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伏見の街に存在する徒歩15分の秘境!大岩神社で非日常空間を体験する
鬱蒼とした密林の中に佇むいにしえの建造物。そういった「秘境」ともいうべき場所へは、お金と時間をかけなければなかなか行けぬもの。
「もし、自分の家の近くにあれば素敵なのに......」と考えたことはないでしょうか。
家のすぐそばとまではいきませんが、駅から徒歩15分程度歩くだけでたどり着ける、身近な秘境が京都に存在しています。
それが、伏見区深草大岩山(御草山)にある謎の史跡「大岩神社」です。
京都ファンにも知られていないこの穴場。他にはない、独特な空気と風景を味わえます。
目次
謎多き京都伏見大岩神社の歴史
<大岩神社の由緒について書かれた看板>
大岩神社に関して、詳細な記録はほとんど遺されていません。徳川家康が上洛した際、大岩山で馬の飼草を賄ったという記録はあるようです。
しかし、それ以外の出来事について明らかではありません。江戸時代に起きた山火事等により、ほとんどの史料が失われてしまったためです。そのため、いつごろなぜこの神社が創建されたのかもわからぬままになっています。
結核等の難病治癒にご利益があるとのことで、戦前までは多くの参拝者で賑わっていたそうです。ですが、現在は廃神社となり荒れ果てています。
一方、参道が京都の史跡を散歩できる「深草トレイル」の一部として整備されたことに加え、この場所の独特な雰囲気に魅せられた人々がネットで情報共有を行ったことにより、穴場的な観光スポットとして一部で知られるようになりました。
京都伏見大岩神社へのアクセス
<大岩神社の最寄り駅である京阪藤森駅>
大岩神社の最寄り駅は、京阪電鉄京阪本線藤森駅です。急行や特急は停まりません。
<大岩神社への道はやや急な坂道になっている>
到着までにかかる時間としては、およそ徒歩10~15分程度。府道35号線をまっすぐ歩いていけば、赤い鳥居を見つけられるでしょう。
<大岩神社ならび大岩山の入り口>
ゆるい坂道を歩いているとポツンと出てくるので、何も知らずに通りがかった人は驚くかもしれません。
交通量の多い場所を歩くため、移動の際は周囲にご注意ください。
竹林に覆われた神秘的な空間
<大きく成長した竹に囲まれた大岩山登山道>
山に入ってまず驚かされるのが、圧倒的な竹林の風景。京都の竹といえば嵐山の小径も有名ですが、この大岩山における竹林の深さもまたすごいもの。
伏見の街中であるにもかかわらず、あたかも人里離れた山奥を訪れたかのような、神秘的な雰囲気を醸し出しています。うっかり竹林の中に入ると呑み込まれてしまいそう......。
<天高くどこまでも伸びる竹>
見上げると、空が竹に覆われていました。竹ってここまでの長さにまで育つものなんですね。
<竹林をどんどん先に進んでいく>
トレッキングを楽しむ方のために道はある程度整備されていますが、それでも歩きやすいというわけではありません。地面はでこぼこしており、折れた枝などが落ちていることもあります。
少なからず、クモの巣も張られていますので、虫嫌いの方はご注意を。
<竹林の奥には朱色の鳥居>
しばらく歩き続けていると、古びた赤色の鳥居が見えてきます。
緑の中に赤がポツンと、なんともミステリアス。
<奥へ進めば進むほど、緑色と湿気が濃さを増す>
竹の数は減り、シダ植物やササが目立ってきました。この日が曇りだったこともあるのですが、森の中が暗く感じます。
山道自体はほぼ一本道なので、迷うことはまずありません。それでも、決して道の外へは出ないようにしましょう。冗談ではなく、遭難するおそれがあります。
森林の中に佇む異形の石門
<「ヌシ」的なものが存在していてもおかしくない沼>
さらに歩き続けていると、なんとも深そうな沼が。沈んでいる木々もあいまって、非日常的なイメージを感じさせてくれます。
<刻まれた文字によれば、この石碑は昭和55年に寄進されたとのこと>
沼のそばには「白姫龍神大神」と刻まれた石碑が建てられていました。白姫龍神は水に関わりの深い神であり、主に病気平癒にご利益があるのだとか。
<あの石造りの建物は一体......?>
沼からそう遠くない場所には、何やら不思議な建造物が。石造りの鳥居のようですが......。
<無人の神社で木漏れ日を受けて輝く彫刻。>
これは、京都出身の日本画家である堂本印象氏によって寄進された石造の彫刻です。中村広次郎氏という方が石工として携わったとされています。堂本氏の生没年が1891年から1975年であることを考えると、少なくとも40年以上前にはすでにここに建てられていたようです。
どことなく、ギリシャ神殿を彷彿とさせるデザインのように思えます。
<右の鳥居には「金婚記念」の文字が>
彫刻のそばには、ふたつの鳥居と小さな祠が。朽ちたその外観が経過した年月を感じさせます。
<石段を上りさらに奥深くへ>
山道はまだまだ続きます。石段を上ってさらに進んでいきましょう。
かつての賑わいを感じさせる大岩神社境内跡
<境内周辺は壊れた石灯篭や柱が散らばっていた>
うねるような山道を歩いていくと、破損した灯篭や石柱が散乱する場所に出ます。
これがどうやら、本来の大岩神社境内のようです。
<左端にある黒い円柱は、折れた鳥居の根本>
本来ここには大きな鳥居がありました。しかし、台風や経年劣化が原因で倒壊し、その後撤去されてしまったそうです。
<苔や蜘蛛の巣も少なく、良好な状態の拝殿>
拝殿の周りはとてもきれいな状態でした。地元の方々によって管理されているのでしょう。
<ほどよい陽射しが差し込む拝殿>
かつてはここで、多くの人々が自身や家族の健康を祈願したのでしょうか。
<先ほどのものよりはやや小さめな彫刻>
堂本氏寄進の彫刻がここにも。
<ズラリとならんだ灯明>
参道には、献灯された多くの灯明が並んでいました。この神社がどれだけ多くの人に愛されていたかが実感できます。
<大岩山展望台、晴れだったら京都市内が一望できた>
本殿から少し歩けば、展望台に到着。
この日はあいにくの曇り空ですが、非日常から日常に戻ってきた達成感があります。
まとめ
大岩神社は京都各地に存在する名所の中でも、非常に独特なスポットです。一部では、心霊スポットやパワースポットとしての知名度もあるのだとか。
日常のストレスに押しつぶされそうになったのであれば、一度この場所を訪れてみるのもよいでしょう。はるか昔の信仰の跡に触れることで、心が癒されることもあるかもしれません。
ただし、出かけるのであれば準備は万全に。滑りにくい運動靴やトレッキングシューズは必須です。
大岩神社の雰囲気を楽しめる風景動画
同日写真とともに撮影したものです。神秘的な雰囲気をお楽しみください。
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緑一郎
- 関西を拠点に活動するフリーランス。ライティングだけでなく、写真や動画に関する仕事も手がけています。あまり多くの人に知られていない場所を積極的に紹介していければと考えています。