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【新型コロナウイルス】コロナ禍、スペインへのフライト
私は普段チリにスペイン人のパートナーと住んでいますが、2020年上半期は長期休暇をとってアジア・日本・スペイン旅行を決行する予定でした。コロナ禍で旅は予定通り行かなくかったばかりか、私のパートナーは日本に入国できなくなり、母国スペインに帰り、離れ離れになって4か月、日本より早く、スペインの入国制限が緩和されたので、恐る恐る、パートナーに会いにスペインに飛んだ経緯をレポートします。
目次
大使館に連絡してチケットを買う
6月末、ユーロ圏内での行き来が解禁になって1週間くらい経った日、今度は感染が落ち着いている国に対しても入国制限が緩和されるというニュースがありました。さっそく、日本にあるスペイン大使館に電話をしてみました。
「今後、日本人に対しても入国が許可されますか」
しかし、その時点では何も具体的なことはわからないとの返答。私のパートナーはスペイン人で、パートナー関係を証明する書類もあることを説明するも、「今の時点で正式な文書は何も出ていない。さらに、乗客を乗せるか乗せないかの判断は最終的に航空会社にあり、航空会社は、乗客を乗せて、もしその乗客の入国拒否があった場合、責任を取らなければならないのでリスクを負いたがらない。正式な書類が出るまで待った方が良い」とのコメントでした。
スペイン及びユーロ圏が「日本を含め15か国の入国規制を緩和」というニュースがあり、スペインの在日本大使館のHPに新しい方針が示されたのが7月初旬。これで私はスペインに入れる!念のため、日本にあるスペイン大使館と、スペインにある日本大使館に電話をして確認したところ、いずれもOKでした。
次は、飛行機の選択です。普段は運航している成田―マドリードのイベリア航空の直行便はもちろん欠航中。チケットサイトのスカイスキャナーで飛行機を探すと、私の予算5万円~6万円に収まるチケットは、カタール航空、エティハド航空、エミレーツ航空などいずれも中東系のもの。乗り換えはドバイやアブダビ・・・万が一のことを考えると、日本から最初のフライトでユーロ圏に入りたい・・・。しかしオランダのKLM航空、フランスのエールフランス航空は13万円くらいする上、乗り換え時に自分でチェックインしなおさなければならない、つまり、オランダやフランスに一回入国手続きをして、マドリード行き飛行機のチェックインをし直さなければならないというチケットしか見つかりませんでした。もしそこで入国を拒否される事態になったら、マドリードまで飛べません。
それなら、アブダビ乗り換えでもトランジットが簡単な方が確実かも。
エティハド航空は日本語のHPがあり、私の予算内で、しかも1、夜便であること 2トランジットの時間が2-3時間 3朝~午後3時くらいまでにマドリードに着くこと という希望条件もすべてクリアしていました。念のため、エティハド航空のスペインオフィスに電話をして、日本人はビザなしで入れること、アブダビでのトランジットがスムーズなことを確認して、チケットを買いました。
ゴーストタウン 成田空港
成田空港につくと、予想以上に人がいませんでした。お店も航空カウンターも閉まっていて、歩いている人は警備中の警察官やガードマン。エティハド航空カウンターの周辺にのみ人がいましたが、数人。私にトイレに行く間、荷物を見ていて欲しいと頼んだ女性は、イタリアに帰る大学生で、9か月日本語を勉強していたとのこと。他にはエジプト人の家族、イタリアに住んでいる彼に会いに行く日本人女性と話しましたが、みんな母国に帰るか、やむを得ない事情で渡航するか、と言った感じです。
早めのチェックインをして出国手続きを終え、あとは飛行機に乗るだけですが、免税店やレストランも閉まっていて、おなかがすいても食べるところがありませんでした。
せっかく海外に行くのにテンションは下がる一方・・・最後にお土産のお菓子を買おうと思っていたセブンイレブンもこの通り。
予定通りの時間に飛行機に搭乗しましたが、飛行機には20人くらいしか乗客がいませんでした。
ソーシャルディスタンスも余裕で取れ、横になって寝られます。こんなに空いている飛行機は初めてです!
