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ローマが好きなら知っておくべき世界遺産「チェルヴェテリ」って?
ローマが属するラツィオ州には、ローマ市歴史地区以外にいくつもの世界遺産があります。その中でも、ティヴォリのヴィッラ・アドリアーナやエステ家別荘は特に有名。
ですが、古代文明に触れられるもっとマイナーな世界遺産「チェルヴェテリ」があるのはご存知ですか?この記事では、そんなチェルヴェテリの歴史遺産や博物館、町の楽しみ方をご紹介します。
目次
- チェルヴェテリってこんなところ!
- チェルヴェテリの遺跡とは
- チェルヴェテリにあるネクロポリを歩いてみた
- エトルリア人たちの文化を展示する博物館
- チェルヴェテリは遺跡だけじゃない!町中も堪能
- チェルヴェテリへのアクセス方法
チェルヴェテリってこんなところ!
<撮影:ゆうさん>
チェルヴェテリ(伊:Cerveteri)は、人口約38,000人が住む、ローマから見て北西の位置にある町です。海に近い町で、シーズンになるとウィンドサーフィンをする人も多く訪れます。
この町は、ローマ人よりも前にイタリア中部に住んでいた先住民族である、エトルリア人の町とされており、非常に長い歴史を持っていることで知られています。伝承によれば紀元前9世紀よりあるとされ、その後サルド海の戦いなどを経て、紀元前1世紀までは、交易において非常に栄えていました。
こうしてチェルヴェテリ等を中心に文明を築いたエトルリア人でしたが、徐々に古代ローマ人と同化され、人種の区別は徐々に失われていきました。
チェルヴェテリの遺跡とは
さて、そんなエトルリア人ですが、彼らの文化・文明自体は非常に優秀なものだったとされています。古代ローマ人も建築技法において彼らの文明の技術を模倣したともされるほどです。
そして、彼らが遺したものの中で最も貴重な遺産の1つが、このチェルヴェテリ遺跡であるとされています。
地中海最大のネクロポリ
<撮影:ゆうさん>
彼らの遺跡は、ネクロポリ(伊:Necropoli)といって巨大な共同墓地のようなものです。しかし、その大きさから日本語に訳すと「死者の町」とも呼べるような壮大なもので、特にこのチェルヴェテリのネクロポリは、地中海でも最大級のものとされています。
こんな立派な遺跡でも、あまりにも観光地が多いが故に霞んで見えてしまうイタリア、恐るべしです(笑)
チェルヴェテリにあるネクロポリを歩いてみた
<撮影:ゆうさん>
この時はイタリア人の友人とネクロポリを訪れ、一緒に回りました。市街地からは徒歩で10分ほどの場所にあるので、並木道をおしゃべりしながら歩きます。
しばらくすると、大きなドームのようなものが見えてきます。これがネクロポリのお墓です。
この日は第一日曜日だったので、入場料はかかりません。適当にその辺の入り口から入りました。「ここ入れるの?」って聞いても「どうせタダなんだし、どこから入っても変わらないよ。」と言いながら、草木をかき分けてネクロポリに立ち入る友人。祟られそうで心配です。
※編集部註1:2018年時点、ローマは第一日曜日に国立博物館などが入場無料となっています。
※編集部註2:ネクロポリの入場はライターが散策した時の情報です。実際に訪れる際は、入り口に関する最新情報を確認していただきますようお願いいたします。
<撮影:ゆうさん>
この辺りは、どこを見回してもお墓に囲まれています。ネクロポリに来たという感じがしますね。
<撮影:ゆうさん>
それぞれお墓の前には小さな柵があり、一応は立ち入り禁止なのですが、それもほぼ機能しておらず、多くの人が出入りしているようです......。
写真はありませんが、実際お墓の入り口付近には、多くのビール瓶やらお菓子の袋やらが捨てられていました。友人曰く「きっと地元の若い奴らが、夜に遊びに来てここで飲んでる。」とのこと。
世界遺産でありながらその管理のずさんさに驚きましたが、友人は「イタリアには世界遺産が多すぎて、もはや多くの人がありがたみを感じなくなっているんじゃないかな。」とも話してくれました。
なるほど、2018年時点で52か所もあるイタリアの世界遺産、それら全てに対して保全のために多くの予算はかけられないのでしょうか。
<撮影:ゆうさん>
こんな感じのお墓が延々と続いています。一つひとつ、形、大きさ、入り口、内部構造などそれぞれ異なっていて、ゆっくり見て回ると面白いと思います。
<撮影:ゆうさん>
さすがに2、30分ほどいるとだんだん飽きてきてしまったので、そろそろ市街地へ戻ろうと足を進める私たち。帰りは展望台から見える綺麗な風景の写真も撮りました。
長閑なイタリアの小さな町、といった感じですが、私が想像していた以上に一戸建てではなくアパートが多いことに気づきました。チェルヴェテリは人口もまあまあ多い町だからでしょうか。
