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日露戦争時代の"ロミオとジュリエット" 映画「ソローキンの見た桜」を観た感想

記事投稿日:2019/02/14最終更新日:2019/02/14

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こんにちは!たびこふれ編集部のシンジーノです。

突然ですが、今から約100年前、日露戦争時代にロシア人捕虜収容所が日本で初めて作られた場所が愛媛県の松山だったことをあなたはご存じでしょうか?

日露戦争は、ハーグ条約を意識した戦争で、捕虜に対して「博愛ノ心ヲ以テ之ヲ取扱ヒ決シテ侮辱、虐待ヲ加フヘカラス」という一条があったそうです。

当時の松山の人たちは博愛と尊厳の心をもってロシア人捕虜に応対し、国としては敵対した同士でありながら両者にはとても強い絆が出来たようです。

映画「ソローキンの見た桜」は松山とロシアを舞台に繰り広げられる「日露戦争時代のロミオとジュリエット」愛の物語です。

ソローキンの見た桜_ポスタービジュアル.jpg

目次

ストーリー

(映画「ソローキンの見た桜」公式サイトより引用)

2018年、駆け出しのTVディレクターの桜子(阿部純子)は、先輩の倉田(斉藤 工)の指示でロシア兵墓地の取材を皮切りに、ロシアに行くことが決定していたが、その仕事に興味を持てないでいた。しかし、祖母の菊枝(山本陽子)から自分のルーツがロシアにあると知り、さらにロシア兵と日本人看護師、二人の日記を紐解いていくうちに衝撃の事実を知ることになる。日露戦争時代、傷ついたロシア兵将校ソローキン(ロデオン・ガリチェンコ)の手当てをすることになったゆい(阿部純子、二役)。日本は世界から一流国として認められるためにハーグ条約の遵守を意識し、日本に連れてきたロシア兵に捕虜でありながら、外出自由やアルコールの購入を許すなど、様々な便宜をかけた。この特殊な状況の中で、兄弟を戦争で亡くしていたゆいはソローキンを憎みながらも彼の寛大な心と女性を尊敬する考え方に魅かれていく。ソローキンも、ゆいの心の奥の悲しみを知り、いつしかその悲しみを取り除いてあげたいと願いはじめていた。捕虜と看護師、戦争相手というソローキンとゆい、お互いの想いは決して許されることのない愛であり、ソローキンが松山で捕虜となったのはある密命のためだった。ロシア革命に参加するために収容所を脱走し母国ロシアに帰ることになったソローキンは、ゆいも一緒に連れて帰ろうとするが・・・

映画を観た感想

日露戦争の頃、日本がまだまだ貧しかった時代、日本人は今よりも心の豊かさ、誇り、慈悲、尊厳というものを持っていたのではないだろうか、映画を観ながらそう思いました。もちろん当時も色々な人がいたでしょうし、個人より家が重視され、自由にできない息苦しさや凝り固まった価値観など生きにくい面もあったと思いますが、"何でもあり" "自分さえよければいい" "損か得かが第一"という空気が蔓延している今の時代よりも、まだ人に品格があったように思います。映画「ソローキンの見た桜」はそう感じられる場面が随所に登場し、私の中で清々しく、ちょっと羨ましい気もちが揺れ動きました。

「ロミオとジュリエット」の物語もそうだと思いますが、不自由さがあることによって愛はより純化し、激しい熱情に昇華するのかもしれません。身が焦げるような感情、自己の命を賭して愛を捧げる、相手を想う、そんな恋愛は不自由さの中にこそ生まれるのかもしれません。

映画「ソローキンの見た桜」は、当時と現在が交錯しながら進みます。100年の時を越えて、ロシア人将校と日本人看護師の想いが日記を通じて重なる。熱い思いは時が経っても色褪せることなく、鮮やかに燃え続けています。

sorokin_main.jpg

映画後半にロシア人捕虜だった人たちの子孫という人々が登場しますが、あれは配役ではなく、実際に子孫の方々だったのではないか、そんな空気がスクリーンから迫ってきました。

私が大好きな映画であるトルコ「エルトゥールル号」海難事故を描いた映画「海難1890」にも同じように魂が震えるようなシーンがありました。

>>映画「海難1890」

私が印象に残ったシーン

映画の中で、特に印象に残ったのは2つのシーンです。

ひとつは病院で看護婦が傷ついたロシア人捕虜を看護するシーンです。看護師の中には身内や大切な人を殺された女性もいました。憎い敵を看護しなければならない気持ちは私たちには到底理解できないでしょう。でも相手が敵国の人であっても、人は接する内に国間の事情を越え、理解しあえるようになることもあります。このシーンでは、敵も味方もなく、人間としてわかりあい、認めあい、お互い心が通った風景が伝わってきます。「なんか、とってもいいなあ~」と感じました。

もうひとつは、捕虜収容所の所長役のイッセー尾形さんです。この映画でとってもいい味を出しています。明治の日本人はきっとこういう人がたくさんいたんじゃないか(いてほしい!)、そう思いました。通訳を通じてロシア人たちと話す場面が何度も出てきますが、寛大さとユーモア、そして言うべきことは言うという凛とした態度が素敵でかっこいい。思わず「いよっ、所長!」と声をかけたくなりました。

sorokin_sub1.jpg

この映画のタイトルである「ソローキンの見た桜」とはいったいどういうものだったのか・・・

映画を観終わって私は、全身に鳥肌が立つ余韻に包まれながら試写室を出ました。

映画「ソローキンの見た桜」

2019年3月16日(土)愛媛県先行公開

2019年3月22日(金)角川シネマ有楽町ほか全国公開

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シンジーノ
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記事投稿日:2019/02/14最終更新日:2019/02/14

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