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【チリ】マプチェ族が住む街テムコとコンギジオ国立公園
南米の国々にはいろんな民族が住んでいます。ペルーにケチュア民族、ボリビアにアイマラ民族がいるように、チリにはマプチェ族が暮らしています。今回は彼らが多く住む街テムコと、近くにあるコンギジオ国立公園を紹介したいと思います。
目次
マプチェ族について
マプチェ族はチリとアルゼンチンの南部に住んでいて、インカ帝国の攻撃に耐えた唯一の民族とも言われています。マプチェ族の中でも海岸沿いに住むグループ、アンデス山脈に近い内陸に住むグループ、南緯40度以南のパタゴニアに住むグループなどがあり、住む場所によって生活様式は違いますが、共通しているのは彼らは自然を崇拝し大切な自然に負担をかけずに暮らしてきたことです。彼らの伝統的家屋は素朴で、土間があり竪穴式住居を思い出させます。
最初に見た時「21世紀に竪穴式住居??」とすら思ってしまいましたが、全ての材料が近所の自然で調達でき、逆に「文明」や「発展」とはなんだろうと考えさせられました。彼らのように皆が暮らしていたら環境破壊は今よりずっと少なかったのでは?
いわゆる「チリ人」の多くは、マプチェ族とスペインをはじめとするヨーロッパ人の混血で、現在、生粋にマプチェの暮らしをしている人はごく少数です。さらに19世紀・20世紀に起きた「チリ人」による土地の略奪問題が今も終結しておらず、複雑な政治問題になっています。
テムコの街と市場
テムコはマプチェ族がたくさん住むアラウカリア州の州都でチリ南部では2番目に大きい街です。チリで一番、原住民色が濃くいわゆる「南米っぽい街」だと私は思っています。中心にある市場Feria Pintoでは、マプチェ族の人たちが路上で収穫物を売っていてにぎやかです。
朝早く行くと生きた鶏や羊も売ってるそうです。彼らは馬に乗るので乗馬用品や革製品、動物の餌などもたくさん売られています。
海沿いに住むマプチェの人たちが牛車に収穫した海藻を乗せて売りに来ていました。こんな風景が未だに見られるのはこの街ならではだと思います。
これはチリ名物でもあるメリケンというマプチェ族の香辛料。
いぶした赤唐辛子にコリアンダーの種、塩が混ぜてあり、日本の七味唐辛子に似ていてお土産におすすめ。
もちろんテムコには近代的なエリアやレストランもありますが、やはりこの街の見どころは中心地の市場周辺でしょう。
コンギジオ国立公園
コンギジオ国立公園は、テムコからアンデス山脈方面に車を走らせ約2時間。ジャイマ火山のふもとにあります。そして周辺には今も伝統的に暮らすマプチェの人々が住んでいます。
<公園入口では入園料〔日本円で約1,600円〕を払い、パスポート番号などを記入します>
この国立公園での見ものは、ジャイマ火山の美しさとアラウカリアの木々。アラウカリアにはピニョンという松の実を巨大にしたような実がなり、これがマプチェ族の大切な食料になっていました。木は薪に、樹脂は薬に使われマプチェ族の生活にはなくてはならない木です。
アラウカリアは独特な存在感があって恐竜を思い出すような樹皮、かわいらしい腕のような枝が伸びていて見ていて飽きません。
コンギジオ国立公園の中は車で訪ねることができ、広い公園の中を車で移動しながらいくつもあるトレッキングコースを歩くことができます。私はその中でも一番メジャーなsierra nevada コースを歩いてきました。往復5時間ほどのトレッキングコースで、子どもも楽しむことができる程度の難易度。頂上では素晴らしいジャイマ火山と湖、アラウカリアの森の眺めを見ることができ、とても感動的でした。
もちろん日帰り可能ですが、自然を楽しみたい人はテント泊やコテージ泊をおすすめします。夜の静寂と天気が良ければ南半球の星座観察を楽しむことができますよ。
ちなみに、おすすめの季節は晴れの日が多い夏の12月-3月まで。4月は晩秋の寒さ、それ以降は雨や雪の日が多くなります。
最後に
今回はごく簡単にチリ南部の原住民マプチェ族と、中心都市テムコ、マプチェ族を育んできた自然が残るコンギジオ国立公園について紹介しました。
南米のインディアンに興味のある方、トレッキングが好きな方はチリに来た際にはぜひ足を伸ばしてみてください。ちなみにコロナ禍では、状況によって街がロックダウンされていたり、国立公園の入場制限があるので常に最新情報を手に入れながら計画を立てることをおすすめします。
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IZUKAWAUSO
- 日本青年海外協力隊員。チリ南部の田舎暮らしも8年半になります。趣味は旅行(特に屋台めぐりと温泉)と料理。地元の週末フリーマーケットでおにぎりと味噌汁売ってます。