願い事、神頼み?それならグアテマラのマシモンです

こんにちはグアテマラのKamomosiです。

今月はマシモンを紹介しましょう。マシモンはサンシモンとも呼ばれる木彫もしくはマネキンのような偶像です。グアテマラの各地に祀られ今でも多くの信者が毎日のようにマシモンを訪れています。

キリスト教が大半を占めるこの国に残る土着信仰のようなものです。実はこのマシモン、生前は飲む打つ買うの悪人で村人により処刑された人物だとも言われています。ところが現在、このマシモンはなんでも願い事を叶えてくれると祈願に訪れる人が絶えないのです。

目次

マヤの祖先神マシモン

マシモンについて少しお話をしておきましょう。

マシモンで有名な場所がこの国にはいくつかあります。ケツアルテナンゴに近いスニル村。アンティグアに近いイツァパ村。アティトラン湖畔のサンティアゴは特に有名で、多くの観光客が訪れる事で知られています。各地のマシモンの容姿はスペイン系白人男性、木彫りの人形に先住民族の衣裳を着せたもの、マネキンのようなスーツ姿など様々です。

これらの場所にはコフラディアと呼ばれる男性たちがマシモンの世話係として常駐しています。祭主の家は一般の家庭です。中へ入るともうもうと香煙が立ち込める薄暗い部屋の中央にしつらえた祭壇に腰掛けるマシモンを見ることができます。信者が願い事のために灯したろうそくが床一面に広がりマシモンを浮かび上がらせています。

口に差し込まれた葉巻、クシャと呼ばれる酒が口から流し込まれている様子は怪しさ満点です。

祭壇の脇ではシャーマンが占い、その答えを真剣な面持ちで先住民の女性が聞いています。願い事は恋愛、子宝、金運、健康、呪いとなんでも叶えてくれるらしく、願い事により色の異なるロウソクを灯すようになっています。

そしてその気になる効果は

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僕の知る宿は18年の歴史を持つ老舗の1つです。ここで働いた管理人の女性たちでマシモンに願いに行った人の成就率は100%!なんと全員結婚の夢が叶っています。いずれも電撃的な出会いから即結婚と周囲を驚かせているのです。

そしてうちの宿のお客さんは、金運を願った直後、帰り道でお金を拾ってきました。これはグアテマラではとても珍しい事なんです。そして翌日もまたまた道でお金を拾い本人たちもびっくり、もちろん僕もその幸運に驚きました。

マシモンって何者??

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グアテマラをはじめとする中米諸国では、スペイン人による植民地化がきっかけで、それまで自給的共同体を営んでいたマヤ人社会の秩序や価値観が崩壊していきました。

マシモンの由来は諸説ありますが、現金経済とキリスト教という新たな価値観が浸透していく中で、土着信仰とカトリックを融合させ、現状の不満に対する民衆的結束を強め、マヤの伝統を表現することで精神的な自治を守ってきたというのが実際のところではないかと思っています。

そう思う理由は、地域によってマシモン像の容姿や世話係の人種が違うからです。

道路網が発達し、スペイン人との混血が多く住む地域では、マシモンは「サンシモン」と呼ばれていて、容姿は白人系男性を模したものが多く、世話をする人々も白人の血をひく集団です。

交通網の発達が遅れ、マヤの文化が色濃く残っている場所では、木彫や包みだけでマシモンと呼ばれ、先住民が世話をしています。おそらく先住民族が住む地域で密教的に個人宅で信仰されてきたマシモンはその信者が増加するとコフラディアと呼ばれる組織の所有となり、地域信仰的な発展を遂げたのではないかと推測できます。

白人社会からはじき出されてしまった下層階級の混血層もまたマヤの伝統に帰依するためにサンシモンとしてキリスト教を模し、像も白人に近いものにしてカモフラージュしたのではないかと思うのです。いくつかのマシモンで奇跡的なことが起きたことを機に、下層民衆の活力としてマシモンを神として崇めるようになったのではないかと解釈すれば、地域ごとにこの信仰に対する諸説があることに合点がいくと思うのですが、考えすぎでしょうか。

サンティアゴとサンペドロのマシモン

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グアテマラではセマナサンタと呼ばれるキリストの復活際の時期、アティトラン湖畔の村サンティアゴでも盛大なキリスト教の儀式が行われます。

この時期に合わせるようにこの村のマシモンは夜間にコフラディアにより解体され、湖で洗浄されます。新たに構成されたマシモンは、キリストの復活劇を盛大に祝う祭りの最中に列の最後尾に突如現れ、道化のようにカトリックの列を茶化しながら進み、キリストよりも先に教会に飛び込んでしまいます。その後新たな設置場所へ安置されるのです。

同じ日、隣のサンペドロでもマシモンが通りに突如現れます。サンペドロのマシモンは2体。民家の前で椅子に腰掛けたマシモンを見ることができます。このマシモンは普段は絶対に旅行者が見ることは叶いません。年に2日間だけ民衆の前に現れるこのマシモン達は華やかに催されるアルフォンブラという花の絨毯の上を行進するカトリックの荘厳な行列を揶揄するように現れます。

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アティトランのマシモンは一般に公開されているコフラディア所有のサンシモンで、サンペドロのマシモンは個人所有の密かに信仰の対象となっているマシモンだとわかります。

この両者の違いは奇跡の有無なのではないか、だとすればまだ奇跡を起こしたことのないサンペドロのマシモンは可能性を秘めていると僕は思っているのです。毎年、僕は密かにこの2体のマシモンにある願い事をしています。これが叶ったら記事で報告します。エ?どんな願い事?それは内緒です。

最後に

さていかがでしたでしょうか。今日はちょっと固い記事になってしまったかもしれません。でも旅に出る前にちょっとした知識を持つことで旅の楽しみに深みが出るのではないでしょうか。日本語のブログでも記事になっているマシモン。今日はちょっと違った視点で紹介してみました。

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kamomosi

日本を出発して5年、旅の途中で宿をやることになりグアテマラで3年。グアテマラの魅力にすっかりはまっています。

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