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【モスクワ】映画監督エイゼンシュテインゆかりの地を歩こう
今回は、映画「戦艦ポチョムキン」を作った映画監督、エイゼンシュテインゆかりの地について紹介します。
エイゼンシュテインは、現在のラトビアのリガで1898年に生まれた映画監督です。エイゼンシュテインという名前を知らなくても、映画「戦艦ポチョムキン」のオデッサでの階段のシーンを一度見れば、忘れられない監督になるでしょう。この他に、「ストライキ」、「十月」、「イワン雷帝」、「アレクサンドル・ネフスキー」などの映画を作った監督として有名です。
目次
地下鉄駅下車から、映画博物館までの道
さて、その映画博物館ですが、地下鉄駅から遠いのが難点です。
地下鉄駅VDNKh駅下車後、速足で寄り道もせず歩いて30分かかります。初めて訪れる人は、下車後に広がるソビエトらしい建物が気になり、写真などを撮りながらすすむと、1時間はかかると思います。時間に余裕をもって訪れてください。
VDNKh駅下車後にすぐに見えるこの建物は、宇宙飛行士博物館です。
<宇宙飛行士博物館>
「地球は青かった」で有名なユーリー・ガガーリンが宇宙に行って戻ってきた宇宙船の展示などがあります。
次に見えてくるのが、モスクワで唯一走るモノレールです。
<上を走るのがモノレール。下は、路面電車>
30分に1本しか走っていないため、運よく見かけたらラッキーです。
そこを過ぎると、VDNKhというスターリン時代の1939年8月1日にオープンした大きい公園です。総面積は、約700ヘクタール(約7㎢)です。ВДНХ(VDNKh)とは、ソビエト時代のВыставка Достижений Народного Хозяйства(国民経済達成博覧会)の単語の頭文字をとりました。映画博物館は、この広大な敷地の奥にあります。
まず、この門をくぐります。
<ВДНХの門は、いかにもソビエトらしい造り>
ここから、まだまだ歩くことになります。時間がない場合や、疲れてしまった場合は、有料ですが、公園内を走る車に乗って行くこともできます。また、キックボードや自転車に乗れる人は、それに乗って行くこともできます。ご自身の体調とその日の天気と相談しながら、アクセス方法を選択してください。
<乗り物はいろいろ>
<キックボード>
<車>
私はいつも歩いていくので、歩いていく場合で書きます。
VDNKhは少し歩くだけで、周りの景色が気になり写真を撮りたくなります。建物の中に入らなくても、散歩をするだけでも楽しめる公園です。いかにもソビエトといった感じの建物が続きます。ソビエトを感じたい人におすすめの公園です。
<入ってすぐに見える中央の建物>
夏だと噴水を見ることができます。
<民族の噴水>
ソビエト連邦の15共和国のそれぞれの民族が銅像になっています。さらに歩いていくと、カレリア共和国の建物、
<ソビエト時代は、カレリア共和国の建物でしたが、現在はソビエトの印刷についての展示があります>
カザフスタン、
<カザフスタンの建物ですが、現在は閉まっています>
ベラルーシ、
<ベラルーシの建物で、ベラルーシの民芸品なども販売しています>
ウクライナと
<ソビエト時代は、ウクライナの建物でしたが、現在は、スラブ文献センター>
ソビエト時代にタイムスリップしたかのような外観の建物が続きます。冬は、噴水の水は止まり、今歩いてきた道の一部はスケートリンクとなります。
<民族の噴水から、ウクライナの建物まで白い部分がスケートリンクになっています>
巨大なスケートリンクでは、モスクワっ子がスケートを楽しみます。もちろん観光客も滑ることができるので、挑戦してみたい方はどうぞ!しかし、1周がものすごく長いので、初心者だと大変です。
今回の目的地は、まだまだ奥です。次に目に付くのは、ロケットや飛行機などです。
<航空学開発センター>
航空学開発センターというものが数年前にオープンしました。モスクワの子供たちがよく行く水族館やイリュージョン博物館などもこの近くにあります。
ここも通り過ぎてさらに奥を目指します。建物の上に牛がいる所を
<ソビエト時代は、肉産業博物館でしたが、現在は修復中のため閉館しています>
通り過ぎると、池が見えてきます。
<池>
この池を越えたら、やっと目的地の国立映画博物館に到着です。
<国立映画博物館>
地下鉄駅からここまで相当な速足で30分です。個人差がありますが、周りの景色を見ながらだと少なくても1時間はかかると思います。
