海外旅行する時の「教会の見方のコツ」って知ってる?

教会

「あぁ、もう教会なんてたくさんだ!」

欧米への海外旅行へ行って正直そう思ったことはありませんか?

こんにちは!たびこふれライターのNatsukiです。

知らないと、同じ様にしか見えない教会・・・

確かにすごいけど、信仰心があるわけでも無いし・・・

そんなあなたに!

次から次へと教会が見たくなる?!

そんなとっておきの教会の見方をお教えします!

目次

海外ツアー(特にヨーロッパ)にたくさん組み込まれる"教会"

何年か前のことですが、母が団体旅行でイギリスへ行ってきました。

「楽しかった?」との私の質問に、母は開口一番「教会が多すぎてうんざりした・・・」と。

添乗員の私としては「そこ?!」と思いましたが、やはり旅慣れない母のような人にとっては、それが率直な感想だったみたいです。そういえば私も、初めてのヨーロッパ旅行でイタリアに行った時には、同じこと思ったなぁ・・・

『xx建築の傑作』『数百年の歴史』

見る価値が十分にあるのはわかっていても、やはり見慣れないので同じ様に見えてしまう。

海外の方が日本に来て、"over templing"(もう寺はたくさんだ!)状態になってしまうのも、頷けますね(笑)。

でもせっかくの素晴らしいものなのに、そんな思いで見るのではもったいない!

母にも旅立つ前に伝えておけばよかった「教会の見方」、これを本日は皆さんにご紹介します。

この記事を読めば、次の旅行から教会を見る目が変わること間違いなし!?

ゴシック、バロック、なんのこっちゃ?

「ゴシックの傑作」「バロック様式の・・・」

なんて言葉が度々出てくることにお気づきのことと思います。

ゴシックって?

バロックって?

音楽の話?

美術の話?

え、建物も?

実はこれらのワードは、音楽にも、美術にも、建造物にも使われる言葉なのです。

日本での日常生活には殆ど出てこない言葉ですから、よく分からなくて当然。ですが、特にヨーロッパを旅する場合には、これらの言葉の意味がわかっていないのは旅の楽しさ半減・・・とまでいかないかもしれませんが、知ってて損はありません!

それではそれらがどんなものなのか、ざっくり一つ一つ見てみましょう!

ロマネスク様式とは?

ロマネスク様式 教会

まずはこのような形の教会、見たことありますか?

9〜13世紀ごろに使われていた様式で、「ロマネスク様式」という形です。古い様式なので、現在ではそんなに多くは残っていません。旅先で出会えたあなたはラッキー!

見つけたら「おぉ〜!1000年近く前のものなのか!」と、思ってください!

ロマネスクの特徴は『どっしり』

壁が分厚く、窓が小さく、入り口や窓の上部に半円のアーチを使っているのが特徴です。文字が読めなかった庶民が多かった時代でしたので、聖書からのシーンが入口や柱の上にわかりやすく描かれていることが多いです。

例えばこちら、正面入口上に描かれている彫刻ですが、何のシーンかわかりますか?

最後の審判

登場人物が多く、ぐちゃっとした感じ。そして真ん中になんだか偉そうな人物。よく見ると片方には苦しそうな人々・・・

そう、「最後の審判」です。キリスト教ではとても大切なシーンですので、この様な目立つ場所に描かれることが多いですね。

ゴシック様式とは?

ゴシック様式 教会

続いてこんな教会。「これは見たことがある!」という方が多いのではないでしょうか。

これはゴシックという様式で、これまでのどっしりとしたスタイルから一変、目を見張るほどスラっと背の高い素敵な教会になっていきました。

このような教会が造られた13〜15世紀頃のヨーロッパは、社会基盤がしっかりとしてきて、それぞれの街が成長し成熟していった時代です。フランスの北部で、この様な背の高い教会が造られたのが発端だと言われています。

これを見て「おらが町にもあんな格好良い教会を造ろうじゃないか!」と、市民の誇りと財力を投じて、あっちに負けるな、こっちに負けるなと、あっという間にヨーロッパ中に広まっていきます。

ゴシックの特徴は、『ツンツン』

高さのある塔もツンツンして、窓や入口もツンと尖ったアーチになりました。当時のヨーロッパでは高さ競い合戦が始まり、どんどん高くなります。ゴシック様式としては世界最大といわれるドイツにあるケルンの大聖堂の塔の高さは、なんと157mにもなります!

ケルン大聖堂

教会内部は背が高いため空間は広く、大きな窓にはめられたステンドグラスからの光がなんとも幻想的な空間美を創り出し、とても印象的です。

ゴシック様式 内部

ルネサンス様式とは?

