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富山市1日観光で行くべき場所は?外せない見どころをピックアップ!
<富山県立美術館の屋上から富岩運河環水公園の眺め/画像提供:富山市観光協会>
北陸で人気の観光都市・金沢に比べ、影が薄いと言われている富山市。旅行会社に勤めている友人が「富山はアルペンルートの発着で1泊するだけなんだよね」と話していたように、訪れる人は観光客よりもビジネス客の方が多そうな印象でした。
しかし、今回初めて富山を訪れて確かに観光客は金沢よりも少ないですが、食べるものは美味しいし、高岡市や五箇山、立山など日帰りでも行ける周辺の見どころも多く、ここを基点に足を延ばせば富山県の多くの見どころに行けることがわかりました。今回は、1日観光で行ける富山市内の見どころを紹介します。
目次
富山県の成り立ち
<城下町として栄えた富山市。再建された富山城は、現在は郷土博物館になっている/画像提供:富山市観光協会>
現在の富山県は少なくとも大宝律令が発布される飛鳥時代の700年ごろには「越中国」と呼ばれていました。奈良時代の公卿で歌人として知られる大伴家持が746年に国守として赴任したのもこの越中国です。その頃の国府は現在の高岡市の郊外の伏木にありました。
戦国時代末期に武田氏と上杉氏の勢力争いの場にもなりましたが、天下統一後は前田家の所領となります。現在の石川県を含む加賀藩は100万石という大藩でしたが、1639年にそこから分封して富山城を拠点とする10万石の富山藩が成立します。富山藩は小さな藩だったため、農業生産だけでは藩財政を賄えず最初から赤字財政でした。そこで後述するような売薬や北前船、養蚕などの産業が盛んになったといいます。
明治の廃藩置県により富山藩は富山県となり、明治期には伝統の製薬業や富山の外港である岩瀬の廻船業が盛んになります。しかし第二次世界大戦も終わろうとする1945年8月2日に起きた富山大空襲で、市街の99%が被害を受けてしまいます。そのため現在の富山市街は金沢のような古い町並みが残っていないのです。
富山市へのアクセス
<富山市の玄関口・JR富山駅>
駅ビルには富山名物の土産物屋や富山グルメの店が揃っています。富山には空港もありますが、東京、名古屋、大阪・京都からは空港までの往復などを考えると地上交通で行く方が面倒もなく結果的に早く着くかと思います。
東京駅から
北陸新幹線「かがやき」または「はくたか」が合わせて1時間に1〜2本あり、それぞれ所要時間は2時間10分/2時間40分です。運賃は12,960円ですが、ネット予約・支払いで「えきねっとトクだ値」を利用すれば、申し込み期間により10〜30%の割引もあるので利用した方がいいでしょう。
名古屋から
鉄道よりバスの方が本数も多く安いです。鉄道なら高山線経由で直通の「ワイドビューひだ」が1日5本、所要約4時間、7,260円。名鉄バスが14便、所要3時間37分、4,800円。
大阪・京都から
大阪〜金沢を結ぶ特急「サンダーバード」が1時間に1〜2本運行し、金沢駅で北陸新幹線「つるぎ」や「はくたか」に乗り継ぎ、約3時間30分、8,800円。
- えきねっとトクだ値 URL:https://www.eki-net.com/top/tokudane/
- 名鉄バス 富山行き URL:http://www.meitetsu-bus.co.jp/express/toyama/
- 特急サンダーバード URL:https://www.jr-odekake.net/train/thunderbird/
富山市の見どころ/駅北エリア
<夜はライトアップされる富岩運河環水公園。両岸をつなぐ天門橋が美しい>
富山市の見どころは鉄道駅の北と南に大きく分かれています。市内観光ではどちらかをまとめて、午前と午後に割り振ると効率的です。市内観光と岩瀬地区だけなら1日あればここで紹介するところに行けるでしょう。
駅北エリアで絶対に見たいのは2つ。富山駅北口から徒歩10分ほどにある水辺に広がる富岩運河環水公園と、それに面した富山県立美術館です。晴れた日中の散策も気持ちいいですが、陽気のいい時期は夜景を見に行くのもいいでしょう。観光の所要時間は美術館をゆっくり見るかで変わってきます。両方で2時間前後は見ておいたほうがいいでしょう。
富岩運河環水公園
<スターバックス・コーヒー富山環水公園店/画像提供:富山市観光協会>
JR富山駅から徒歩9分。昔の富岩運河の船溜まりに整備された緑濃い水辺の公園です。芝生が広がり、眺めも良く開放的です。公園の真ん中あたりに両岸をつなぐ天門橋がかかり両端の展望塔に上ると、雄大な立山連峰が見渡せます。ここから港町の岩瀬を結ぶ運河クルーズ「富岩水上ライン」も出発しています。
園内の一番人気は、「世界一美しいスタバ」と紹介されたこともあるスターバックス・コーヒー。ガラス張りの店内から見る景色は美しく、いつも混んでいますが時間帯によってはすんなり入れることもあります。
公園は日没から22時まで毎日ライトアップされています。暗闇に天門橋が浮かび上がる姿はなかなかロマンチック。夜もおすすめですよ。
▼富岩運河環水公園
URL:http://www.kansui-park.jp/
▼スターバックス・コーヒー富山環水公園店
住所:富山市湊入船町5 富山富岩運河環水公園
電話:076-439-2630
営業:8:00~22:30
定休日:不定休
URL:https://store.starbucks.co.jp/detail-897/
富山県立美術館
<無料で入れる屋上には、「オノマトペの屋上」という擬音語や擬態語で構成される遊具があります>
