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冬のスペインで食べたい伝統のお味をご紹介!
冬はオフシーズンのスペイン。特に2月あたりは航空券やホテルの料金も下がるので、お手頃価格で旅行ができるチャンスです。春の日差しを感じる日もあるものの、まだまだ冬で基本的に寒いシーズン。今日は冬のスペインで食べたい料理をご紹介いたします。
目次
- 体が温まるスープご飯"アロス・カルドソ"
- 冬にしか食べられないカタルーニャの郷土料理カルソッツ
- 地方食豊かな煮込み料理は伝統の味
- 野菜たっぷりのバレンシアの煮込みはプチェロ
- 冬のおやつなら揚げ菓子とホットチョコレート
体が温まるスープご飯"アロス・カルドソ"
パエリアをはじめスペインにはお米を食べる習慣がありますが、冬にぜひおすすめしたいのが"アロス・カルドソ"です。出汁のきいたスープたっぷりのお米料理で、体がポカポカに。一般に魚介類を使ったものが多いのですが、たまに写真のようにお肉と野菜系も見かけます(大きなミートボールがドカンと入っていました)。
なお、パエリアのようにまったく汁分のないものを"アロス・セコ"、リゾットのように少々汁分があるものは"アロス・メロソ"と呼ばれ、全部で3つに区分されています。
魚介のアロス・メロソ
冬にしか食べられないカタルーニャの郷土料理カルソッツ
次に、冬のスペインで絶対に食べたいもの。それがカルソッツです。細長い玉ネギを炭火で真っ黒に焼き(※長ネギではありません)、焦げた外側を剥いてアーモンドやトマトでつくったロメスコソースにつけていただきます。ねぎの甘味がたまらなく美味!! これはカタルーニャ州タラゴナ郊外の郷土料理で、シーズンは11月頃から3月頃まで。スペイン中で食べられるものではないのですが、マドリーやバレンシアなどの都市部では提供するレストランもちらほら出てきました。
カルソッツの食べ方には決まりがあります。片手でつまんで持ち上げたら、もう片方の手で焦げた外側をつかんでつるんと剥きます。そしてそのまま先端をロメスコソースに浸したら、口より上に持ち上げてパクン。恥ずかしがらずにこうしないと、うまく食べられません。
ちなみにカルソッツは前菜扱いで、メインにはお肉や腸詰の炭火焼きを食べるのが本場流です。
地方食豊かな煮込み料理は伝統の味
最後にご紹介したいのは煮込み料理です。日本ではコシード・マドリレーニョが有名ですね。鶏肉、豚肉、牛肉、モルシージャ、チョリソ、ヒヨコ豆、キャベツ、ジャガイモなどをじっくり煮込み、最初にそのスープだけにフィデオと呼ばれる細くて短いパスタだけを入れて前菜として食べます。その後に、肉類と、野菜・豆類が別々にサーブされます。かなりお腹にたまります。
各地方にそれぞれの煮込みがあり、たとえば北部のアストリアでは、ファバーダとよばれるインゲン豆とチョリソ、モルシージャ、豚バラなどの煮込みが有名です。ガリシア地方のカルド・ガジェゴは、緑色葉野菜のグレロまたはアセルガ、白インゲン豆や牛肉、ジャガイモ、塩漬けの豚脂などをコトコト煮込んだお味噌汁のようにホッとするお味。
<アリカンテ北部山間部で出会った煮込み料理>
野菜たっぷりのバレンシアの煮込みはプチェロ
一番上の画像は、ラ・マンチャ地方でもともとは羊飼いたちの食べ物だったという、ガスパチョ・マンチェゴという煮込みです。この特徴は小麦粉と塩、水でできた薄いクラッカー状の"トルタ"を鶏肉やウサギ肉、キノコ類と一緒に煮込むこと。トルタは出汁を吸って、モチッとした食感になります。形は違うけれど、強いて言えばすいとんのような感じでしょうか。クレープ、もしくはメキシコのトルティージャのような大きく丸いトルタの上にできあがったガスパチョ・マンチェゴをのせて食べることもあります。
ここバレンシア地方の煮込みはプチェロ。やはり鶏肉、豚肉、牛肉を使い、にんじんやヒヨコ豆、カブ、ナピコルとチリビアという根菜、セロリ、長ネギ、大きなミートボールなどを煮込みます。マドリードと同じように具とスープを分けていただきますが、スープに入れるのはパスタではなくお米。バレンシアらしいですね。材料を全部鍋に入れ、ただ煮込むだけなのでとても簡単。そしておいしく体が温まるので、わが家でも冬の定番です。
どれもインスタ映えするようなオシャレな食べ物ではありませんが、昔からの伝統の味。冬しか食べられないカルソッツに、体が温まるアロス・カルドソや各地の煮込み料理をぜひお試しくださいね。
冬のおやつなら揚げ菓子とホットチョコレート
そして観光やショッピングで外を歩いて体が冷えたら、ホットチョコレートとチュロスをどうぞ。写真はブニュエロというドーナツ。私の住むバレンシアでは、チュロスと同じくらいメジャーなホットチョコの相棒です。
冬のスペイン旅行では、念のために日本でいつも飲んでいる風邪薬を持ってくると安心です。またホッカイロやマスクもあると便利(※なかなか売っていません)。スペインではマスクをして外に出る習慣はないので、マスク姿で歩くと奇異な目で見られる可能性大ですが、空調で乾燥した部屋で夜寝る時にはお役立ちでしょう。
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田川敬子(Keiko Tagawa)
- 1996年スペインにひとめぼれ。以後何度も渡西し、2002年春に夢がかなってスペインで日系企業に就職。その後現地企業を経て、現在はオリーブオイルソムリエ/テイスターやライターとして活動中。