音楽で巡るオレゴン&ニューヨーク ~2020 冬~

目次

オレゴンから愛

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かつて、古谷一行さんの主演ドラマ『オレゴンから愛』の再放送を幼い頃に見たときから、オレゴン州は自然いっぱいで綺麗なところだというイメージがありました。

この度「PDX ジャズフェスティバル2020」に招待され、オレゴン州の最大都市であるポートランドへと行ってきました。2004年から始まったこのフェスティバルは今年で16年目。ポートランドにある13箇所以上の会場で2月19日から3月1日まで行われました。

私は、主演ミュージシャンの一人である大御所サックス奏者のアーチー・シェップの演奏がある2月22日に合わせポートランドへと向かいました。

NYのJFK空港からアーチー・シェップ・カルテットのドラマーのレニー、そしてピアニストのラファイエット・ハリスJrと同じ飛行機に乗りました。飛行機は週末だったこともあってかこの時期にしては満席で、ポートランド人気を実感しました。

ポートランドはここ数年一番住みやすい都市として観光やアート、ファッションやグルメにも力を入れています。消費税がかからないということも手伝って、日本でも人気がある場所だと聞いて楽しみにしながら飛行機での6時間を過ごしました。

飛行機の窓から、山頂に雪が積もった山々が見え出し気分が高揚してきました。空港まで迎えに来てくれたドライバーさんはアロハシャツ。かたやNYの極寒から来た我々はエスキモーが着るような大きなコートで包まれていてこのギャップにみんなで笑いました。

ダウンタウンへの道すがら車窓から見えたのは、思い描いていたのとは反対の路上生活者達のテント。ドライバーさん曰く、この数年ポートランド人気も凄いが、その反面テント生活者も増えたと言ってました。

ポートランドを南北に流れるウィラメット川沿いにはすでに桜が満開で、散歩がてら歩いている人も多く見られました。

ポートランド・ダウンタウン&『PDX Jazz フェスティバル 』

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ジャズジャイアンツ(ジャズを演奏する偉大なプレーヤーたち)の一人と言われる大御所アーチー・シェップの出番は2月22日。PDX ジャズ フェスティバルのメインアクトの一つです。その前日にカルテットのメンバーとアーチーさんは、特別リハーサル室で3時間ほどのリハーサルを行ってました。

リハーサル室は翌日演奏する「ニューマークシアター」の上階で行われました。82歳になるこの大御所は、2日ほど前に在住しているフランスから来たと言っていました。

私達でも疲れが出るのに、何度も何度も同じ曲を納得するまでリハーサルするアーチー。バンドメンバーも必死です。

リハーサルが終わると夜10時、街のレストランはどこも閉まっており、閉店間際のタイ料理のテイクアウトをホテルで堪能しました。

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<ホワイト・スタッグの看板>

22日の朝はポートランドのダウンタウンを散策。ダイナーを見つけ朝食を堪能し、川沿いを歩きました。

ドライバーさん曰く、天気が良いポートランドで雨が降る日にいるのはラッキーだと言っていたように、この日は雨がポツポツ、しかも寒い日でした。

写真スポットとなっている、スキーウェア・ブランドのホワイト・スタッグの看板は、ウィラメット川に架かるバーン・サイド橋を東からダウンタウンに入る人々を迎える位置にあり、1940年代に看板が作られた当初は砂糖会社の広告でした。
夜には"Made in Oregon"という文字が緑や金色に光り輝き、白鹿の鼻は赤く点滅している姿を見ることができ、1978年には市行政よりポートランドの歴史的ランドマークに認定されました。

昼3時からは音楽歴史学者であるアシュレー・カーン氏によるアーチーさんのインタビューが1時間行われました。

体調不調なのもあり30分ほど遅れて来たアーチーさん、この夜に演奏本番を控えているにも関わらず、喋り出すと止まらなくなり、ジャズ界の大御所の裏話からジャズへの情熱などを語っていました。大学教授でもあるアーチーさんの話術に魅了されながら、気がつくと30分延長されてました。

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急いでサウンドチェック会場へと向かい、バンドメンバーと合流したアーチーさんには、疲労の色が少し見えてましたが何とか音出しも終わり、本番までの1時間をそれぞれ休息に費やし、夜8時から本番が始まりました。

かなり多くの観客が今か今かと待つ中、堂々と現れたアーチーさん。観客も酔いしれる素晴らしい情熱的な演奏はあっという間で、気がつくと1時間半経ってました。

演奏が終わると楽屋裏では家族や関係者がアーチーさんに挨拶にきて賞賛してました。NYから一緒に来たラファイエットさんは、既にたくさんの大物ミュージシャンと共演しているベテランピアニスト。

アーチーさんがラファイエットさんに「君のピアノ、とくにブルースは最高だよね、本当に君はブルースが素晴らしい。君の新しいアルバムもブルース中心だよね、いい事だ」と褒めていて、ベテランであるラファイエットさんが物凄く嬉しそうに感謝していたのが印象的でした。

Biamp PDX JAZZ Festival 2020

公式サイトURL:https://pdxjazz.com/

レンタカーで街探索&近郊のパワースポット

ポートランドの人気理由を探るためにレンタカーを借りました。ジャズフェスティバルで、夜は他の出演者の演奏を堪能するために、早朝から車で近郊を回りました。

Voodoo Doughnut ONE(1号店)

