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タイでは一部商業活動の規制緩和が進み、チェンマイの市場や観光地も日々活気を取り戻しています。(5月12日現在)
タイ政府は4月末、新コロナ感染症拡大防止のための「非常事態宣言」を、さらに一ヶ月間延長しました。
と同時に、各種の厳しい規制で深刻なダメージを受けている経済再興を図るために、市場、露店、エアコンのない食堂、ゴルフ場など開放的な商業施設の営業再開も決断しました。
これによって、1ヶ月以上も閉店していた多くの商店などが待ちに待った店開きに着手、静まり返っていたチェンマイの街が次第に活気を取り戻し始めている今日この頃です。
目次
- チェンマイ県では感染治療入院者数ゼロに
- チェンマイの象徴「ドーイステープ寺」ついに再開
- 山上の展望台から一望チェンマイの観光復興を祈る
- 観光の目玉「ワローロット市場」にも笑顔あふれて
- 有名寺や水辺の憩い場など各観光地も次々に開放
- 5月17日からはデパートやショッピングセンターも
- まとめ
チェンマイ県では感染治療入院者数ゼロに
人が集まる場所では、必ず検温を行う。マスク着用は、すでに幼い子供たちの間でも常識に。そして、閉鎖的な空間ではもちろん、散歩やウオーキングをするときにも2m以上の「社会的距離」を保つ・・・。
こうした人々の不断の努力の結果、今やチェンマイ県における感染治療入院者数はゼロ、死者は残念ながら高齢者のみ1名という結果になっています。
むろん、この成果が経済的打撃を受けている人たちへの無料食料給付などの助け合い、そして医療関係者たちの必死の努力によって生み出されたことは言うまでもありません。
けれど、何よりも大きな力になったのは、世界中の観光客に愛されてきたこの美しい"北方の薔薇=観光都市チェンマイ"を「みんなの力で守り復興させよう!」という強い願いと団結心でした。
チェンマイの象徴「ドーイステープ寺」ついに再開
コロナ禍と闘うチェンマイっ子たちをさらに勇気づけたのが、「チェンマイの象徴」ともいえる有名な山上の寺「ワット・プラタート・ドーイ・ステープ」の再開でした。
実は、それまでのチェンマイは雨の降らない乾暑季に頻発する山火事煙害で灰色の空に覆われていました。
ところが、これまた乾暑季特有の自然現象「夏の嵐」のおかげで、ワット・ドーイステープ再開当日には、ご覧のように山の姿がくっきりと浮かび上がったのです。
久しぶりに澄み切った空気に包まれながらバイクで市街地を走っていた私は、思わず歓声をあげてしまいました。
山上の展望台から一望チェンマイ観光復興を祈る
山門の前一帯は密集感染を警戒して、まだ閑散としています。でも、巨大なナーガ(龍蛇合体仏陀守護神)が出迎えてくれる参道階段に人の姿を見かけたときは、思わず涙がこぼれそうになりました。
息を切らしながら長い階段を登り詰め、参拝境内へ。久しぶりに仰ぐ美しいチェディ(仏舎利塔)は、抜けるような青空を背景に燦然と輝いています。
そうして、その塔の下では蓮の花とロウソクを胸に捧げた信徒たちが、祈りを唱えながら静かに三巡り(時計回りに3回巡る行)をする敬虔な姿が見られました。
ご本尊のある本堂に詣で、再開を喜ぶ住職に聖水を全身にふりかけて貰い、さらに「魂を浄め高める」ための糸巻きの儀(聖糸を手首に巻いてもらう)を施してもらいました。
それから境内の展望台に向かうと、今度はチェンマイの街が一望のもとにくっきりと浮かび上がって見えています。
この見事な快晴と人々の心の支えである「山上の寺」の再開は、きっとチェンマイ観光復興への吉兆に違いありません。
観光の目玉「ワローロット市場」にも笑顔あふれて
続いての朗報が、観光客の間でも「ユニークなお土産を買うならここ!」と絶大な人気を誇るワローロット市場の再開でした。
特にチェンマイっ子たちにも愛されている市場まわり通路沿いにずらりと居並ぶ安価な衣料品店は、街の印象をパッと明るく変えてくれました。
久しぶりに顔を合わせた売り子さんたちの表情も、長い間の閉店にやつれを見せることもなく、本当に嬉しそうです。
もちろん、要所要所には写真のような手洗い消毒場と検温場が設けられ、感染防止対策にも抜かりはありません。
有名寺や水辺の憩い場など各観光地も次々に開放
先に触れた「ワット・ドーイステープ」の再開をきっかけに、ワット・プラシン(本堂は工事閉鎖中)、ワット・チェディルアン、ワット・ウモーンなどの有名寺院も、マスク着用、社会的距離の確保を条件に少人数での参詣やタンブン(喜捨)を受け入れています。
まだ観光客が少ない分、どの寺でも写真のような普段はなかなか見かけることのできないようなのどかな光景が見られます。
また、市街地から近い「水辺の憩い場」として知られるフエイトゥンタオ湖もついに再開されました。
人の姿が途絶えた静かな時間が、自然にも優しく作用したのでしょうか。まるで天国のような白砂の波打ち際で、たくさんの大きな魚が群れ集い跳ね姿が見られて驚きました。
水辺に浮かぶ人気の「筏小屋食堂」も、感染予防のために一軒ずつ空けて新鮮な魚料理の提供を始めています。
こんな雄大な自然の中にある、こんなに開放的な作りの店なのに、日本では考えられないようなこの用心深さは、やはりチェンマイを愛し盛り上げようとする人々固い決意と、訪れてくれる人への深い思いやりの心の表れに他なりません。
5月17日からはデパートやショッピングセンターも
さらに嬉しいことに、数日前には「5月17日からデパートやショッピングセンターも再開する予定」というニュースも流れました。現時点ではその様子を紹介することはできませんが、また機会を見てレポートしたいと思います。
まとめ
最後に、在留日本人の間でも人気の高い陶器類を扱うお店で見かけた微笑ましい光景を紹介しましょう。
むろん、この店も長い閉鎖ののちにようやく再開が叶ったばかりです。
「また店が開けて良かったですね、おめでとう」そう声をかけると、
「ありがとうございます。でも、まだなかなかお客さんが来てくれなくて。でも、これからですよね」そんな会話を交わして食器を眺めていると、彼女はコーラの栓を開けてに挟み込み、後ろの棚に向かって一心不乱にお祈りを始めました。
「仏壇もないのに、一体どうしたのだろう?」そう思ってよく見ると、なんと彼女が祈っている棚の上には、あのお馴染みの、しかも飛び切り愛らしいカップルの「招き猫」が右手で手招きをしていたのでした。
お祈りが終わると、このコーラは招き猫にお供えされることになります。
「一日も早くチェンマイが経済的に復興して、また心優しい日本人の観光客にもたくさん戻ってきて欲しい」
そんな彼女の熱い願いは、いまコロナ禍と闘い続けるすべてのチェンマイの人々の気持ちを代弁しているに違いありません。
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クンター吉田
- チェンマイ在住の物書き&プランナー。「チェンマイわいわい映画塾」主宰。趣味:北タイ温泉探訪バイク・ツーリング。