【京の強烈パワースポット】 皇室ゆかりの御寺・泉涌寺と最古の七福神めぐりなど

目次

1. 京の泉山七福神巡り~新年に頂く日本最古のパワー集め~

東山三十六峰の一峰である月輪山の山麓に広がる寺域内にある泉涌寺は真言宗泉涌寺派総本山の寺院。皇室ゆかりの寺院として知られていますが、草創の時期や事情については明らかではなく、空海が草庵を結んだのが起源という説と、左大臣・藤原緒嗣が神修上人を開山として山荘を改めたのが起源という説があります。

七福神信仰は室町時代に京都で始まったとされ、毎年成人の日に行われる泉涌寺の『泉山七福神巡り』が『七福神巡りの起源』と言われています。

『泉山七福神巡り』では、先ず『即成院』で福笹を受け取り、即成院(福禄寿)・戒光寺(弁財天)・観音寺(恵比寿神)・来迎院(布袋尊)・雲龍院(大黒天)・悲田院(毘沙門天)・法音院(寿老人)の七福神に番外である新善光寺・楊貴妃観音堂を加えた九福神(九は中国において聖数で最大の吉数を表す)を順番に巡り吉兆を表す縁起物を授かります。

①即成院(福禄寿)

福禄寿

平安時代末期の武将である那須与一の石塔がある縁から「那須の与一さん」とも呼ばれます。重要文化財である木造阿弥陀如来及び二十五菩薩像が有名。(2に続く)

こちらでは好きな福笹を無料で頂けます。欲張りな私はできるだけ大きくて形の良いものを選択。

福禄寿の打ち出の小槌をフリフリ、長寿・幸福のご利益が!

②戒光寺(弁財天)

弁財天の御朱印

仏師・運慶&湛慶父子の合作である丈六(身の丈約5.4メートル)の釈迦如来立像(重要文化財)を本尊として安置。後堀河天皇の勅願所となり「身代わり丈六さん」の名で信仰されてます。(3.に続く)

伝教大師・最澄作といわれる秘仏『泉山融通弁財天』。

特別開帳され私が愛して止まない「八臂宇賀神弁財天」のお姿 を拝見。琵琶ではなくお金を融通するための色々な道具をお持ちの力強い弁財天さま。総本山御寺泉涌寺執事・真言宗泉涌寺派教学部長で戒光寺ご住職の渡邊さん曰く、ある有名大手会社の社長さんが若い頃から信仰していて大成功されたとか...とにかくパワフルです!

「金銭の融通をして下さる」のみならず「融通を利かせてあらゆる願いを聞いてくださる」そうで特に商売繁盛・芸能上達のご利益が!

③観音寺(恵比寿神)

恵比寿神

西国第十五番霊場である観音寺・今熊野観音寺は807年に弘法大師・空海が熊野権現の霊示を受け、自ら観音像を刻んで草堂に安置したのが起源。頭痛・知恵授け、ぼけ封じにご利益がある頭の観音様がいらっしゃるところとしても有名です。

恵比寿神には商業繁栄・海運守護のご利益が!

④新善光寺(愛染明王)

後嵯峨天皇の御願寺として値願念西が勧進して一条大宮の地に創建。

大日如来の変化身とされ、全身が赤色で3つ目と6本腕をもち憤怒の表情をされている愛染明王には家庭の波瀾をおさめ男女間の葛藤を解いてくれる敬愛和合のご利益が!

⑤来迎院(布袋尊)

布袋尊舟

806年に弘法大師・空海が唐で感得した三宝大荒神像を安置して創建したと言われています。

「胞衣荒神(ゆなこうじん)」とも称され、安産の御利益もあり日本最古の荒神像です。

赤穂を去り来迎院の檀家となって寺請証文を受け山科に居を構えていた大石良雄が念持仏として、吉良邸への討ち入り成就を祈願したと伝えられる勝軍地蔵像や運慶作の阿弥陀如来像もあります。

初午の日に伏見稲荷大社でしるしの杉と伏見人形の布袋さんを小さいものから順に毎年買い求め台所棚に7体揃ったところで奉納するとご利益があるといわれる荒神堂の隣にある布袋船。7個そろえる途中で不幸があると布袋さまは寺社に奉納あるいは滝壷に沈めてまた1個からやり直しという京の古い風習があります。荒神さんのお遣いである布袋尊は、知足福・家業繁盛のご利益が!

