アメリカ・アルゴンキンホテルの伝説的レストラン「ラウンドテーブル」と名物猫ハムレット

目次

お洒落でウィットに富んだ業界人の集まり

マンハッタンのミッドタウン、44丁目の5番街と6番街の間にある老舗ホテル「アルゴンキンホテル」。その1階にある「ラウンドテーブル」は、1920年代に出版関係者などの業界人が集まった伝説的な文芸サロンに由来する歴史あるレストランです。

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1919年6月から1929年までのおよそ10年間、雑誌記者、編集者、評論家などが、毎日、アルゴンキンホテルのレストランにランチの時間に集まり、ウィットに富んだ会話を楽しむ"Vicious Circle"と名付けた社交サークルを作っていました。"Vicious"というのは、日本語で「不道徳な」や「意地の悪い」、「悪名高い」などといった意味ですが、そんなサークル名をつけるなんて、みんなジョークが好きだったことがうかがえますね。
最初は、パーゴラルーム(後のオークルーム)の長方形のテーブルで食事をとっていましたが、人数が増えたため、当時のマネージャーであったフランク・ケースさんにより、ランチの場所はローズルームの円卓(ラウンドテーブル)に移され、そのサークルが"アルゴンキン・ラウンドテーブル"と呼ばれるようになりました。
サークル結成当初のメンバーは、当時、もっとも有名なコラムニストの1人で数々の新聞にコラムを書いていたフランクリン・アダムス、俳優のロバート・ベンチレー、脚本家のマーク・コネリー、雑誌「ニューヨーカー」の創設者で編集長のハロルド・ロス、サークルの中でもっとも重要な人物として扱われている評論家で詩人、作家のドロシー・パーカーなどで、その後、ジャーナリストやイラストレーター、女優、コメディアンなど、メンバーが次々に増えては入れ替わり、最盛期には数十人の業界人が集まる華やかな社交の場となっていました。1968年には、円卓を囲んで交わされたジョークをまとめた本「The Algonquin Wits(アルゴンキンのウィット集)」まで出版されたそうです。なんて楽しそうな集まりなんでしょう。

レストラン内には、当時の様子を描いたような絵画が飾られています。

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ブレックファーストからディナーまで、コンテンポラリーアメリカ料理を提供

ホテルの正面玄関を入ると、右手にフロントデスクがあり、レストランは壁などの仕切りもなく、ロビー全体に広がっています。

毎日朝7時から、目玉焼きやパンケーキ、ワッフル、オムレツ、スモークサーモン&ベーグルなどのブレックファーストを提供し、サラダやハンバーガー、サンドイッチ、キノア(キヌア)・ボウルなどのランチ、ランチメニューにリブアイステーキやショートリブ、シーフードパスタなどを加えたディナーと続き、夜11時45分まで、エグゼクティブシェフHenderson Catlynさんによる、コンテンポラリーアメリカンの料理が楽しめます。ドレスコードはカジュアルドレスとなっていますが、外からお洒落をしてやって来る人も、ホテルの部屋からジーンズで降りて来る人もいるので、あまり気にする必要はなさそうです。

毎週木曜日の5時から8時の間は、バンドの演奏もあります。

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名物猫のハムレットに会いに行こう

このホテルには長年にわたり、名物猫のハムレットが住んでいます。今いるハムレットは8代目のハムレット。初代のハムレットは、1920年代に、ホテルに迷い込んできた野良猫。ホテルで飼われることになった野良猫は、マーマレードのような毛色からラスティ―(錆び)と名付けられました。しかし、当時、アルゴンキンホテルで暮らしていた往年の名俳優ジョン・バリモアが、1922年にブロードウェイでのシェイクスピアの舞台「ハムレット」に主演し大成功を収めていたことから、ラスティ―はハムレットと改名されました。ちなみに、ジョン・バリモアは、ドリュー・バリモアのお爺さんにあたります。ドリューのお父さんも俳優で、同じくジョン・バリモアという名前です。
このハムレットのすぐ前にいた3匹の猫は、いずれもマチルダと名付けられていました。この8代目ハムレットは、ロングアイランドの路上をうろついていたところを保護された野良猫で、動物シェルターからこのホテルに貰われてきたそうです。ハムレットは、朝ご飯を食べると、いつもロビーのあたりでうろついています。お客さんがきても嫌がらず、写真撮影にも慣れているようで、スマホを向けてもおとなしくじっとしていてくれます。

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しばらくフロントデスクの上でお客さんの写真撮影のモデルをした後、ロビー裏にある小さなドアの中へ入って行きました。

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毎年8月には、寄付集めを兼ねた猫のファッションショーが行われるそうで、ハムレットはソーシャルメディアでも活躍しています。

ラウンドテーブルの歴史に触れ、ハムレットに会いに、是非、アルゴンキンホテルを訪れてみて下さい。

The Round Table at the Algonquin Hotel(アルゴンキンホテル)

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ナツコ・H

世界で活躍するジャズ奏者の夫のマネージメント、CD収録曲の作曲を手がける。NYの日系新聞でニュース記事執筆中。法律翻訳家。93年よりNY在住。

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