エトルリア人たちの文化を展示する博物館
<撮影:ゆうさん>
さて、遺跡見学の後は博物館見学です。ここではエトルリア人の文化がどのようなものだったのか、詳しく知ることができます。
第一日曜日だったため、こちらの入場料も無料。また受付のおばちゃんも「好きに入っていいよスタイル」だったので、入場料等は分かりませんでした......。
エトルリア文明に特徴的なのが、こちらの土器。非常に繊細な絵が描かれ、色付けも絶妙です。こういった類の土器や生活用品は、この博物館以外にも、ローマのマッシモ宮やヴァチカンの美術館などで出会うことがあるはずです。
ですが、この博物館はとにかく小さい上、エトルリア文明の出土品のみを展示しているため、少し見れば十分かもしれません。とはいっても、普段はなかなか出会えないディープな世界であったことは確かです。
チェルヴェテリは遺跡だけじゃない!町中も堪能
<撮影:ゆうさん>
さて、チェルヴェテリの魅力は世界遺産のネクロポリだけではありません。私たちが訪れた日曜日は、「日曜日の特産品市」が偶然開催されていました。新鮮な野菜やサラミ、チーズ、オリーブオイルなど、その土地の商品を販売しています。
<撮影:ゆうさん>
さらに途中からは地元の小さな音楽隊による演奏も始まり、町の小さな広場は大賑わい!こういった楽しみ方は決してローマではできないと思います。またこのようなイベントは不定期である場合が多いのですが、土日に訪れると出会える確率は上がると思いますよ。
平日はローマで観光地巡り、土日はチェルヴェテリなどの小さな村でリラックス、そんな旅行プランも素敵ですね。
チェルヴェテリへのアクセス方法
最後に、チェルヴェテリへのアクセスや注意すべき点をご紹介します。
電車で行く場合
- メリット:本数は多い
- デメリット:乗り換えが複雑・遠い
まずはローマ・テルミニ(Roma Termini)駅からマリーナ・ディ・チェルヴェテリ(Marina Di Carveteri)駅まで、レジョナーレ(Regionale)線で約50分。料金は3.6ユーロ。30分~1時間に1本電車が通ります。
その後、マリーナ・ディ・チェルヴェテリ駅から市街地まで、ATIという市内バスで約10分。料金は2ユーロ前後。こちらは1時間~1時間半に1本の頻度です。最後に、市街地からネクロポリまで徒歩20分程度となっています。
ご覧の通り、電車とバスの乗り継ぎが必要でかなり複雑です。そのため私たちは、ローマからバスを利用していきました。次に、バスでチェルヴェテリへ行く方法をご紹介しましょう。
バスの場合
- メリット:シンプル
- デメリット:本数が少ない
まずはローマの地下鉄A線コルネリーア(Cornelia)駅へ。そこからチェルヴェテリの市街地まではCerveteri行のバスで約1時間半ほど。30~90分に1本の頻度です。
<撮影:ゆうさん>
こちらはローマからバスに乗ってしまえば、乗り換えなしで市街地まで到着します。ちなみに、ローマの郊外行バスは、行き先が非常にややこしいので、乗る前にバスの運転手に「チェルヴェテリ?」と、行き先を尋ねて確認することをオススメいたします。
Cornelia駅 Googleマップ:
チェルヴェテリへ行くときの注意点
<撮影:ゆうさん>
ローマと違って、交通の便はそれほどよくありません。事前にしっかりと帰りのバスを調べたり、ゆとりのある行動をしたりと、気をつけておいてください。
ちなみに私たちはバスの時間を調べ忘れて、気づいた時には次のバスまで2分前。全力ダッシュでバスに飛び乗ったため、ランチもできませんでした(笑)。そんなことにならないよう、事前確認をしましょうね!
イタリアの歴史といえば古代ローマが代表的ではありますが、それ以前に存在したエトルリアの文化も決して外すことはできません。ローマ郊外に行かなければ見ることのできない世界遺産ネクロポリ、2、3度目のローマ観光を検討しているあなたに是非勧めたいと思います!
基本情報
■名前:バンディタッチャ・ネクロポリ(伊:Necropoli della Banditaccia)
■住所:Via della Necropoli, 43/45, 00052 Cerveteri RM, イタリア
■公式サイト:https://www.comune.cerveteri.rm.it/turismo-e-cultura/le-necropoli/la-banditaccia
Googleマップ:
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ゆうさん
- イタリア・ローマ大学に1年留学。イタリア各地の魅力を学生ならではの視点から紹介できたらと思っております。南米一人旅を敢行するほど旅が大好きです!