こんにちは！グアテマラのKamomosiです。現在グアテマラは大統領が代わり、治安の向上に取り組んでいます。取締りなどが強化されており、一部地域は大使館から注意情報も出されていますので、お越しになる際は事前に行かれる地域の情報を確認してください。

今回は、グアテマラに祀られている黒いキリスト像に関する少し変わったイベントをご紹介します。

目次

• バイカー必見！伝統のバイクイベント「Caravana del Zorro」
• 奇跡を起こす？黒いキリスト像
• 漆黒のキリストの謎
• 人々に根ずく心の拠り所としての宗教観

バイカー必見！伝統のバイクイベント「Caravana del Zorro」

毎年のように在グアテマラ日本国大使館から"グアテマラにお住まいの皆様および旅行者の皆様へ"と注意喚起が出るほど盛り上がるイベントがあります。2月に行われる伝統のバイクイベント「Caravana del Zorro」です。

1年に1度の大規模イベントで、なんと約8万台ものオートバイが首都の中央公園を出発して「黒いキリスト」が祀られているエスキプーラスまでの222キロをバイクで巡礼するお祭りです。

一団はエスキプーラスへ向かい、翌日には首都まで戻ってくるのですが、この時ばかりは巡礼路の道路は大混雑、バイクで車線が埋め尽くされてしまう程の大渋滞になります。

残念ながら飲酒や危険な走行をするバイクもあり、2018年も事故で1名が死亡、30名が負傷。2017年には参加者同士の揉め事から銃撃事件に発展し、警察隊が催涙ガスを散布する騒ぎとなり、7名が負傷するなどお騒がせな一面もあります。

奇跡を起こす？黒いキリスト像

このイベントの始まりは遥か昔へと遡ります。

エスキプーラスはバロック様式の美しい建物が並ぶ美しい街です。1594年には綿花が大豊作となり、そこでかねてからの念願であったキリスト像を製作しようということに。製作は、当時アンティグアに住んでいたポルトガル人のキリオ・カターニョに依頼されました。

エスキプーラスの人々は十字架像が出来上がるとそれを受け取り、帰途につきます。途中、多くの町で祈りを捧げさせて欲しいと頼まれます。

あちらこちらで滞在しながらの道中は４ヶ月もかかってしまいました。

キリスト像が作られた後も、聖像の噂や美しさに魅せられた人々がエスキプーラスを訪れ、祈りを捧げるようになり巡礼の道となったそう。

そして現在、それは形を少し変えてバイクでの巡礼イベントとなりました。

漆黒のキリストの謎

謎はなぜキリスト像が黒いのかということ。

世界にもいくつか黒いキリスト像があり、フィリピンのものが有名で"奇跡の"と呼ばれていますが、詳細はわかっていないことが多いようです。

グアテマラのキリスト像も同様に、製作した彫刻家のキリオ・カターニョが地元の人の肌の色に似た木を使ったと言う説、教会で焚かれる煙に燻されたと言う説など様々ありますが、修復作業を行ったときの素材の木は白だったと言うことです。

こうした話はうやむやな部分があるからこそ楽しみがあるので、謎のままでもいいのではないかとも私は思います。

人々に根ずく心の拠り所としての宗教観

この黒いキリストに参拝する人が後を絶たない理由の一つが、フィリピンの黒いキリスト像と同様に、奇跡を起こす力があると信じられているからです。

この町は、何世紀にもわたって多くの地震をほとんど被害なしで乗り越えてきていて、1740年当時にグアテマラ司教だったペドロ・パルドも奇跡を体験した1人とされています。

彼がグアテマラの大司教になったとき、最愛の像を安置するために美しい聖堂の建築を依頼したことも、奇跡があると信じられている理由でしょう。巡礼者は1時間以上待つこともあるほど人で賑わっています。彼らは祈りをおこなった後、聖像に背を向けずに去っていきます。

ガラスケースに収められたキリストの表情に満ちた静けさは、その足元に膝まづく者達の祈りに耳を傾けている様にも見えました。

奇跡の真相を知ることはできませんが、こうして人々の心の拠り所があると言うのは大切なことなのだと感じますね。

現在のバイクイベントは仮装大会のようになっていますが、お祭り好きのグアテマラ人らしいイベントです。このお祭りの期間はエスキプーラス方面への移動は通常の時間通りにはいかないので、旅の計画は余裕を持ってたててくださいね。

余談ですが、サンペドロララグナという町にも実は黒いキリスト像があるんです。

理由を聞いても教えてくれませんが、エスキプーラスのものかと聞くとそうだと答えているところから、一種の奇跡を信じて置いているのかもしれません。

マヤ文明をはじめとする多くの未解明な事柄や宗教観、神話など調べてもよくわからない未知なことが多い国・グアテマラ。そんな不思議なことがたくさんあるからこそ、それが魅力の１つでもあります。