南と北は別の国?細長いチリ共和国の旅行案内

チリ

日本の反対側、南米チリ。日本人に身近なものは鮭やワイン。聞いたことがある観光地としてはイースター島やパタゴニア。でも実際にチリを旅行したことのある日本人は決して多くありません。

日本も南北に長いですが、チリはその2倍。今月から日本ではまだまだなじみの薄いチリ共和国について、その魅力や具体的な旅行プラン、在住者ならではのマイナーなおすすめポイントなどを紹介したいと思います。

目次

南米の優等生:チリ

ぶどう畑
<北部の山あいに広がるぶどう畑>

Wikipediaで、チリについて調べると「ラテンアメリカでは最も経済・生活水準が安定し、政治や労働でも最高度の自由を保っているとされる」と書いてありますが、10年住んでいる私もその通りだと思います。いわゆる「南米」のイメージとされる「邦人誘拐」やマフィアの抗争は見たことも聞いたこともありません。

夜でも基本的に安全、長距離バスの発車が遅れることも少ないし、観光客への「ぼったくり」もあまりありません。もちろん日本のように全てが整っているとか、きれいとか、絶対遅れないとかということはありませんが、隣国(ペルー、ボリビア、アルゼンチン)と比べると、トラブルは少なく、緊張しないで旅を楽しめると思います。

チリの人々は基本的に親切で人懐っこく、好奇心旺盛、日本人にはなじみやすいと思います。

一方で、隣国に比べると物価は高め。

なるべく安く旅をしたい人は、ボリビア、ペルーへ行きましょう。ある程度の予算があって、のんびり風景や現地の人とのコミュニケーションを楽しんだり、美味しくて安いワインを探したり、どこまでも続く地平線や水平線を眺めたり、寒冷ジャングルや南十字星を愛でたい人にはチリはおすすめだと思います。

南北に4,000km:南と北では違う国?

チリ

チリといえば、その細長さ。ペルーと接している一番北の街アリカは南緯20度。

南極に近い一番南の村プエルトウィリアムスは南緯55度。

北部の見どころはが砂漠なのに対し、南部の見どころはパタゴニアの森や湖。気候や風景が全然違います。

首都サンティアゴはおおよそ国の真ん中あるので、サンティアゴ以北が「北部」以南は「南部」という感じ。首都から北へ行けば行くほど、乾燥地帯へ、南下すればするほど、緑が増えます。

北部へ行くならサングラスと日焼け止めとリップクリーム、南部へ行くなら折りたためるダウンジャケットと傘が必須。

全然別の景色でありながら、北部も南部も同じ太平洋に面し、寒流に影響されているため、暑い北部も海水は冷たいという共通点があります。

ちなみに、チリの州割りは基本的には、一番北から1州、2州、3州、4州、5州、首都圏州...と南下していきます。

北部のおすすめ:砂漠の絶景ラ・セレナとサン・ペドロ・デ・アタカマ

首都からバスで北上していくと、木々がサボテンや乾燥した木に変わっていきます。そんな景色をみながらバスに揺れること6時間半、第4州のラ・セレナに到着です。

ラ・セレナ周辺にはビーチや天文台など色々な見どころがあるので、2~3泊しても十分楽しめます。

【ラ・セレナ周辺のツアー】
https://www.ecoturismolaserena.cl/es_ES/

北部の見どころは続きます。さらにバスでどんどん北上して行きます。サボテンさえも生えていない、何もない大地、地平線が横たわっている景色は圧巻です。もちろん国内線でビューンとひとっ飛びも可能ですが、時間がある人にはぜひバスで北上して大陸の大きさを体感して欲しいです。

サンペドロ・デ・アタカマ

サンティアゴからバス乗り継ぎで約24時間(時間のない人は飛行機でカラマ経由で約4時間)のところにある砂漠の小さい町。まるで月面のような「月の谷」への半日ツアーは絶対おすすめ。

