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ベルリン郊外に残るベルリンの壁跡地でハイキングやサイクリングを楽しむ
ベルリンと言えば、多くの人がベルリンの壁を思い浮かべるでしょう。そんな壁ですが、街の中心部にその跡が幾つか残されており、今でも街が引き裂かれていた様子を確認することができます。しかし壁が築かれたのは街の中心部だけではありません。
郊外にも築かれており、東西ドイツ統一後には壁が撤去されて、遊歩道やサイクリングロードとして整備されています。そしてハイキングやサイクリングを楽しめる場所として多くの人に利用されているのです。今回はそんなベルリン郊外にある壁跡地について紹介したいと思います。
目次
ベルリンの壁跡地に整備された「壁の道」
ベルリンの壁は、東ドイツ側から西ドイツ側へと市民の流出を防ぐためにベルリンに築かれたものです。ただし当時のベルリンは東ドイツ側に位置しており、西ベルリンは東ドイツに囲われた飛地でした。そのためベルリンの壁は西ベルリンを囲う形で築かれ、その全長は約160kmに及ぶものとなっていたのです。1989年にベルリンの壁が崩壊して、その翌年にドイツは再統一しています。これによって壁は無用の長物となり、そのほとんどが撤去されています。
そして壁があった場所(市内も郊外も含めて)は「壁の道(Mauerweg)」として整備され、壁の歴史を知ることができる案内板の設置、遊歩道やサイクリングロードの整備が行われているのです。
歩行者やサイクリストが楽しめる郊外の「壁の道」
ベルリンの中心部にある「壁の道」は、一般道としても使用されているため、車や人通りが多く、落ち着いて散歩やサイクリングを楽しむのは難しいかもしれません。
ですが、郊外にある「壁の道」は、歩行者や自転車専用の道となっているため、散歩やサイクリングにうってつけの場所になっています。サイクリングロードは、その多くがアスファルトで舗装されており、パンクや自転車の故障を気にすることなく、気持ちよく自転車に乗ることができるでしょう(一部未舗装の区間もあるため、迂回や未舗装区間を走る必要もあります)。
その一方でサイクリングロードに併走する形で舗装されていない遊歩道もあるため、自転車の通行を気にすることなく、気兼ねなくハイキングを楽しむこともできるのです。
自然を満喫できる場所
郊外に伸びる「壁の道」は自然を満喫するには最高の場所と言えるかもしれません。郊外の壁のあった場所は、もともとベルリンと隣接する都市の境界で、現在もベルリンと隣接都市の境界となっています。そのため住宅がまばらであったり、農地や森林が広がっているのです。
ベルリンの壁には市民の逃亡を防ぐために無人地帯が合わせて造られていますが、市内の無人地帯跡は開発されて、建物が建っているところがほとんど。郊外では、こうした開発が行われておらず、公園となっていたり、牧場として使用されていたり、森と一体化しているところが多くあります。そのため都市の喧騒から離れ、周りに広がる自然を存分に満喫することができるのです。
「壁の道」に残されたベルリンの壁の名残
「壁の道」はベルリンの壁跡地であるため、壁や東西ドイツ時代の名残がさまざまな形で残されています。
例えば、ショーネフェルト国際空港の近くに残るのは、無人地帯を照らしていた電灯。東西ドイツ時代に市民の逃亡を監視する際に用いられた照明がそのまま残されています。また東ドイツから逃亡を図った市民が命を落とした場所には慰霊碑が建てられ、逃亡の経緯を紹介する案内版も用意されています。サイクリングやハイキングの途中で度々現れる慰霊碑は、東西ドイツの分裂が多くの悲劇をもたらしたことを実感させてくれるでしょう。
他にも今でも残る東西ドイツの境界を確認できる場所があります。それは自然と住宅地という形の境界で残されています。西ベルリン側では壁近くまで住宅地として開発している一方、壁の向こう側は無人地帯となっていました。そんな無人地帯は今では農地や森となっているため、現在でも住宅地と自然という形で、かつての東側と西側が認識できるのです。
「壁の道」を楽しむために
郊外に伸びる「壁の道」では自然を感じ、東西ドイツの歴史を学べる素晴らしい場所になっています。
そんな郊外にある「壁の道」を楽しむためにおすすめしたいことがあります。サイクリングをするのであれば、市内から電車で自転車を運ぶのが無難でしょう。郊外で自転車を借りるのは簡単ではありません。ベルリンでは自転車を電車に持ち込むこともできます。また「壁の道」には複数の鉄道の最寄駅もあります。そのため市内からA駅に移動して「壁の道」を訪れ、B駅から市内に戻ることも可能です。
それと注意点として、飲食物の入手があります。ドイツには日本のようにコンビニエンス・ストアはありません。また自動販売機は鉄道の駅にある程度です。そのためあらかじめ駅周辺で食べ物や飲み物を購入しておきましょう。そうすれば、お店探しに困ることなく「壁の道」のハイキングやサイクリングを楽しめるはずです。
壁の道の情報
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K.Hayashi
- 大学卒業後に渡独。フリーランスライターとしてドイツの文化について多くの記事を執筆中。