お寺の参拝方法は? 手順やマナーの基本、神社との違いなどを紹介

参拝

あなたは正しい手順やマナーなど、お寺の参拝方法を知っていますか? 「なんとなく」「見よう見まねで」という人も多いと思いますが、正しい参拝方法を知っていれば自信がもて、安心してお寺に行けますし、結果的にご利益も増すかもしれません。お寺と神社の参拝方法には共通点もありますが、違うところもあります。そこで、神社との違いも交えつつ、お寺の参拝方法を紹介しましょう。

目次

<1. そもそも「お寺」とは何か~神社との違いは?~>

<2. お寺を参拝する手順>

<3. お寺を参拝する際のマナー>

<4. お寺参拝時の「祈願」に関する注意点>

<5. 初詣の参拝はお寺と神社、どちらがいい?>

<6. お寺参拝の記念に御朱印を授かるのもおすすめ>

1. そもそも「お寺」とは何か~神社との違いは?~

私たちが普段「お寺」と呼んでいるのは、仏教の宗教施設のことです。

インドで生まれ、東アジアや東南アジア、南アジアで広く信仰されている仏教は、大きく「大乗仏教(だいじょうぶっきょう)」と「上座部仏教(じょうざぶぶっきょう)」に分類され、日本でおもに信仰されているのは大乗仏教。したがって、日本にあるお寺のほとんどが大乗仏教の寺院です。

一口に「大乗仏教」といっても日本にはおもに13の宗派があり、宗派によって成り立ちや思想、教えなどが異なります。ちなみに、日本で最も信者数の多い仏教の宗派は「浄土真宗本願寺派」で、780万人以上の信者がいるといわれています。

一方、「神社」は日本古来の宗教である「神道(しんとう)」の宗教施設です。お寺よりも数が多く、小さなものも含めると、日本全国に8万5,000以上の神社があるとされています。

お寺と神社の見た目の違いとして、神社には「鳥居」があること、お寺には仏像があることなどが挙げられます。

一方、仏教と神道は本来別々の宗教でありながら、単純には切り離せない面も。8世紀の奈良時代から徐々に「神仏習合(しんぶつしゅうごう)」と呼ばれる仏教と神道の融合が起こったことで、日本独自の信仰のあり方が生まれました。

仏教と神道の両方を自然と受け入れ、お寺でも神社でも手を合わせる日本人の宗教観は、世界的に見てもユニークなものといえるでしょう。

2. お寺を参拝する手順

お寺の参拝手順には神社と似たところもありますが、違うところもあります。せっかくお参りする以上、きちんとご利益が得られるよう、参拝手順を頭に入れておきましょう。

山門に一礼(合掌して一礼)

多くの寺院には、「山門」といわれる門があります。山門はお寺のメインエントランスのようなもので、山門から先は、仏様がいらっしゃる神聖な場所。

山門
<出典:写真AC

「お邪魔します」の気持ちで静かに合掌し、一礼してから門をくぐりましょう。礼の際は上半身を45度くらい傾けます。

手水舎で身を清める(左手→右手→口→左手→柄杓の順)

お寺の境内に手を洗うスペース、手水舎(ちょうずや・てみずや)があれば、まずはそこで身を清めます。手水舎には手と口を洗って、参拝の前に心身を清めるという意味合いがあります。

手水舎
<出典:写真AC

手水の作法は神社と同じです。下記のように、「左手→右手→口→左手→柄杓(ひしゃく)の柄(え)」の順番で清めていきます。

  1. 右手で柄杓を持ち、手水をすくい左手を洗い清める
  2. 柄杓を左手に持ちかえ、右手を洗い清める
  3. 柄杓を再度右手に持ちかえ、すくった手水を左手にため、口をゆすぐ
  4. 音を立てずに軽く口をゆすぎ、ゆすいだ後は静かに水を吐き出してください。また、柄杓に直接口をつけるのはご法度です。
  5. 柄杓を再度右手に持ちかえ、口をゆすいだ左手を洗い清める
  6. 柄杓を両手で持ち、柄に水がかかるように手前に傾けて洗い清める
  7. 柄杓を元の位置に戻し、手水舎に一礼する

梵鐘を撞(つ)く ※許可されている場合のみ

「梵鐘(ぼんしょう)」とは、お寺に設けられている鐘(かね)のこと。「その音色を聴く者は一切の苦難から逃れ、悟りに至る功徳がある」とされているほか、法事の際などに供養として鳴らしたり、時報として鳴らしたりすることもあります。

梵鐘
<出典:写真AC

参拝者が自由に鐘を撞いていい場合、「撞木(しゅもく)」と呼ばれる木製の棒を 2~3回振って振り子の力で鐘を撞きます。

梵鐘を撞くうえで覚えておかねばならないのが、必ず参拝前に鐘を撞くことです。お寺から出るときの鐘は「出鐘」と呼ばれ、死者を送るときの鐘とされているので縁起が悪いからです。

一般の参拝者が梵鐘を撞いていいのは、あくまでも許可されている場合のみ。寺院関係者以外が鐘を撞くことを禁じている寺院もあるので、寺院の定めに従いましょう。

お線香を焚く ※ある場合のみ

お線香がある場合、設置されているロウソクなどで火をつけてお線香を焚きます。お線香の火は手であおいで消します。息を吹きかけて消すのはマナー違反ですので、やめましょう。