⑥雲龍院(大黒天)

大黒

泉涌寺の山内の一番奥にあり南北朝時代の北朝第四代天皇、後光厳天皇の勅願で創建。真言宗泉涌寺派の別格本山とされ西国薬師四十九霊場第40番札所。

室町時代作といわれる草鞋わらじで走る珍しい姿の大黒天立像(走り大黒天) には福徳のご利益が!家の方まで幸福を持ってきてくださるようですよ。

大黒天立像 走り大黒天

⑦悲田院(毘沙門天)

毘沙門天 寅

悲田院は聖徳太子が孤児や身寄りのない老人を収容する施設を造ったのが起源。

寺には快慶作と伝えられる宝冠阿弥陀如来坐像や逆手の阿弥陀如来立像があり、また土佐光起・土佐光成父子による土佐派や、橋本関雪の襖絵があります。虎は毘沙門天の遣いとされ、魔除の虎が売られています。毘沙門天には財宝自在のご利益が!

⑧楊貴妃観音堂(楊貴妃観音)

楊貴妃観音

南宋時代に造られた楊貴妃観音は重要文化財で、1255年南宋から伝わったと言われています。(詳細は後ほど)

女性必見のパワースポットと言われる楊貴妃観音には良縁・諸願成就のご利益が!

⑨法音院(寿老人)

後醍醐天皇の嘉暦年間の創立で、本尊は不空羂索観世音菩薩、本堂は英照皇太后御大葬の御須屋です。

寿老人は白髪で長いひげをはやして杖と桃を持ち、鹿を従えたお姿をされていて長寿・健康のご利益が!

▼泉山七福神巡り順

七福神は以下の順番でお参りします。

  • 一番 即成院 福禄寿 京都市東山区泉涌寺山内町28
  • 二番 戒光寺 弁財天 京都市東山区泉涌寺山内町29
  • 番外 新善光寺 愛染明王 京都市東山区泉涌寺山内町31
  • 三番 今熊野観音寺 恵比寿 京都市東山区泉涌寺山内町32
  • 四番 来迎院 布袋尊 京都市東山区泉涌寺山内町33
  • 五番 雲龍院 大黒天 京都市東山区泉涌寺山内町36
  • 番外 泉涌寺本坊 楊貴妃観音 京都市東山区泉涌寺山内町27
  • 六番 悲田院 毘沙門天 京都市東山区泉涌寺山内町35
  • 七番 法音院 寿老人 京都市東山区泉涌寺山内町30

2.『二十五菩薩』お練り供養法会~仏のオーケストラ~即成院

即成院

福笹を頂き福禄寿がいらっしゃる泉山七福神の第一番である即成院。御本尊は阿弥陀如来と二十五菩薩坐像(重要文化財)。

菩薩が民衆を極楽浄土に導く様子を表現した阿弥陀如来と『二十五菩薩お練り供養大法会』は、毎年10月第3日曜に行われます。平安時代に起こった来迎思想では五色の雲にのった阿弥陀如来が、二十五菩薩を引き連れ浄土へと導いてくれるといいます。

その教えを具体化したものが御練りと言われています。来迎和讃に合わせ観音、勢至、普賢の三菩薩による「仏の舞」が舞われ、金襴の菩薩装束をまとった信徒を含む総勢300名近くが50メートルの橋をゆっくりと渡る妖艶な祭りになっています。

菩薩御練り

また、即成院で拝見できる二十五菩薩坐像は実は26体あります。阿弥陀如来の脇侍と24の仏で構成され、23の仏は楽器を持っていて、阿弥陀如来が来る際に菩薩が楽器を演奏しながらやってくるということを表しています。その中に「如意輪観音像」が混じっており、26体になっています。(写真撮影不可)

『願いが的へ』というキーフレーズは源平の戦いで重要な合戦となった「屋島の合戦」で戦功をあげ、平家側のあげた扇の的を射落とした逸話で有名な那須与一の供養塔があることから祈願成就のため参拝される方も多いです。

3.『丈六釈迦如来像』身代わり仏~戒光寺

戒光寺 身代わり仏

泉山七福神の第二番である戒光寺さんには私の大好きな弁財天さまだけでなく「身代わり仏」と呼ばれるありがたい『丈六釈迦如来像』が安置されています。鎌倉時代の仏師、運慶・湛慶親子の合作で宋風をおびた極彩色の木像・寄木造で重要文化財。