JR富山駅から徒歩15分。「TAD(タッド)」の略称で親しまれている2017年夏にオープンした真新しい美術館。富岩運河環水公園に面した低い丘の上にあり、世界の近・現代美術作品を展示しています。美術館員の女性ユニフォームは三宅一生デザインによるもの。ピカソ、ミロ、ロートレック、ジャクソン・ポロック、フランシス・ベーコンなどの作品を収蔵しているほか、無料で見られる屋外展示が人気です。屋上には遊び心溢れるデザインの遊具があり、ここから見る立山連峰の景色もおすすめです。
▼富山県立美術館
- 住所:富山県富山市木場町3-20
- 電話:076-431-2711
- 開館時間:9:30~18:00(入館は17:30まで)
- 定休日:水曜日、祝日の翌日、年末年始(ウェブで確認)
- 入館料:コレクション展300円、企画展は展覧会により異なる
- URL:https://tad-toyama.jp/
富山市の見どころ/駅南エリア
駅南の見どころは駅からは少し離れているので城址大通りを行く市電に乗っていくのがいいでしょう。城址公園にある富山城の天守閣は戦後の再建によるもので、中は郷土博物館になっています。
富山市ガラス美術館
<建物は御影石、ガラス、アルミの異なる素材を組み合わせ、立山連峰を彷彿させる外観に>
市電「西町」電停から徒歩1分。目を引く外観の建物「TOYAMAギラリ」内にある、ガラス製品や工芸が盛んな富山を象徴する美術館。建物の設計は隈研吾によるもの。コレクション展の色あざやかなガラス工芸品や、グラス・アート・ガーデンも見ものですが、とにかく木材をたっぷり使った斜めに伸びた吹き抜けのフロアデザインに圧倒されます。そこまでは無料で入れますのでとにかく中をのぞいてみてください。
▼富山市ガラス美術館
- 住所:富山県富山市西町5-1
- 電話:076-461-3100
- 開館時間:9:30~18:00(金・土曜は20:00まで) 入館は閉館30分前まで
- 定休日:第1・第3水曜日、年末年始
- 入館料:常設展200円、企画展は展覧会により異なる
- URL:https://toyama-glass-art-museum.jp/
池田屋安兵衛商店
<中心地では最も古い木造建築のひとつ。店内では薬の販売のほか、古い道具の展示もしている/画像提供:富山市観光協会>
江戸時代に生まれた富山の薬を代表する胃腸薬「反魂丹」。それを今でも製造販売している和漢薬店です。他にも自社製の和漢薬や薬草茶を販売しています。また、一人一人の症状に合わせて調剤する「座売り」や無料の丸薬の製造体験もできます。富山市ガラス美術館から徒歩3分なのであわせて寄ってみましょう。
▼池田屋安兵衛商店
住所:富山県富山市堤町通り1-3-5
電話:076-425-1871
営業時間:9:00~18:00
定休日:年末年始
URL:http://www.hangontan.co.jp/
岩瀬まちめぐり
<岩瀬大町・新川町通りには明治期の古い建物が残っている/画像提供:富山市観光協会>
城下町富山の外港として江戸時代初期から北前船が行き来し栄えた岩瀬。そこには、明治6年の大火後に再建された街並みが残っています。伝統家屋の多くは河岸を裏に岩瀬大町・新川町通りを表にして並んでいますが、それらは「東岩瀬廻船問屋型」という前庭を持つ3列4段型の間取りになっています。現在はこうした古い家屋や蔵を利用し、酒造、和菓子屋、ギャラリー、伝統工房、食事処があるレトロタウンとして人気の観光地になっています。
岩瀬へのアクセス:JR富山駅から富山港線で約25分。「東岩瀬」または「岩瀬浜」下車、徒歩約10分。
北前船廻船問屋 森家
<北前船の模型などが展示されている/画像提供:富山市観光協会>
大町通りにある森家は北前船の廻船問屋として財を成しました。この邸宅は明治11年建築で国の重要文化財に指定されています。内部には北前船についての展示があります。近くには森家の貯蔵庫を修復して造った酒屋の「酒商 田尻本店」もあり、こちらは日本酒が充実。
▼北前船廻船問屋 森家
- 住所:富山県富山市東岩瀬町108
- 電話:076-437-8960
- 営業時間:9:00~17:00(入館は16:30まで)
- 定休日:年末年始(12/28〜1/4)
- 入館料:100円
富山の美味しいもの
富山には、日本海で獲れた新鮮な魚介を使った料理などの美味しいものがたくさんあります。観光の合間にぜひ食べてみましょう。人気は富山湾寿司、海鮮丼、白エビ丼、ホタルイカ、ベニズワイガニ、昆布巻き、富山ブラックラーメンなどです。
<地元のネタを使った富山湾寿司は1セット10貫が基本。これはお刺身とのセットでビール付きで2,000円ほど>
まとめ
今回は富山の1日観光でおすすめの観光地を紹介しました。所要時間の目安は、富山駅を起点にすると駅北エリアが2時間から2時間半、駅北エリアが1時間半、岩瀬エリアが往復時間を入れて1時間半から2時間、ランチに1時間といったところでしょうか。もう1泊できるなら、高岡市、黒部峡谷トロッコ電車、世界遺産の五箇山などを訪れてみてはいかがでしょうか。
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前原利行
- 東京出身で、現在は神奈川在住。今までに訪問した国はアジア、アメリカ、ヨーロッパ、アフリカなど90か国以上。現在は海外旅行や映画、音楽、アートに関する、ライター及び編集者として活動中です。一番多く訪れているのはインドで、仕事も含めて20回以上。プライベートではロックミュージックや映画、そして世界史好きなので、欧米旅行も多く、映画のロケ地や音楽フェス、ロックの聖地、世界史の場所など、テーマを持った旅をしています。