公式HP:https://vdnh.ru/
映画博物館の展示
コロナ禍の現在は、博物館内ではマスクと手袋を着用しなければなりません。チケット売り場は、カードにも対応していました。2014年のクリミア併合後の経済制裁の影響で、アメリカンエクスプレスのカードを使えるところは少なくなりましたが、ビザかマスターであれば、クレジットカードを使えます。
1階には、映画に関する歴史、衣装、撮影機材などの展示物がたくさんあります。
2階は、ギャラリー部分に展示物があります。
私が行ったときは、2020年8月30日に100歳になったレオニード・シュワルツマンさんが描いた絵が展示されていました。シュワルツマンさんは、チェブラーシカをあのようなかわいい姿にデザインした人です。
そして、3階にエイゼンシュテインに関する展示品があります。
<書斎の再現>
<寝室の再現>
ここに実際住んでいたわけではないため、リガ、ペトログラード(現在のサンクト・ペテルブルク)、モスクワに住んでいた当時の様子を再現した室内の展示になっています。3階に到着して驚いたのが、日本の展示物の多さです。なんとエイゼンシュテインは日本語を勉強したことがあり、市川左団次の歌舞伎をモスクワで見たことがあったようです。1928年(昭和3年)の出来事です。
<市川左団次とエイゼンシュテインの写真など>
さらに、展示品を見ていると、日本人の写真があります。
<衣笠貞之助とエイゼンシュテインの写真など>
こちらは、日本の映画監督の衣笠貞之助です。史上初めての日ソ合同制作映画「小さい逃亡者」の監督です。衣笠貞之助は、1928年(昭和3年)にモスクワに来て、エイゼンシュテインが住んでいた家の前を一緒に散歩しました。その時の写真です。
他にも展示品を見ていると、日本のものが目につきます。
<羽子板など>
学芸員さんの話によると、エイゼンシュテインは浮世絵の絵を映画のシーンに取り入れたということでした。
<浮世絵の絵を映画のシーンに取り入れたことが分かる展示>
また、前回のたびこふれで紹介した作曲家のプロコフィエフとエイゼンシュテインも交流がありました。「アレクサンドル・ネフスキー」と「イワン雷帝」は、プロコフィエフが音楽を担当し、一緒に映画を作っています。2013年当時のプロコフィエフの家博物館に展示されていたものが、今は、エイゼンシュテインの博物館に展示されています。映像と音楽・音の体系が分かるこの展示です。
<映像と音楽・音の組み合わせ>
- 住所:Avenue Mira, 119, building .36, Moscow, 119285
- 電話番号:+74951503610
- 開館時刻:12:00~21:00(入場は20:00まで)
- 休館日:水曜日
- 入場料:300ルーブル
- 最寄り駅:地下鉄 VDNKh駅(オレンジ色の地下鉄)
- URL:http://www.museikino.ru/
エイゼンシュテインが住んでいた家
エイゼンシュテインが1920年から1934年に住んでいたモスクワの家の建物は現在も残っています。この建物の近くに池がありますが、そこを衣笠貞之助とエイゼンシュテインは歩いています。
<エイゼンシュテインの家>
<家のプレート>
- 住所:Chistoprudny Blvd, 23 building 1, Moscow, 105062
- 最寄り駅:chistye prudy駅(赤い地下鉄)
エイゼンシュテインのお墓
エイゼンシュテインのお墓は、前回のプロコフィエフと同様に、ノヴォデヴィチ墓地にあります。
ノヴォデヴィチ墓地
- 住所:Luzhnetskiy Proyezd, 2, Moscow, 119048
- 電話番号:+74992466614
- URL:http://novodevichye.com/
- 最寄り駅:Sportivnaya駅(赤色の地下鉄)、Luzhniki駅(МЦК)
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チェブラーシカ
- 高校3年生の時に好きになったロシア。音楽、文学、歴史、美術、バレエ、料理、ロシア人気質などに興味をもちました。でも、ロシア語を専門に学んだことはありません。ロシアが好きでいろいろ知るうちに、2016年12月にロシア人男性と結婚し、2017年4月からロシアに住むことになりました。普通のガイドブックには載っていない情報をお届けします。