おなかがぺこぺこだったので、遅い機内食を美味しくいただき、横になって寝ました。
アブダビでの乗り換え
早朝4時、無事にアブダビに到着。飛行機の中で簡単な健康申告書を提出しただけで上陸しました。
世界のハブ空港だけあって、早朝でも売店やレストランが開いていましたが、その値段の高さにびっくりです。500ccのペットボトルが300円くらいしたので、私に買えるものは何もありませんでした。
でも、トイレの一角にきれいで熱いお湯の出るシャワーがあり、しかも無料でした。
待合スペースは徹底的にソーシャルディスタンスが取られていました。向かい合っている座席は片側に誰も座れません。
アブダビからマドリードまでの乗客も少なく、30人ほどで、また横になって寝られました。
今度も、機内食の選択肢は魚か鶏肉で、メッカの方向がわかるアプリケーションがあったり、これがアラブの飛行機か!と思いました。機内食を配る係のみなさんは、感染対策のエプロンやマスク、ゴーグルをつけて任務にあたります。
スペイン入国
無事にスペインに到着して、いよいよ入国手続きです。飛行機の中で、健康に関する質問票が配られました。質問は14日以内にコロナウイルスに感染したか、家族が感染者だったか、14日以内に病院を訪れたか、今、熱や咳などの症状があるか、など簡単なもので、飛行機の座席番号と、スペインでの連絡先を書いてサインして終わりでした。
パスポートコントロールで、若い係員が私を見るなり「ビザ持ってる?」と聞いてきました。ビザはないことを告げると
係員:「ビザがなかったら入国できないよ。何しにスペインに来たの?」
私:「パートナーに会いに来ました」
係員:「結婚しているの?」
私:「チリではパートナー契約を結んでいます」
係員:「チリって、君は日本から来たんでしょ?」
私:「そうです。そして日本は先日からスペイン入国を認められた15カ国の一つで入国できるようになったと聞いています。大使館にも電話をして確認しました」
そこへ別の年配の係員がやってきて、15か国のリストを見るようにいいました。若い係員は、そのリストを初めて見たかのようで、しばらく見入ってから
係員「あ、日本って書いてある。ごめんごめん」 と言いました。
その様子から、ユーロ圏以外の外国人はまだビザがある人しか入国してないのだろうと思いました。少なくとも彼がチェックした日本人はいなかったのでしょう。無事に入国できて本当に良かったですが、ビザがないと入れないと聞いたときは、目の前が真っ暗になりました。
健康に関する質問票は、渡して終わりでした。事前にインターネットで申告していたのですが、それについては何も聞かれず、問診なども何もなく、14日間自己隔離をしなければならない、というルールも要請もありませんでした。私の心配はすべて杞憂に過ぎました。
荷物の受取場もがらがらで、ソーシャルディスタンスが保たれていました。
無事に荷物を受け取り外に出ると、いつも国際線が到着する第4ターミナルではなく第1ターミナルでした。国際便が少なすぎて、変更されたのでしょうか。そこにいるすべての人たちがマスクをしていて、ガードマンはとっても不機嫌。陽気なスペイン人の印象とは全く違うものでした。空港のカフェテリアも閉まったまま。
こういう経緯で無事に4か月ぶりにパートナーに会えました。こんなに緊張したフライトも、がらがらだったフライトも初めての経験で過ぎた今となっては面白かったです。
ちなみにスペインでは県ごとにマスク着用が義務化され、怠ると100ユーロの罰金ということで、みんなが真面目にマスクをして歩いています。ハグと両方の頬っぺたにキスという挨拶方式は、肘をくっつける挨拶に変わったようです。
今回はコロナ禍、スペインに飛んだ経験についてお伝えしました。(ちなみに、EU圏への入国は可能となりましたが、日本の外務省からは渡航中止勧告が出ています。私はこれから居住国であるチリに帰る予定です。)心配していたよりスムーズでしたが、早く前のように気軽に海外旅行ができるようになることを祈ります。
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IZUKAWAUSO
- 日本青年海外協力隊員。チリ南部の田舎暮らしも8年半になります。趣味は旅行(特に屋台めぐりと温泉)と料理。地元の週末フリーマーケットでおにぎりと味噌汁売ってます。