【チェンマイ発】今年もイーペン祭(ローイクラトン)の灯は消えず

幻想的なコムローイが夜空を彩るチェンマイのイーペン祭(全国的にはローイクラトン=灯籠流し)。

通常は陰暦12月の満月をはさんで3日間行われるのですが、コロナ禍の今年は10月31日〜11月1日の2日間に短縮して行われることになりました。

目次

市内一帯はコムローイ揚げ禁止の非常措置

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チェンマイではすでに、新型コロナ新規感染者ゼロの日が半年近くも続いています。

しかし、タイ政府は感染拡大防止の手をゆるめることなく、現在も外国人旅行者の入国を厳しく規制。3月末に発令された非常事態宣言も、11月末までの延長が決定しました。

これを受けて県も、航空機の夜間飛行妨害や感染拡大の予防対策として、航空路に当たるチェンマイ市内および周辺郡部数地区でのコムローイ揚げを禁止するという非常措置を取ることになりました。

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ローイクラトン本来の意味とは?

近年、地元と組んだ旅行会社などが大きな会場に観客を集め、数千人もの人が一斉にコムローイを揚げる、という派手な映像がマスコミやネットに流されるようになったからでしょうか。

チェンマイリピーターや在住者の中にも、イーペン祭を「コムローイ祭り」と誤解している人が数多く見られます。

けれどそもそもは、各家庭などで手作りした灯篭(クラトン)を近所の川や池に浮かべて(ローイ)「水の女神コンカー」に感謝を捧げ、自らの心の穢れや迷いをも洗い浄めるという敬虔な宗教行事なのです。

最近では願い事の意味合いも少し変わって、特に若い世代の夫婦やカップルは「クラトンが無事流れて永遠の愛が続きますように」と祈るようになったのだとか。

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手作りクラトンは、厚さ5cm前後に切ったバナナの茎の輪切りを長い葉で包み込み、同じく葉に折紙形式でデザイン細工をほどこして中央部に花を埋め込み、ロウソクと線香を挿し立てて完成です。

ただ、飾り留めの虫ピンなどをたくさん使うので、こちらも最近は環境汚染に配慮した水に解け易い天然素材なども増えてきました。

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コムローイ揚げの由来とは?

一方、「天灯(てんとう)」と訳されることもあるコムローイは、タイ語で「浮く光」、つまり「光り輝いて天に浮かび昇ってゆく灯篭」を意味しています。

もともとはチェンマイ近郊のサンサーイ地区で行われていた仏教行事で、1年の収穫や豊作を仏に感謝するという「収穫祭」の意味合いを持っていたようです。

天の仏陀に向かって光りを届けることで自らの罪や災いを解き放ち、魂を浄めるという振興もあり、灯籠流しと同じように宗教色の濃いものでした。

のちに、同時期に行われるこの二つの宗教行事が合体することによって、現在の「チェンマイ・イーペン祭(ローイクラトン)」の原型が形作られてゆきます。

観光客向けコムローイ揚げの功罪

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ところが次第に、その幻想的で美しい様子がタイの信仰とは無関係な外国人観光客にも注目されるようになりました。いつしか観光の目玉になり、ついには大会場ごとに数千人単位の観光客を集めての一斉揚げ、という悪しき流行を招きます。

そして、航空機の夜間飛行妨害、火災の発生、さらには滑走路や収穫前の田んぼや畑、ビニールハウス、宅地、道路、川、養殖池など至るところへの落下汚染という深刻な事態を招くようになりました。

それが、コロナ禍を契機とした今回の厳しい禁止措置にもつながったわけです。

その意味で市内一帯における今年のコムローイ揚げ禁止措置は、多少の寂しさを感じるとはいえ、祭り本来の意味とコムローイの大量一斉揚げが抱える問題点を見直す良い機会になったと言えるかも知れません。

祭りのメインはピン川での灯籠流しと山車飾り

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さて、市内中央を流れるピン川での厳粛な灯籠流しと並ぶもう一つの目玉は、豪勢かつ華麗なクラトンを飾り付けた山車に伝統衣装を身にまとった美男美女が乗り込み、それに伝統の舞いを披露する人々の隊列が続いて市内を巡るという「クラトン大パレード」です。

しかし、今年はそれも中止になり、代わりにそれらの飾りをターペー門、3人の王様記念像前広場、チャーンプアック門など市内主要7カ所に展示し、そこでラーンナー王朝の流れを汲む伝統の舞いも披露されることになりました。

むろん、外国人旅行者の激減で、例年のように街全体に人があふれるようなことはありません。けれど、それぞれのポイントには地元チェンマイの人々はもとよりバンコクなど国内各地からのタイ人観光客、さらには各地からの在住外国人などが多数集まり、華麗な灯りの響宴に目を楽しませていました。

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近郊各地での地区祭りが例年にない賑わい

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規制の厳しいチェンマイ市内に比べ、近郊郡部数地区ではコムローイ揚げも規制されることなく、従来のような観光客向け有料イベントも行われたようです(現在サンサーイでのコムローイ祭りは中止)。

しかし、タイ人や事情通の在住外国人が目指したのは、旧市街から車やバイクで40分程度で行けるドーイサケット地区の巨大貯水池ほとりでの独自無料イベントでした。

地元の庶民的イベントだけに、入場料は無料。ずらりと並ぶ食べ物屋台も、ほとんどの単品が20バーツ(約70円)という大衆価格の嬉しさ。

その上、水辺に映える色鮮やかなラーンナー提灯飾り、地元の人による素朴な伝統楽器演奏、プロ歌手を招いての歌謡ショー、近辺で暮らす各民族伝統踊り披露などなど、華やかな祭りの要素にも事欠きません。

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むろん、会場入口では検温や手指消毒も行っているのですが、後から後から人が押し寄せて、コロナ禍などすっかり吹き飛んでしまったような印象です。

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水辺と満月の夜空を彩るご灯明とコムローイ

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混雑する場内では、地元の人々が人気のコムローイや手作りクラトンを販売しています。

クラトンが20バーツ平均、県指定サイズのコムローイが3個100バーツという市内では考えられない良心価格です。

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これらを手にした家族連れやカップルたちが、水辺にずらりと並ぶ無数のご灯明を囲んで設けられた浮き回廊に出てしゃがみ込み、クラトンの花飾りに包まれたロウソクと線香に灯を灯し、額に掲げてお祈りを捧げたあとで湖面に浮かべます。

そして次は、コムローイの下部に取り付けられたドーナツ型の着火剤に灯を灯し、筒型の大きな風船が熱をはらんで膨らむのを待てば、風船はおもむろに人の手を離れて夜空へと立ちのぼってゆきます。

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そこへ、湖面に響きわたる轟音。

振り仰げば、台風余波雲間から顔を出した満月よりもはるか上。

無数のコムローイの列がまるで銀河のように連なってゆるやかに昇ってゆくその背後に、華麗に花開く色とりどりの大輪の花火!

岸辺を埋め尽くす人々の間からどよめきと歓声があがり、窮屈なコロナ禍のもとで人々が待ちに待った年に一度の伝統の祭りは、いつ果てるともなく続くのでした。

会場案内

ドーイサケット地区仏教寺院ワット・パトゥム・サラーラーム脇にあるノーンブア・プラチャオルアン池。祭りの期間以外も一般に無料開放され、チェンマイから近い水辺の憩い場として多くの人が訪れています。

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クンター吉田

チェンマイ在住の物書き&プランナー。「チェンマイわいわい映画塾」主宰。趣味:北タイ温泉探訪バイク・ツーリング。

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