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【新型コロナウイルス】ブラジルの深刻な状況(2021年4月8日現在)

昨年4月、「たびこふれ」で初めてブラジルのコロナの現状について報告しました。
あれから一年が経ちましたが、今年もまた、このテーマを扱うことになるとは去年の時点では想像もしていませんでした。しかも、去年よりもずっと酷い状況になっていることをリポートしなければならないなんて・・・。
今、ブラジルは第二波、しかも一番厳しい状況下にあります。変異株が猛威を振るっており、先月3月はパンデミック始まって以来最悪の月で、死者数はたったひと月で6万6,573人でした。そして、現在(4月8日付)の感染者数は1,327万9857人で、死者数は34万5,025人です。
今回は、第二波が引き起こしたブラジルの深刻な事態を報告したいと思います。
目次
ブラジルの第2波
ブラジルは第一波の抑制に成功することなく、2020年11月中旬から第二波に入りました。11月の始めは、新規感染者数が下げ止まりを続けていたのですが、徐々に増加に変わり、11月半ばに第二波に入ったとみなされています。
その原因は、2020年11月22日に発表された医療専門家グループのテクニカルノートによると
- システマチックな感染ルートの究明と濃厚接触者への検査がないこと
- 明確で有効な一貫した全国的な対策の不足
- 専門家の意見を無視した大幅な行動規制の緩和
が挙げられています。
マナウス市の酸素ボンベ不足
今年1月に入り、アマゾナス州マナウス市で医療崩壊がおこりました。
最初の9日間で、12月の入院患者数を超え、病床が逼迫。それにより酸素ボンベが不足する事態に発展。1月14日は、窒息死が原因で亡くなる患者が出ました。
全国規模の医療崩壊
今年に入り、ブラジル南部の3州(リオグランデ・ド・スル、サンタ・カタリナ、パラナ)においてコロナ感染者が爆発的に増加しました。そのため、3月初めには、医療崩壊が起こり、重症患者が緊急治療室(ICU)にすぐに入れない事態を引き起こしました。サンタ・カタリナ州では、1月から3月末までの統計によるとICU待ちの患者が251人亡くなりました。
そして3月半ばには、公衆衛生研究機関のフィオクルス財団が「全27州・連邦直轄区の内24州+連邦直轄区でSUSのICU病床使用率が80%以上。その内15州は90%以上埋まっている」と報告しました。つまり2つの州を除いては医療が崩壊しており、「ブラジル始まって以来の医療崩壊の事態」に直面しました。
それに呼応するかのように、死者数も増加。3月9日には米国の一日当たりの死者数を上回り、4月6日に至っては、一日当たりの死者数が初の4千人越えの4,195人になりました。
変異株
第2波の特徴は、マナウスで出現した変異株がブラジル国内に広まったことです。もう一つの特徴は、感染者の年齢層が若くなっていることです。フィオクルス財団の調査によると、2021年1月第一週目と比較して30代から60代が劇的に増加し、30代は約565%、40代は626%、50代は約526%増加しました。そして、3月第2週目の感染者の平均年齢は58歳で、死亡者の平均年齢は66歳でした。
ワクチン接種状況
ワクチン接種は1月17日、サンパウロ州から始まりました。現在使用されているワクチンは、中国シノバック製と英アストラゼネカ製のものです。全人口の10.47%にあたる2,200万人(4月8日付)が少なくとも一回目の接種を受けました。ワクチン確保が出遅れたため、接種ペースが加速されず、政府は強い批判を受けています。
社会状況
ブラジルでは、コロナ対策の権限は州・市政府にあります。このような深刻な状況下で、ロックダウンやそれに近い行動規制を実施しているところもあれば、経済を優先して、緩い措置しか取らないところもあります。
このように州によって違い、一度も国全体で統一された措置は取られたことがありません。ボルソナロ大統領がコロナ対策としての経済活動や外出の制限に否定的なので、今後も全国レベルでのロックダウンは行われそうにはありません。また大統領に追随する国民も少なくなく、行動規制に反対する人が未だにおり、ブラジルのコロナ感染拡大を抑制することはもはや無理なのかという気さえします。
今、私が住んでいるサンパウロ市は、ロックダウンに近い措置が取られており、食料品店や薬局などの生活に必要不可欠な商業施設以外を除いては休業。市民への外出自粛要請と午後8時~午前5時までの外出禁止措置が実施されています。来週12日からは少し緩和されますが、まだまだ自宅待機の日々は続くと思います。
まとめ
ブラジルの新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからなくなっている現状をお知らせしました。医療崩壊の恐ろしさをまざまざと感じています。
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オシャラ
- ブラジル在住19年。今はサンパウロに住んでいます。現地ならではの旅情報を発信していけたらと思います。