レトロ・ビルディング巡りで感じる神戸のモダニズムと歴史

神戸は異人館がよく知られていますが、多くの住居用だった洋館が残っている異人館に対し、海側にある旧外国人居留地には、石造りのレトロ・ビルディングが多く残されています。

南京町のすぐ隣に広がるエリアですが、南京町の喧騒を離れて神戸の歴史を感じるお散歩はいかがでしょうか?

目次

神戸の歩き方

神戸は北に六甲山(山)、南に神戸港(海)があるので、道順や場所を説明する時には、山側(北)海側(南)を使う人が多いです。東西南北も良く使われます。

神戸の人は「向かって右側」と言う表現はあまりしないので、海側は南、山側は北と覚えておくと、街歩きがしやすくなります。

旧神戸外国人居留地とは

1868年の開港とともに当時神戸に住む外国人用に設けられたエリアの事を指します。 東はフラワーロード(神戸阪急、西側の広い道)、西は鯉川筋(メリケンロード)、南は海、北は旧西国街道(神戸大丸店、山側の道)に囲まれた一帯です。

当初、外国人はこのエリアだけに住むことが許されていましたが、その後、雑居地(日本人と同じエリア)にも住むことが許可され、北野に住居を構える外国人が多くなりました。その結果、旧居留地には石造りのビルが多く残り、北野には住居であった洋館が多く残っています。

神戸の歴史を感じるお散歩スタート!

神戸メリケンビル

メリケンロード(鯉川筋)を海側に歩いて行くと、海岸通りとの交差点の所に荘厳な建物があります。これが神戸メリケンビルです。

神戸メリケンビル

1918年、旧日本郵船神戸支店として建築されたビルで、建設当初は屋上にドームがあったそうですが、神戸空襲で焼失してしましました。日本郵船ビルが建つ前は、The Hyogo Hotelと言う洋館のホテルが建っており、その前はアメリカ総領事館がこの場所にありました。

アメリカ総領事館跡

実はこのビルの名前が「メリケンビル」になったのは、つい最近の2019年です。日本郵船がこのビルを日本港運株式会社に売却し、名前が変わりました。メリケンビルの由来は、開港当時ここにアメリカ総領事館があった事から名付けられたと言われています。

メリケンビルからまっすぐ行くと、メリケンパークですが、今回はメリケンロードを渡って東に向かって歩いて行きましょう。

シップ神戸海岸ビル

メリケンビルからメリケンロード(鯉川筋)を渡って歩いて行くと、シップ神戸海岸ビルが見えてきます。

シップ神戸海岸ビル

1918年に三井物産神戸支店として建設されました。第二次世界大戦中の神戸空襲では大きな被害を受けなかったそうですが、阪神淡路大震災では全壊認定をうけ撤去されました。その時外壁を保管し、その後同じ場所に建設された高層ビルの低層部にその旧外壁を再現しました。

シップ神戸海岸ビル

復元された外壁には、神戸空襲の掃射爆撃で受けた銃弾の痕が残っています(写真右側のシミの様な跡)。ビルが壊れる程の攻撃は受けませんでしたが、戦争の爪痕はこんな形で残っていました。

三井商船ビルディング

シップ神戸ビルディングのすぐ東隣に建っているのが、商船三井ビルディングです。海岸通りに面した角が丸くなっているのが特徴です。

商船三井ビルディング

1922年、旧大阪商船神戸支店として竣工。神戸海岸通りを代表する近代建築、商船三井ビルディング。大正時代に建てられたビルですが、今でもオフィスビルとして現役です。

チャータードビル

海岸通りを東に進んで行くと、チャータードビルがあります

チャータードビル

1938年にイギリスのスタンダート・チャータード銀行神戸支店として竣工されました。

海岸通りには、日本を代表する海運会社や商社のビルが並んでいますが、世界的な銀行の神戸支店があったと言うのも、貿易都市として繁栄する当時の神戸を想像する事が出来ます。

チャータードビル

今、名前を残しているのは、この小さな木の看板のみです。

海軍操練所跡碑

レトロ・ビルディングではありませんが、チャータードビルから海側に渡ると、海軍操練所跡の変わったモニュメントがあるので、ちょっと寄り道してみましょう。

海軍操練所跡碑

大きな錨のモニュメントが目を引きます。この錨の重さは、1トン以上もあるそうです。

海軍操練所とは、軍艦奉行であった勝海舟が14代将軍徳川家茂に進言し、1864年に神戸に創立された海軍士官養成所です。坂本竜馬が学んだことでも有名です。しかし、2年後の勝海舟の更迭により閉鎖されてしまいました。その後、開港と同時にこの辺りが外国人居留地になりました。

神戸市立博物館

海軍操練所跡碑から海岸通りの信号を渡り、京橋筋を北に向かって歩いていくと神戸市立博物館があります。

神戸市立博物館

1935年竣工の、旧横浜正金銀行(現三菱東京UFJ銀行)神戸支店を転用(のちに増築されている)した建物です。1998年に登録文化財に登録されています。

他のレトロビルに比べると、比較的新しいですが、昭和初期のモダニズムを伝える迫力のあるビルディングです。

>>神戸市立博物館のHPはこちら

おわりに

レトロ・ビルディングを巡るお散歩はいかがでしたでしょうか?

全てが狭いエリアに集中しているので、短時間で回ることができるのも便利です。

戦争や震災に耐えて来たレトロ・ビルディングを見ると、神戸の力強さのようなものを感じます。華やかなイメージの観光地が多い神戸ですが、こういう側面から見る神戸もまた興味深いと思っていただけたら嬉しいです。

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蘭子

神戸在住。アメリカ、マレーシア、シンガポールと、トータル20年に渡る海外生活から去年帰国しました。シンガポール在住時は現地レポーターとして発信しておりましたが、これからは故郷神戸の良さをお伝えする事が出来れば、と思っております。昔ながらの神戸から新しい神戸まで、いろいろ探ってお伝えします。

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