公開日:
最終更新日:
ヨハネスブルグ一危ない!?ヒルブロウ地区とは?体験ツアー!
今回は、ヨハネスブルグにある「ヒルブロウ」という地区をご紹介します。
目次
- ヨハネスブルグは"凶悪都市"?
- "凶悪都市"ヨハネスブルグで最も悪名高いヒルブロウ
- ポンテタワーにあるコミュニティセンター、デラランジェ(Dlala Nje)とは
- ヒルブロウを楽しみ尽くせ!?
- 安全対策は万全に
ヨハネスブルグは"凶悪都市"?
ヨハネスブルグというと、治安が悪い、世界最恐都市、などといった異名を聞いたことがある人もいるかもしれません。
「南アフリカに旅行に行く」というと、テーブルマウンテンや野生のアフリカペンギンを見ることができるビーチ、ワイナリーを楽しめるケープタウンに行く人が多いのですが、ヨハネスブルグのほうが、実は約3倍も経済規模が大きいのです。かつての人種差別政策アパルトヘイトの抵抗運動の中心地となった地区や、アパルトヘイト博物館もヨハネスブルグにあります。
なんとなく、ケープタウンとヨハネスブルグを比べて、ヨハネスブルグのほうが危ないイメージを持つ人が多いと思いますが、実は統計を見ると必ずしもそうとは言えません。意外かもしれませんが、殺人件数はケープタウンのほうが多いのです。
とはいえ、これが示しているのはヨハネスブルグが安全な都市である、というわけではなく、ケープタウンも十分リスクが高い場所である、ということです。しかし、インターネットでそれぞれ「ヨハネスブルグ」「ケープタウン」と検索してみると、ヨハネスブルグの場合、治安について注意喚起する記事が多く出てきますが、ケープタウンについては思わず旅行を計画したくなるような、観光情報がトップに出てきます。インターネット上の都市伝説に惑わされず、安全対策をしっかりととって旅を楽しみたいものです。
ヨハネスブルグに住んでいる身として、よく治安について聞かれます。安全かどうかは、自分の人種、性別、行動の仕方、そして時間帯によっても異なります。また、一言でヨハネスブルグといっても地区によって状況が全く異なります。
ダウンタウンやCBD(セントラル・ビジネス・ディストリクト)と呼ばれるエリアは、名前からして街の中心地のようですが、実はそうではなく、日本大使館からも注意喚起がくるような、いわゆる治安の悪いエリアです。名前のせいもあるのか、そのエリアに宿泊したり、一人で歩いたりして犯罪に合うケースが少なからずあるようなので、ヨハネスブルグに来る際は気を付けてください。
"凶悪都市"ヨハネスブルグで最も悪名高いヒルブロウ
そんなCBDの中でも、特に悪名高い場所が、ヒルブロウ(Hillbrow)と呼ばれる地区です。
ヨハネスブルグ在住者でも、みんな「危険な場所」だと口をそろえ、めったに訪れることがないというこのエリア。Wikipediaでも、"危険地帯"と説明されています。
ヒルブロウのあたりには、ポンテタワーといわれる、かつてギャングが住み着いていたという高層マンションがあります。
CBDはアパルトヘイト崩壊前の街の中心地でした。アパルトヘイト時代は、白人専用居住区であり、その名の通り経済の中心地として栄えていました。
ところが、アパルトヘイト体制が崩れてきたことから、他の人種の人も移り住んできて、かつての高所得層は郊外に出ていきました。一時期は労働者層や不法移民などであふれ、廃墟となったビルにはギャングが住み着き、治安が一気に悪化したのです。
2010年にサッカーワールドカップの開催地になった際に、ポンテタワーをはじめとしたギャングの拠点が一掃されたため、一時期に比べるとだいぶ治安が回復しましたが、今でもお世辞にも治安がいいとは言えません。
ポンテタワーにあるコミュニティセンター、デララ・ンジェ(Dlala Nje)とは
「地元の人も寄り付かない」とは言いましたが、中にはヒルブロウで生まれ育った人や、そこに住んでいる人もいます。
一時期ギャングに占拠されていた歴史を持つポンテタワーには、今では子ども連れも含めて、多くの家族が暮らしています。
そんなポンテタワーの入口には、コミュニティセンターが作られていました。その名もDlala Nje(デララ・ンジェ)。南アフリカの11の公用語の中で、一番話者数が多い、ズールー語で「Just play(ただ遊ぼう)」という意味で、2012年に設立されました。
ここのコミュニティセンターでは、ポンテタワーに住んでいる子どもたちを対象に、ワークショップや学習支援をしています。コミュニティセンターの収入源は、観光客に向けたヒルブロウ地区のウォーキングツアー、54階あるポンテタワーを下から上まで駆け上がるポンテチャレンジ、ポンテタワーの上階でのヨガイベントや政治についてのトークイベントなど、悪名高いポンテタワーやヒルブロウのイメージを一掃するような楽し気な企画を提供しています。
このデララ・ンジェは、企業向けの研修なども行っていてビジネススクールやフードチェーン店、銀行などが取り入れた実績があるようです。
ヒルブロウを楽しみ尽くせ!?
そんなデララ・ンジェのツアーに参加してみました。
数々の都市伝説の舞台となっているヒルブロウ。実際はどんな風になっているのでしょうか?
ギャングが一掃され、再び住居として生まれ変わったポンテタワーの入口は、厳重なセキュリティ体制が敷かれています。ガイドの案内で、建物の中に潜入します。
ポンテタワーの内部は空洞になっています。かつて、治安が悪化したことで、ごみの収集すら地区に来なくなってしまった時期がありました。そのころこの内部には、14階分の高さまでゴミが積みあがっていたそうです。
街歩きをする際は、2名の地元のガイドが前後についてガードしてくれます。ここ数年で街がどのように変わったか、今どのように治安の管理がなされているのか、廃墟があることでどんなリスクがあるのか...ヒルブロウとその隣にあるべレア(Berea)という地区をまわります。
また、この地区が抱える問題についても解説してくれます。ヒルブロウには売春宿が多くあること、また、外国人が多いことから行政サービスの優先順位が下がり、さらに治安を悪化させる要因になっているということなど...。
ヒルブロウ出身のガイドは言います。
「ヒルブロウという名前に偏見を持っている人は、南アフリカ人でもものすごく多い。でも数年前と比べてこの地区は大きく変わってきているんだ。自分が子どもの頃は、外国人観光客がツアーをするなんて考えられなかったけど、もっと多くの人が来て、ヒルブロウがもっと良くなってくれるといいな」
安全対策は万全に
今回は、ヒルブロウ地区のツアーについて紹介しましたが、ヒルブロウ一帯は治安が悪く、リスクの高い場所であることは決して忘れないでください。土地勘のない人が、何もわからずにうろうろすることが一番危険です。
南アフリカに限らず、100%安全な場所も、100%危険な場所もありません。自らの身を守るのは自分自身。信頼できる情報を元に、最大限の注意を払って行動してくださいね。
Ranking南アフリカ記事ランキング
-
ばん
- 南アフリカヨハネスブルグ在住。コワーキングスペースでリモートワークをしながら、南アフリカ人のパートナーとの南アライフを満喫中。