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【たびこふれ美術館】第1話:すべてはこの子から始まった!?「竪琴弾きの男」
こんにちは♪
たびこふれ美術ライターのやすおです!
前回は阪急交通社のたびコト塾のご案内をさせていただきましたが、今回からは「たびこふれ美術館」と称して、私が添乗先で見た(本職は添乗員)いろいろなアートをご紹介していきたいと思います。
どうぞ皆さまも、ちょっとした旅行気分で楽しんでいただけると幸いです♪
前回の記事:
たびコト塾ってご存知ですか?
さて、そんな記念すべき第一回のアートは...「竪琴弾きの男」です!!
・・・
・・・
・・・
なにそれ?
って感じではないでしょうか。
ちなみにこれです。
いえ、本当ならば第一回は「モナリザ」!くらいの超大物がインパクトあるのではないか・・・などと考えていたんです。ただ、たまたま今月の添乗先がギリシャだったもので...こんなの(失礼!)になりました。
でも記事にしてみると、結果としてとっても良かったのでは?と実は思っています。
なぜなら西洋美術の歴史はこの子たちから始まったんですから!!
この子の生まれ故郷は、ギリシャとトルコの間にあるエーゲ海と呼ばれる海に浮かぶ小さな島です。キクラデス諸島という小さな島の集合体に、紀元前3000年ごろから「キクラデス文明」という文明が生まれました。3階建てほどの家に住み、美しいフレスコ画で部屋を飾り、木製のベッドに寝て、水洗トイレを利用する。今の私たちと変わらないような生活をするこの文明では、神様を祀るためにたくさんの神様の人形が作られました。
そんな彼らの神様がこちら。
乳房がついていることから女性であることがわかりますね。お腹に手を当てているのはお腹が痛いのではなくて、子宝を授かる大切なお腹を強調しています。食べ物も豊富にない時代に彼らの願うことは「豊穣」ということで、古代ではよく女神様を崇拝するところが多いですね。こういった神様の恵みを受けようと神様の像を作り、捧げ物の人形を作ることから私たちの創造活動は始まっていったのです。
それに対し、この「竪琴弾きの男」はどうでしょうか?
この像は紀元前2300年ごろに制作された大理石の像で、同じくキクラデス諸島のケロス島から見つかったようです。いかがでしょう?その姿はまさに神様!!......ではないと言われています。
これの像はその当時の風俗を現わした石像で、先ほどの像のように宗教的な意味において作成されたものではありません。そのため、神様の像のように誇張されることなく、簡潔に人体の特徴を捉えることによって、純粋に形態の美しさを表しているのです!
もちろん、キクラデス文明においてこの石像よりも時代の古い像も見つかっておりますが、この像ほどに美しく表現されているものはない!ということで、この像は美術の教科書にも載るようなとっても有名な美術作品として知られているようです♪
まさに、この子から我々の芸術的創作活動は始まったと言っても過言でないかもしれません!
さぁ、そういった思いを胸にもう一度この子を眺めてみましょう!
最初に見たときとは全く違ったものに見えて・・・
・・・こないか!(笑)
ちなみに「竪琴弾きの男」を観に行くツアーがあります。
私山上は2020年8月5日発と9月30日発の2本に添乗しますのでよろしかったら一緒に行きませんか?
編集部註:この記事は2019年10月に公開されていますが、2021年3月に一部修正しています。
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山上やすお
- 国内外の添乗員として1年の半分ほどを現地で過ごすかたわら、日本にいるときには各地で美術のカルチャー講師をしています。博物館学芸員資格保有。「旅に美術は欠かせない!」の信念のもと、美術の見方、楽しみ方を記事にしていきます。