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まずはすすめられた「Voodoo Doughnut(ブードゥードーナッツ)」。入店までに行列が出来ており、大きな箱で何個もドーナッツを購入した人たちが幸せそうに出てきてました。10分ほどで買えるよ~と言いながら一つ分けてくれました。

the grotto/ザ・グロット

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かなり甘いドーナッツを楽しみながら、次に絶対に行ってみたかったのがローマカトリック系の洞窟の中に聖壇があるというとても珍しい場所『ザ・グロット』。ダウンタウンから車で20分ほどで着きました。

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駐車場から既に聖像があちこちあり、まさに宗教色が強いキリスト教の聖地となってました。綺麗に整備の行き届いた庭園は山頂にある為、エレベーターで移動。上空の庭園から街を見下ろしながら、真下にある洞窟の聖壇からパワーを感じつつ、次のスポットへと向かいました。

マルトノマ滝

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次に向かったのがそこからまた東へ48キロメートル、45分ほど向かうとある自然の世界。コロンビア渓谷にあるマルトノマ滝は189mの高さから2段に連なって流れ落ちる滝です。ヒストリック・コロンビアリバー・ハイウェイに沿いに位置し、ここに到着するまでにも2~3の大きな滝がありました。

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駐車場から既に見え始める滝の威力はすごく、近づくにつれテンションが上がりました。山頂まで登れる山道もキチンと整備されており、滝のかなり近くまで行くことも出来ました。途中の大きな滝にも寄りたかったので、私たちは山頂までは行かず、次の滝へ。

この滝はかなりの滝マニアの私でも、思い出に残る一つとなりました。ハート型をしている山から勢い良く落ちる滝の流れは圧巻。ここはマルトノマ滝とは違って全く人がおらず暫く滝を独り占めしてました。

NY老舗シアター『アポロ劇場』での人気イベント

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NYに戻りました。相変わらず多種多様な人で混み合ってます。

アップタウンと呼ばれるハーレム地区125丁目には『アポロシアター』という老舗劇場があります。

ここは1860年に設立されてからずっと、マイケル・ジャクソンやジェームス・ブラウンなどのポップ音楽や、黒人音楽などでヒット曲を出した有名人を数多く生み出した場所で、人気観光地でもあります。

毎週アマチュアナイトというイベントで素人公開オーディションが未だに開催されており、日本人も多く挑戦してきました。

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この老舗劇場で2月29日に、私の友達アンドレ・ラッセル(Gr)が所属する『Burnt Sugar the Arkestra Chamber』が生演奏を披露する映画『シャフト』の上演に招待されました。

『シャフト』は『黒いジャガー』という邦題で1971年に公開された映画で、2000年にはサミュエル・エル・ジャクソンによりリメイクされてます。

そのオリジナル映画を上映しながら、歌手アイザック・ヘイズが歌ったヒット曲などのサウンドトラックをオーケストラが生演奏するというもので、チケットの入手が困難な人気イベントです。

入口ドアの横にある関係者受付でチケットを受け取り中に入ると、アポロ土産ショップと共に、『シャフト』の時代を思わせるパネルと、写真が撮れるセクションが用意されてました。

70年代を思わせるような派手な衣装、アフロヘアの観客がウロウロするロビーを抜け、会場へと向かいました。私の席はラッキーにもスクリーンど真ん中で最高の座席。

ハーレム地区の観客が多いのでしょうか、映画の中でハーレムが映るたびに大声で叫んだり拍手をしたるする観客。

この映画は『ブラック・パワー』ムーブメントと言われる時代の幕開けの一部を担っております。1970年代前半にアメリカで生まれた映画のジャンル、ブラックスプロイテーション(Blaxploitation)。

70年代のファッショナブルでクールな映画に合わせた生で音楽を堪能。オーケストラは15人ほどの大所帯です。リーダーで指揮者のグレッグ・テートが、緻密に映画の進行に合わせバンドを指揮します。少しでも音がずれると、窓が割れたりドアを破る映像ともずれてしまいます。音と映像がマッチした時は、観客から歓喜の声援が飛んでいました。

全体リハーサル自体は3回ほどだったそうですが、個人の練習は毎日続いたと言っていたように、まさに努力が実った、素晴らしい作品となりました。終わってからミュージシャンたちは「すごい集中したので疲労困憊したが、楽しかった!観客が大喝采だったのが何より嬉しい」と言ってました。

会場前にはまだ「シャフト」気分でいる大人たちの多くが、毛皮や皮のコートに身を包み写真を撮っていました。

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Apollo Theater

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RICA NAKAJIMA

京都生まれ&育ち。世界各地をバックパッカー周遊しながらロンドンに6年、ニューヨークに10年以上滞在。日本のコアな伝統文化や神社仏閣、世界の文化芸術、史実関連を中心に新聞・雑誌などで執筆。また経験に基づく“陰謀説”系の電子書籍出版もあり。ジャーナリストのほか、写真映像家、YouTuber、NY州不動産ブローカー、音楽プロデューサー&イベンター、ヒーラー、日本庭園師などマルチに活躍中。

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