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スペインから日本への入国と隔離待機体験レポート
コロナ禍ではありますが、事情があって日本に一時帰国しています。スペインはコロナウイルスの陰性証明書やワクチン証明書がなくても日本人観光客の受け入れを始めましたが、日本への入国は厳しい!!
今回はスペイン出国から日本での2週間の隔離が終わるまでの私の体験をレポートします。
目次
ワクチン接種が確定し、航空券購入
5月末にバレンシア州の保険庁から携帯電話にSMSでワクチン接種のお知らせが届きました。1回目と2回目の接種日時と場所、そしてファイザーであることが記されていました。
日本へ一時帰国する前にワクチン接種を済ませたかったので、このお知らせを待っていたのです。早速航空券を探し始めました。コロナ禍による減便で、以前ほどの選択肢はありません。フランクフルト経由かパリ経由かで迷い、ドイツとフランスの乗り継ぎに必要な書類を調べたところ、どちらもスペイン出国前72時間以内に受けたPCRの陰性証明が必要でした。これは日本への入国条件と同じです。
とにかく大事なのはPCRの陰性証明書
スペインでPCR検査を受けられる医療機関は多々ありますが、たいていどこも結果がわかるのは翌日で、土日祝日は休みだったりします。また、確実に日本に入国するためには日本政府指定の陰性証明書が望ましいため、それに結果や個人情報を記入してもらう必要があるため、72時間とは長いようで短いのです。
運よく私が住むバレンシアには結果まで3時間、その後すぐに医師が目の前で日本政府指定の証明書に必要事項を記入してくれるクリニックがあり、出発前日に予約を入れました。日本政府指定の用紙でも不備があって日本に入国できず送り返された在外邦人が何人もいると聞いていたので、目の前で"正しい記入例"を見ながら記入してもらえることは本当にありがたかったです。
ほかに用意したものは、次の通りです。
- 乗り継ぎのパリで必要になるかもしれない誓約書。在仏日本大使館のHPからダウンロードしましたが、パリの空港では提示を求められませんでした
- 日本入国時に必要な誓約書。厚生労働省のHPからダウンロードしました
- 厚生労働省の電子質問票に答えて入手できるQRコード。座席番号が必要なのでオンラインチェックインをして、あらかじめ自宅でプリントしておきました
これ以外に隔離期間中に必要な携帯のアプリ『位置情報確認アプリ(OEL)』、『健康居所確認アプリ(MySOS)』、『接触確認アプリ(COCOA)』をあらかじめ携帯電話にダウンロードし、『位置情報設定・保存』ができるようにGoogleマップを設定しました。
情報収集に使ったのは、日本の外務省や厚生労働省、在スペイン日本大使館、今回利用したエア・フランス、乗り継ぎ国フランスの日本大使館のHPです。
空港到着から入国までに4時間以上!!
そしていよいよ出発です。チェックインカウンターでは、陰性証明書の提示を求められました。ガラガラかと思ったバレンシア空港は、思ったよりは人出がありました。既に夏休みだったので、バケーションに行くスペイン人やEUの人だったようです。パリの空港で日本行きの飛行機に搭乗する際には、日本入国時に必要な陰性証明書を見せる必要がありました。なお、エア・フランスでは布マスクでの搭乗は禁止されていました。
<©TVCB, Valencia. Todos los derechos reservados. www.visitvalencia.com>
パリからおよそ11時間で羽田空港に到着。1年半ぶりの日本です。飛行機を降りた後、オリンピック関係者と一般に分かれ、長い入国審査が始まります。
- 陰性証明書の提出、パスポートと搭乗券のチェック
- 誓約書チェック、健康カード記入
- PCR唾液検査
- 携帯電話に必要なアプリがインストールされているかのチェック
- 届け出たメールアドレスにテストメールが届くかの確認
- 誓約書確認
- QRコード読み込み。誓約書と健康カードのチェック
- 誓約書提出、パスポート、健康カード確認
ちょっと記憶があいまいですが、こんな感じでたくさん歩かされました。
<帰国者識別のため、手にこんな色紙をつけてあちこちをまわりました>
スペインからの帰国者は3泊4日のホテル待機が義務
この後PCRの結果が出るまで待合室で待機します。私は1時間半ほど待ちました。
陰性だと分かった後は入国者数人でグループになり、やっとのことパスポートコントロールを抜けて入国!! それからスーツケースをピックアップして、空港の外に出るとすぐにバスに乗り込みます。というのも、スペインからの入国者は、検疫所が確保しているホテルでの3泊4日の隔離待機があるのです。
バスに乗ってはじめて行き先が羽田にあるホテルだとわかりました(横浜や両国になるケースも)。この日は同じ時間にも到着便があって混んでいたのか、空港に到着してからホテルの部屋に入室するまでなんと5時間以上かかりました。
<ホテルの部屋からの見晴らしがよく、開放感を得るためカーテンは閉めませんでした>
ホテルでは、一歩たりとも部屋から出ることはできません(コインランドリー使用希望者は予約制)。1日3回の食事はドアノブにかけられるので、アナウンスがあったらマスク着用の上それをとるというシステムになっていました。食事はホテルによってだいぶ差があるようで、残念ながら私が泊まったところは今ひとつ。差し入れやデリバリーがOKのホテルだったので、品川に住む友人が食べたかったフルーツやプチトマトを預けに来てくれて嬉しかったです。
2週間に及ぶ徹底した帰国者管理
到着翌日から2週間の間は毎日午前中に健康確認のメールが届き、14時までに返信しないといけませんでした。それ以外に、毎日携帯電話に位置情報確認のお知らせがあります。受け取ったらすぐに応答することで現在地が報告されるようになっています。また、ほぼ毎日AIによる自動ビデオ通話アプリがかかってきて、背景がわかるように自分の顔を30秒写しました。2日に1度くらいの割合でオペレーターに顔を見せながらビデオ通話することもありました。
隔離待機先のホテルでは、3泊した後の朝にPCRの唾液検査があります。スペインからの入国者の場合、これで陰性だったら夕方に退所することができます。ただ隔離待機は入国翌日から丸14日間続きますので、退所後の移動には公共の交通機関は使えません(身内に迎えに来てもらうかレンタカー、ハイヤーのみ)。私の場合は実家の家族にワクチン未接種の者がいたため残りの期間は民泊施設で過ごすことにしたので、空港からは手配した車でそこへ移りました。近くに食品など生活必需品を買いにいくことだけは許されていても、10日以上の引きこもり生活はストレスですね。体調もすぐれず鬱々とした日々を過ごした後、晴れて自由になりました!!
日本入国後の管理が思ったより厳しく驚きましたが、それでもルールに従わない人がいるそうですね。そういうわずかな人のせいで、まじめに2週間の隔離待機を送る大勢の帰国者が色眼鏡で見られることはとても残念です。日本でもスペインでもワクチン接種が進んでいる一方で、また感染者が増えています。早く気軽に海外への渡航ができる日々が戻ってくることを心から願ってやみません。
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田川敬子(Keiko Tagawa)
- 1996年スペインにひとめぼれ。以後何度も渡西し、2002年春に夢がかなってスペインで日系企業に就職。その後現地企業を経て、現在はオリーブオイルソムリエ/テイスターやライターとして活動中。