続いては、ルネサンス様式です。ルネサンスといえば、イタリアのフィレンツェで起きた流れです。

ルネサンスとは何か、時代背景など話すと長くなってしまいますので、一言で建築への影響をお伝えしましょう。

ルネサンス様式の特徴、それは"均整の取れた美しさ"です。左右対称、彫刻は無くシンプルに。

サンタ マリア ノヴェッラ聖堂

この教会、フィレンツェにあるサンタ・マリア・ノヴェッラ聖堂といいますが、いかがでしょうか?これまでの教会と比べると、随分スッキリとした印象ですね。

また、このルネサンス様式は教会だけでなく、宮殿や街づくりにも使われました。15〜17世紀のことです。

ルネサンス様式 街並み

バロック様式とは?

バロック様式

いよいよ華やかな時代に入っていきます。バロック様式です。

バロックの特徴は『華やかで躍動的』カーブや渦巻きを使ったり、前後にずらして柱を配置したり、動きがあります。

バロック様式 内部

また内部はたくさんの彫刻や金色の装飾で彩り、とても華やかです。ひと目見て素直に「豪華だな」「すごいな!」とそんな印象を持つ思います。時代背景として教会の権威が揺らいだこの時代。とにかく教会という建物を、豪華で幻想的にし、庶民の感情に訴えかける必要がありました。

17〜18世紀のこの時代は、王侯貴族の力も強くなり宮殿があちこちで建てられます。華やかなバロック様式は、宮殿でも多く用いられましたよ。

ロココ様式とは?

ロココ様式

バロック様式の姉妹的存在である"後期バロック"とも呼ばれるのが、ロココ様式というものです。

ロココの特徴は、恐れずに言うなら『ワカメっぽい』

バロックと似ていますが、なんとなく隅々がワカメっぽいというか・・・

宮殿などの内部装飾に多く使われましたが、こちらは珍しく教会の内部がロココ様式となっている、ドイツにあるヴィース教会です。ワカメっぽさが少しはわかっていただけると思います。

ヴィース教会

ワカメっぽさにも理由がありますが、長くなりますので詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

>>Wikipedia「ロココ建築」

18世紀後期は、これまでの華やかで量感を誇示する様なバロックは行き過ぎと、繊細さに仕上げたこのスタイルが好まれました。官能的な優雅さを、貝と金とパステルカラーで表したロココ様式は、男性的なバロックに比べ、とても女性的であるといわれます。

新古典様式とは

万物のことに言えますが、ある程度のレベルまで達すると物事は原点回帰します。建築も同様で、ここまで華やかになった建築は、昔へタイムスリップ!

新古典様式の特徴はズバリ『リバイバル』です。

どこまで戻るかと言うと、古代ギリシャ時代です!パルテノン神殿を思わせる、大きな柱を使ったこの様なスタイルが世界中で作られました。こちらは、パリにあるマドレーヌ教会。

マドレーヌ教会 新古典様式

パルテノン神殿は紀元前5世紀の建物ですから、2000年以上の年の差を経てリバイバルされたわけですね!

この頃の日本はと言うと、明治維新を経て欧米化が進んでいた時代。

ようやく日本もこのトピックで登場です!新古典様式は日本の歴史的建造物でも多く見ることができますよ!日本橋にある三越や日銀、赤坂離宮など多くの建物がこの様式です。

赤坂離宮
<赤坂離宮>

最後に

いかがでしたか?

「建築に興味があるか?」と聞かれても、興味がある!と言う人はそう多くはいないかと思います。私もそんな一人でした。

ですがこうして見てみると、難しいことはありませんし、一度覚えておけば色々な国でその知識を活用することができます。

また重要なポイントは、これらの様式というのは【〇〇世紀はXX様式】と年代と共に移り変わっているということ。つまり逆に言えば、この各様式の概要さえ分かっていれば、ガイドブックを見なくても、いつ頃造られたものなのかが推測できてしまうということなのです!

中には一つの建物内でも様式がMIXされているものや、この流れには属さない変わり種などもあり、知れば知るほど面白いのが建築です。教会の内部は基本的には入るのは無料ですから(一部有料の教会もあり)、ぜひ色々な国でたくさんの教会を覗いて見て下さいね!

この記事が皆さんの「教会なんてもうたくさんだ!」を少しでも払拭するきっかけとなりますように!

それでは、また!

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Natsuki

添乗員として日本全国・120カ国以上を訪れ、身も心も旅行に捧げた旅行好き。歴史系・文化系が得意ですが、自然系のツアーも大好きな信州生まれ。子育て真っ最中の中、お家から皆さんに「役立つ旅行のノウハウ」をお伝えしています!

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