後水尾天皇が即位争いに巻き込まれ暗殺者に寝首を掻かれた時に、この釈迦如来が身代わりになってくださりその際についた"血の跡"が『丈六釈迦如来像』の首の辺りに見えます。光背も含めると10mはある最大級の迫力ある仏像は「悪しき事のお身代わりになってくださる」「首から上の病気」~丈六さん~と呼ばれ親しまれてます。

また戒光寺には非常に珍しい足裏が見られる不動明王像が拝見できますよ。(写真撮影不可)

4. 楊貴妃観音堂・仏舎利・鳴竜・韋駄天・白衣観音~泉涌寺

泉涌寺 本堂&仏舎利殿

東山三十六峰の月輪山麓に広がる寺域内には、鎌倉時代の後堀河天皇、四条天皇、江戸時代の後水尾天皇以降幕末の孝明天皇に至る歴代天皇・皇族の陵墓があり皇室の菩提寺として御寺(みてら)と呼ばれています。

楊貴妃観音堂

重要文化財。楊貴妃の風貌をモデルに、白檀の寄木作りで聖観音像として作られた観音菩薩坐像が安置されています。1255年俊芿の弟子、湛海が仏舎利と共に南宋から請来したものでⅩ線調査では胎内に五輪塔、その内部には3粒の仏舎利と思われるものが確認されています。長年秘仏で100年に一度の御開帳だったと言うほど貴重な仏様は、女性の様々な願いを叶えてくれるパワースポットとして知られています。(写真撮影不可)

舎利殿

仏舎利

重要文化財。木造韋駄天立像と木造伝・月蓋長者立像があり南宋時代作。

俊芿の弟子湛海が1228年に南宋時代の慶元府の白蓮寺から請来したという仏牙舎利(釈尊の4本しかない犬歯の1本)を日本最古の韋駄天像・月蓋長者像(重要文化財)と安置しています。「鳴龍」と呼ばれる天井の「雲龍図」は狩野山雪筆です。。

大河ドラマの題で「韋駄天」の存在を知ってから訪問客が増えたとか。仏牙舎利が伝来した10月に8日間限定で毎年公開していますが、通常は非公開。能「舎利」の舞台となった舎利殿の中で「舎利」を金剛流家元が舞う『舎利殿能』も行われます。(私の幼友達の能楽師も奉納能したようです!)

仏殿

重要文化財。運慶作の釈迦如来・阿弥陀如来・弥勒如来を安置。過去・現在・来世を表すと言われています。本尊背後の「飛天図」、裏壁の「白衣観音図」は狩野探幽の筆。

実は、私はこの白衣観音様に以前助けていただいたことがある気がしています。いつも神聖で神妙な面持ちで参拝させてもらっています。

5. おまけ

普段は非公開の舎利殿にて行われた、女優MEGUMI氏と『見仏記』で有名なみうらじゅん氏、いとうせいこう氏によるスライドショーに招待され、その際に初めて舎利殿の中に入り、仏歯の入った仏舎利や韋駄天、天龍を拝見しました。

私が師と勝手に尊んでいるみうら氏の独特な見仏方法で爆笑しながらも、希少な「走り大黒さまの第一歩を踏み出す足」や「不動明王の足裏」「打ち出の小槌」や「福禄寿の頭の形」を注目して見るようになり、見仏の楽しみが増しました。

それぞれに楽器をお持ちの25菩薩(即成院)は菩薩オーケストラとして親しまれ、音楽会も開催されています。国内外の有名ミュージシャンらをお忍びでお連れするととっても喜ばれます。そして特別に二十五菩薩面を被らせてもらうとテンションMAX『願いが的へ』!

菩薩御練りマスク

皇室と縁深い御寺(みてら)さんですが、それぞれの塔頭のご住職も大変面白く親しみやすい方々ですので、お話を伺いながらも強烈なパワーを頂戴してみられてはいかがでしょうか?

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RICA NAKAJIMA

京都生まれ&育ち。世界各地をバックパッカー周遊しながらロンドンに6年、ニューヨークに10年以上滞在。日本のコアな伝統文化や神社仏閣、世界の文化芸術、史実関連を中心に新聞・雑誌などで執筆。また経験に基づく“陰謀説”系の電子書籍出版もあり。ジャーナリストのほか、写真映像家、YouTuber、NY州不動産ブローカー、音楽プロデューサー&イベンター、ヒーラー、日本庭園師などマルチに活躍中。

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