未来の地下鉄を体験!ウィーンの駅構内の最新式博物館

ウィーンには交通関連の常設博物館が三つもあり、鉄道ファンにとっても見どころの多い街です。そんなウィーンに、期間限定で、新しい交通をテーマにした博物館ができました。ウィーン地下鉄の未来の姿をテーマにした、触って学べる最新型の展示では、大人から子供までじっくり地下鉄について知ることができます。

この展示は、その名も「情報センターU2/U5(Infocenter U2/U5)」。ウィーンに新しくできる地下鉄5番線(U5)や、延長工事中の2番線(U2)を主軸に、地下鉄の工法や、将来の駅の姿、地下鉄工事にまつわる考古学的発見や、世界の地下鉄についての展示があり、まさに未来の地下鉄博物館です。

目次

展示室と展示内容

ウィーンの地下鉄駅構内にある博物館と言えば、以前ヴィルギル礼拝堂をご紹介しましたが、この情報センターも、駅構内にあります。

ウィーン市内にある「交通博物館」は、トラムやバスの歴史に重点を置いていますが、同じ交通がテーマであっても、こちらの情報センターでは、未来志向の印象を受けます。

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<地下鉄構内に作られた、情報センターU2/U5入り口>

内部には、広い三つの展示室があります。

第一展示室

一つ目の展示は、「地下鉄の過去と現在」がテーマです。

世界の地下鉄をテーマにした展示や、現在のウィーンの地下鉄の路線図などの、地下鉄を概観した展示のほかに、歴史的駅舎を記念碑として保全するための文書や、地下鉄工事の際の発掘物なども展示されています。

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ウィーンのように歴史ある町では、地下鉄工事の度に考古学的発見があり、発掘物が大量に見つかりますが、地下4メートルほどのところで見つかった、ローマ時代の発掘物なども展示されています。

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第二展示室

奥にある第二展示室は、新路線の建設予定図や模型、実物大の駅のモデルなど、現在進行形の地下鉄工事についての情報や、完成時の街のイメージが展示してあります。

展示室内に作られた、実物大の新駅の再現は、未来の地下鉄の乗り降りをそのまま体験でき、ちょっと変わった鉄道体験ができます。モデルの駅に鳴り響く、実物さながらの音響が迫力で、思わずこのまま地下鉄で走りだしそうな気分になります。

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<まるで本物の駅に見えますが、実物大のモデルです>

第三展示室

左奥の第三展示室は、地下鉄工事で使われる技術と機械、土壌、地形などを扱っています。

ここには、実物大のトンネルを掘る機械が設置されていて、迫力満点。この掘削機は、トンネル掘削操縦シミュレーションマシンとつながっていて、モニターを操作すると、掘削機全体が振動して作動し、実際にトンネルを掘っているかのような臨場感が味わえます。また、堀ったトンネルに資材を組み立てて壁を作っていく過程も、実際の工事の様子をゲーム感覚でシミレーションできます。

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<実物大の地下鉄トンネル掘削機の展示>

ここでは、3種類の掘削方法の展示が、実際の地下鉄工事の写真と共に紹介されています。駅と駅の間は前述の掘削機で掘りますが(シールド工法)、駅では上から掘り下げる工法(開削工法)が使われる場合もあります。また、駅構内には、オーストリア発の掘削法、「NATM(新オーストリアトンネル工法)」が使用されています。この工法は、山岳地帯のトンネル工事を得意としていたオーストリアで開発され、現在では様々な地盤で使われている、オーストリアの地理的強みを生かした掘削方法です。

またここでは、ウィーンの地質、地下水、土壌に関する展示もあり、地上からは見えない様々なウィーンの一面をうかがい知ることができます。

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この「情報センター U2/U5」は、地下鉄フォルクステアター駅(U2/U3 Volkstheater)を、ブルクガッセ(Burggasse)出口へ向かい、エスカレーターの手前にあります。開館時間は、月&水曜日の14時~18時、火&金曜日9時~13時、土曜日10時~14時と、限られていますのでご注意ください。また、新路線の工事が終わるころには、閉館となる予定とのことです。

まとめ

ウィーン第四の交通関連博物館「情報センターU2/U5」は、説明も詳しくわかりやすく、最新の博物館展示ノウハウを集めた、近未来的でインタラクティブで、楽しみながら学べる展示です。

期間限定な上、開館時間も限られていますが、もし通りかかった時に開いていたら、ぜひのぞいてみてください。地下鉄博士になれるチャンスかもしれません。

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ひょろ

オーストリア、ウィーン在住。10年以上暮らしてもまだ新しい発見の連続のウィーンの魅力を、記事執筆、現地調査、ネットショップなどを通じてお届けしています。国際機関勤務を経て、バイリンガル育児の傍ら、ミュージカル観劇が趣味。

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