サンペドロ デ アタカマ

【月の谷へのツアー】
https://sanpedroatacama.com/en/excursion/valley-of-the-moon/

大地の美しさと力強さに圧倒されること間違いなしです。冒険好きにおすすめなのは、ボリビア・ウユニ塩湖へ抜けるツアー。

【ウユニへのツアー】
https://sanpedroatacama.com/en/programa/uyuni-classic-4-days-3-night-return/

2泊3日、ガイド兼運転手とともに四駆のジープに乗ってエメラルドグリーンの湖やフラミンゴがたくさんいる塩湖、リャマやアルパカが草を食む脇を通り、標高約5,000mの峠を越え、ウユニ塩湖を目指します。

ウユニ塩湖

北部のおすすめは景色の「何もなさ」きっと、訪れる人の価値観、地球観、自然観を変えてくれるはずです。

ちなみに北部を支える産業は鉱山。チリの最たる外貨獲得手段、主要産業である銅の生産のため、鉱山で働く人が多く、旅行中に鉱山関係のトラックや労働者とすれ違うかもしれません。

南部のおすすめ:美しい湖と火山のプコン

サンティアゴから南下すること約700km、第9州まで来ると、緑が増え、目に優しい景色が広がってきます。州都テムコから、アンデス山脈及び、アルゼンチンとの国境方面へ向かうと、森や大きな火山が見えてきます。

チリ南部で一番大きい観光地プコン

湖と温泉、火山観光、冬はスキーの街。登山・乗馬・サイクリング・カヌーなどアウトドアアクティビティをする人から、湖畔でのんびりする家族連れなど、常に色々な観光客でにぎやかですが、特ににぎやかなのは天気が安定する12月~2月の夏。(チリの気候は日本と反対です)

個人的なおすすめは、チリ南部に住む原住民マプチェ族が彼らの土地を案内する乗馬ツアー。

初心者でも馬に乗れるの?という疑問がありましたが、問題なく乗れました。馬に乗ると視点がすごく高くなって、面白かったです。(翌日は腹筋がひどい筋肉痛になりました)

それからプコンにはいくつも温泉があるので水着をもって旅に出ましょう。

パタゴニアってどんなところ?

パタゴニア

南緯40度以南をパタゴニアというようですが、パタゴニアは、北部パタゴニアと南部パタゴニア、また、チリのパタゴニアとアルゼンチンのパタゴニアに分かれます。

一番観光客が多いのは、チリの南部のパタゴニアにあるトーレス・デル・パイネ国立公園と、アルゼンチン側にある「エル・カラファテ」周辺だと思います。

トーレス・デル・パイネ国立公園

エル・カラファテ

両方とも氷河を見られることで有名ですが、トレッキングが好きな方はぜひトーレス・デル・パイネ国立公園へ。1日から1週間程度のトレッキングコースがありますから日数と体力に合わせて選ぶことができます。

歩くことは好きじゃないけど、氷河を見たい方は、アルゼンチン側のエル・カラファテへ。トーレス・デル・パイネ国立公園から、バスで国境を越えて3時間ほど。エルカラファテの郊外から、船に乗って氷河に向かいます。

氷河

「ゴゴゴゴゴー」と音を立てて崩れる氷河を目の前で見られるのは圧巻ですが、アイゼンをつけて、氷河の上を歩くツアーも面白かったです。氷河の氷が入ったウイスキーが飲めますよ。

最後に

今回はざくっと南北に長細いチリの見どころについてお伝えしましたが、次回はテーマをしぼってチリについて書かせていただこうと思います。どうぞよろしくお願い致します。

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IZUKAWAUSO

日本青年海外協力隊員。チリ南部の田舎暮らしも8年半になります。趣味は旅行(特に屋台めぐりと温泉)と料理。地元の週末フリーマーケットでおにぎりと味噌汁売ってます。

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