火のついたお線香は、真ん中から香炉に供えます。明確なルールはありませんが、次の人がお供えしやすいように配慮すると良いでしょう。

香炉
<出典:写真AC

一部のお寺では、大きな香炉(こうろ)が置いてあることも。参拝者の線香で常に煙が立っていることから「常香炉」と呼ばれます。参拝前に身を清めるという意味合いが強いですが、香炉の煙を身体の痛い場所や具合の悪いところに浴びると良くなるともいわれています。

お賽銭を入れる(投げずにそっと入れる)

静かな気持ちで本堂の前に立ったら、賽銭箱にお賽銭を入れます。仏様にお参りするわけですから、お賽銭は投げずにそっと入れるのがポイント。

お賽銭はお布施であり、「いくらが正解」というのはありません。金額は自分の気持ちで構いませんが、願いごとが深ければ深いほど、大きな金額を出す人が多いようです。

なお、お賽銭は自分の代償として納めるものなので、小銭がないからといって人からもらったり借りたりするのは望ましくありません。機会を改めても良いので、できるだけ自分のお金を入れるようにしましょう。

鰐口(わにぐち)を鳴らす ※ある場合のみ

「鰐口」とは、お堂の正面軒先に吊り下げられた金属製の仏具で、神社でいう鈴にあたります。鰐口は家のインターフォンのようなもので、鰐口を鳴らすことで「来ましたよ」と仏様に伝えるという意味合いがあります。

鰐口
<出典:写真AC

ただし、必要以上に大きい音で鳴らすのは仏様に失礼。鳴らす際は力を入れすぎないように注意し、大きな音よりも心地良い音を出すことを意識しましょう。

礼拝する(手はたたかない)

準備が整ったらいよいよ礼拝。本堂の外から礼拝する場合は、背筋を伸ばし、指をまっすぐ伸ばして手のひらを合わせ、そのまま上半身をかがめます。礼堂内に入れる場合は、正面からご本尊に向かい合い、姿勢を正して合掌します。いずれの場合も、「仏様に顔を見せる」ことを意識して。

お寺にお参りするときに覚えておきたいのが、手をたたかないこと。神社では礼拝時に手を打ちますが、基本的にお寺では手をたたきません。ただし、真言宗では手をたたく作法がありますし、地域によっては多くの人が手をたたく場合もあり、例外もあります。

ご利益を祈願した後は、「南無阿弥陀仏」などご本尊の名前の前に「南無」をつけて唱え、合掌したまま上半身を45~90度ほど傾けてお辞儀します。

山門に一礼(合掌して一礼)

参拝を終え、山門から出るときは、もう一度合掌して本堂に一礼します。

3. お寺を参拝する際のマナー

お寺は観光施設ではなく、宗教施設。基本的に、ご本尊をはじめとする仏像や貴重な絵画などの美術品は写真撮影が禁止されている場合が多いです。

「写真撮影禁止」「立ち入り禁止」など、寺院が定めたルールは必ず守るようにしましょう。

また、ショートパンツやミニスカート、タンクトップやキャミソール、ダメージジーンズなど、肌の露出が多い服装、カジュアルすぎる服装での参拝はあまり好ましくありません。明確な決まりはありませんが、お寺を参拝する際は、肌の露出を控え、落ち着いた服装を心がけましょう。

お寺に限ったことではありませんが、大声で話さない・騒がない、公共の場所を独占しないなど、当たり前のマナーを守ることも大切です。

4. お寺参拝時の「祈願」に関する注意点

お寺に参拝した際にお願いごとをする場合、いきなり願いごとをするのは失礼にあたりますので、注意が必要です。まずは心の中で自分の名前と住所を仏様に伝えましょう。次に感謝を伝えた後、ひとつだけお願いごとをします。

できれば私利私欲のためでなく、「世界が平和でありますように」「家族が健康でありますように」など、他者の利益や幸福も一緒に願うと良いでしょう。

5. 初詣の参拝はお寺と神社、どちらがいい?

「初詣は神社じゃなきゃダメ」と考える人もいますが、神社に初詣に行っても、お寺に初詣に行っても、どちらでも構いません。

「初詣」とは、「過ぎた一年を感謝し、新しい一年も無病息災に過ごせるよう、年の初めに神仏にごあいさつに行くこと」です。昔は地元の寺社に参拝するのが習慣となっていましたが、鉄道の普及等により、足を伸ばして有名な寺社にお参りに行く人も増えています。

初詣の場所は自分の信条や目的に合わせて自由に選んで良いですし、神社とお寺の両方にお参りしても構いません。

6. お寺参拝の記念に御朱印を授かるのもおすすめ

近年人気を集めているのが、「御朱印(ごしゅいん)」集め。「御朱印」とは、お寺や神社に参拝した証として授与されるもので、寺社の印章と寺社の名前、神様や仏様の名前などの墨書きで構成されています。

近年は、持ち歩きたくなるおしゃれな御朱印帳が販売されており、SNS映えする趣向を凝らした御朱印もあり、さまざまな寺社の御朱印を集めて回る人が増えています。

御朱印をいただく際は、あらかじめ御朱印帳を用意し、お寺の授与所でお願いしましょう。通常、300~500円程度の御朱印代がかかります。大きなお寺や観光客が多いお寺では、オリジナルデザインの御朱印帳を販売している場合も。御朱印を授かることで、思い出が形として残るだけでなく、仏様とのご縁もさらに深まりそうです。

正しい参拝方法を知ることも大切ですが、お寺では何よりも仏様を敬う気持ちや感謝の気持ちが大切。お寺を参拝する際には、上記を参考にして、仏様に尊敬の念や感謝の念を伝えるようにしてくださいね。

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