用マッサージチェアーの最上位モデル「あんま王」も無料で利用できます。

いくら盛り放題

朝食はバイキング形式でなんと!イクラが盛り放題。

正月以外口にすることができない高価なイクラをここぞとばかりにどんぶりに盛りつけます。

貧乏人丸出しです。

天然温泉 剱の湯 御宿 野乃 受付

富山の中心地からもアクセスが良く、天然温泉等の充実した入浴施設が完備されており、和風旅館のような雰囲気でとても快適に過ごすことができました。

また機会があればぜひ利用したいです。

天然温泉 剱の湯 御宿 野乃

  • 住所:富山県富山市総曲輪3-9-2
  • TEL:076-421-5489

>>公式ホームページはこちら

「黒部峡谷トロッコ電車」で大自然満喫

宇奈月駅

トロッコ電車の出発駅宇奈月駅に到着です。

朝食でイクラを食べ過ぎたせいで少々気持ち悪くなってしまいましたが、ホテルを出発して1時間30分が経過し、ようやく体調も戻ってきました。

黒部峡谷トロッコ電車

いよいよトロッコ電車のはじまりです。宇奈月駅から終点の欅平駅まで約80分の旅です。

猿橋

どんどん山深くなります。眼下にはおサルさん専用の猿橋が見えます。

黒薙駅

黒薙温泉

峡谷最古の露天風呂で、宇奈月温泉の源泉のようです。

宇奈月温泉 源泉

鐘釣駅 

鐘釣エリアは河原に湧き出る露天風呂や万年雪など、見どころいっぱいです。

黒部峡谷トロッコ電車

欅平駅

終点の欅平駅に到着です。景勝地や秘湯めぐりが楽しめるそうです。

欅平駅 ホーム

改札までかなりの距離があります。健常者の人には問題ありませんが、足の悪い人にはきついのではないでしょうか。

欅平駅

欅平

途中で車椅子を借りたりして、何だかんだあり、改札を出るまで15分ぐらいかかりました。

折り返しの電車まで時間がないので、改札から近い足湯に向かいます。

足湯

私の大好きな硫黄臭の白濁湯は、熱すぎず温すぎずとても気持ちがいいです。

中部山岳国立公園

足湯の目の前にある滝です。もう少し浸かっていたいところですが、そろそろ戻らなくてはなりません。

黒部峡谷トロッコ電車

再び宇奈月駅まで80分の旅です。

トロッコ道中

赤い橋

間もなく終点の宇奈月駅に到着です。

往路の乗車したばかりは車内を吹き抜ける風がとても心地よかったのですが、時間の経緯と共に体が寒くなり、景色を見ることに集中できなかったのが残念です。真夏でも天候や時間帯によって気温の変化が著しいので、羽織るものを持参することをおすすめします。

また途中いくつかのトンネルを通過する際、うるさくて耳障りに感じてしまうかもしれないので、個人的には耳栓を持っていけばよかったと思いました。

道の駅 親不知ピアパーク

日本海を経由して本日の宿泊地松本を目指します。「道の駅 親不知ピアパーク」でトイレ休憩。

今日の日本海はとても穏やかです。

「道の駅 小谷 深山の湯」で冷えた体もぽっかぽか

道の駅 小谷 深山の湯

宇奈月駅から休憩を挟んで走ること2時間、長野県に入りました。トロッコ電車の後遺症で冷えた体がなかなか復活しないので、途中に立ち寄った道の駅で温泉治療を施すことにしました。

道の駅 小谷 深山の湯

温泉効果は絶大でした。お湯は黄土色で濁りがあり、鉄の香りがします。私の大好きなサウナもあり、相乗効果で完全復活です。

東横イン松本駅前本町

本日の宿泊ホテル「東横イン松本駅前本町」に無事到着しました。

こちらのホテルも前日のホテル同様、玄関口の横に駐車させていただきました。

善光寺で疫病退散祈願

本日は黒部ダムに行く予定でしたが、予想気温が低く、前日のトロッコ電車で羽織るものがなくて痛い目を見たので、急遽予定を変更し、善光寺に行くことにしました。

善光寺

こちらも境内から近い障害者専用駐車場に車を止めさせていただきました。

善光寺

数年前に訪れた時は平日でも人で溢れていたのですが、今は週末というのに閑散としています。

善光寺

本堂の階段には手すりが設置されてます。本堂の東側面にはスロープがあり、本堂内の「外陣」までは車椅子のまま入れるそうです。

>>車椅子でのお参りについてはこちら

善光寺

  • 住所: 長野県長野市元善町491
  • TEL:026-234-3591
  • 開所時間:平日 8:30~16:30、土日祝 お朝事~16:30

>>公式ホームページはこちら

旅行のまとめ

行き先を決めるのは容易ではない

以前から沖縄に行きたいと言っていたので、沖縄を提案してみましたが、「楽しめそうもない」と却下されてしまいました。

たしかに考えてみると友人が障害者になってから飛行機に乗るのは初めてとのことなので、様々な場面で不安が出てきます。気を使って「どこでもいい」とは言うものの、やはりそういうわけにはいかないですね...。

障害者対応の情報が少ない

現地のトロッコ電車の障害者対応について調べると、障害者についての記述はありますが、手すりやスロープの有無など細かい情報までは載っていませんでした。

また、3つの車両タイプがあり、そのうちの2つはなんとなく乗れそうな感じはしましたが、乗りたいと思っているオープン車両は実際に乗れるのかどうなのか全くわかりませんでした。

やはり、HPだけの情報では限界があるので、現地に電話で確認したところ、普通の電車と違って特殊な構造をしており、乗車する時のドアがないので、実際に現地で乗ってみないと判断できないということになりました。

このように正確な情報収集に時間がかかってしまい、旅行計画を立てづらいのが大きな課題だと思いました。

オープントロッコ電車

高速道路サービスエリアの駐車スペースは?

どこのサービスエリアも駐車場内を横断することなく安全に利用できるよう駐車スペースを設置していますよね。さらに、屋根も付いているので、乗降に時間がかかってしまう障害者には雨の日でも安心です。

サービスエリア

おわりに

今回は、肢体に障害がある人と旅した感想ではありますが、各所で人の手を借りなければならない場面が多かったです。なので、付添人なしで完全に1人で旅行するのは、かなりハードルが高いように感じました。

ポケットの物の出し入れや荷物の上げ下ろし、高低差のある段差や斜面での移動等、普段私たちは何気なくやっていることが、同じ動作を行なう障害者には計り知れない苦労があります。

友人は「明らかに見た目に分かる段差より、健常者なら全く気にも留めない段差の方が怖い」と言っていました。なぜなら、そういうところのほうが段差に気づかずに転倒してしまう危険性があるからです。そのため、歩く時は非常に慎重になってしまうそうです。

このことから私達と景色の見え方が全く違うことがわかりますね。

「もっと障害者の立場に立って」

とか偉そうに国の福祉政策についてとやかく言うつもりはありません。困ってる人を見かけたらひと言声をかける、私たちにできることはせいぜいその程度ではないでしょうか。

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