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ロンドン・国立陸軍博物館:高級住宅地で英陸軍について学ぶ
ロンドン屈指の高級住宅街、チェルシー。このエリアの中でも、おしゃれなショッピング・ストリートとして名高いキングス・ロードから、徒歩数分という立地にあるのが、今回ご紹介する国立陸軍博物館(National Army Museum)です。
目次
陸軍とは何ぞや?という問いに特化した博物館
似た種の博物館としては、ロンドンでは帝国戦争博物館(Imperial War Museum)が世界的に有名です。戦争全般という、より大きなテーマを網羅する帝国戦争博物館とは異なり、こちらの国立陸軍博物館では、英国における陸軍の役割に焦点を絞った展示を行っています。17世紀の清教徒革命の時代から、近現代におよぶまで、英国陸軍に対する考え方の如何を問わず、訪れた人々に陸軍の真実を伝えることを目的とした博物館です。
4つのフロアに5つの展示ゾーン
大規模な改修工事をへて、2017年に営業再開となった博物館の建物はまだ新しく、どこも清潔なイメージ。4つのフロア、5つのテーマ別ギャラリーで、陸軍に関する情報にどっぷりと浸ることができます。
Soldier:ソルジャー・ギャラリー
陸軍兵士としての務めや生活について紹介するギャラリー。日々の訓練の様子や、戦場で兵士たちに与えられる所持品や食べ物、生活の様子などが、実際の兵士たちのコメントや写真も含めて展示されています。
ギャラリーの入口に掲げられている質問、「あなたは兵士になれると思いますか?」に対するYes/Noの二択の答えで、展示を見る前ではYesが62%、見た後では32%というデータも出ており、兵士として生きることの厳しさが物語られています。
Army:アーミー・ギャラリー
陸軍の存在について、歴史やさまざまな統計データをもとに紐解いていくギャラリー。
なぜ英国には陸軍があるのか?どんな役割を果たしているのか? 陸軍は存在すべきだと思うか?といった、深い質問が多く投げかけられています。
数字で見る陸軍。陸軍全体における黒人・アジア系・その他の少数民族の占める割合は十分の一(2016年)、第一次世界大戦終了時の陸軍兵士の数は過去最大の380万人、など、興味深い数字がひたすらに並びます。
Society: ソサエティ・ギャラリー
人々の生活と陸軍との関係について、文化的な観点から紹介。
戦争や陸軍に関連した、またはインスパイアされたテレビ番組や映画、音楽、戦時中のファッションなど、非常にポップな展示となっています。音楽・映画ファンには貴重な資料も満載の一角です。
Battle: バトル・ギャラリー
陸軍の責務のなかで最も過酷な、戦闘の現実を垣間見ることができるギャラリー。
武器や防具、戦車などの歴史的な変化を目の当たりにできるほか、鉄砲玉の早詰めシミュレーション、カムフラージュ体験なども楽しめます。
ギャラリーの最後にあるのは、戦闘における倫理について問いかける壁。戦争にルールはあるべきか、戦争の終了を早めるためならば、いかなる兵器の使用も正当化されるべきか、など、重い質問の数々が提示されています。博物館側は、その答を与えてはくれません。どういう答えを出すかは、個々の訪問者次第。結構、ヘビーです。
Insight:インサイト・ギャラリー
世界において英国陸軍の活動が及ぼしてきた影響について、過去から現代までに渡り考察。1989年に崩壊した、ベルリンの壁の実際の一部なども展示されています。
閲覧に疲れたら、カフェで一息
高級住宅地のチェルシーに位置していることもあり、ミュージアムのカフェにしては、高めの価格設定です。それでも、窓からポッシュな住宅街の眺めを楽しみながら、ゆったりと過ごす時間は悪くありません。
最後はお約束のミュージアム・ショップをチェック!
陸軍に関する書籍はもちろんのこと、子供向けのおもちゃなども充実。ミュージアムのロゴの入ったアイテムはお土産にもぴったりです。
National Army Museum
住所:Royal Hospital Road Chelsea London SW3 4HT
最寄駅:地下鉄Sloane Square駅
営業時間:10時~17時30分(最終入館時間 17時)
休館日:1/1、12/25・26
HP:https://www.nam.ac.uk/
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ハル・リーチ
- 音楽、映画・演劇・TV、サッカーなど、UKカルチャーをこよなく愛す。2001年よりロンドン在住。以来、会社員&ものかき業を継続中。