ドイツの「Recup」プロジェクト、協力店舗数は今では全国で400軒以上!

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「Coffee-to-go」片手にコーヒー!

じつは私も最近まで知らなかったのだが、ドイツはコーヒーの輸入大国である。3位のイタリアを約2.5倍の輸入量で大きく引き離し、米国に次いで2位。人口差を考慮すれば、1人当たりの輸入量では堂々の1位だろう。またドイツ人1人当たりのコーヒー消費量は1日約0.4リットルらしい。これは乳幼児やコーヒーを飲まない人も含めての統計なので、実際にはもっと多いはずである。繰り返すが、ドイツはコーヒー大国なのだ。しかし、それほどコーヒーが愛されている割には、バリエーションが少ない。

地方によっては独特の飲み方があるのかもしれないが、ここバイエルンでお目にかかれるのは、普通のコーヒー、ミルクコーヒー、あとはイタリアのエスプレッソ、カプチーノ、ラッテ・マキアートぐらいである。 お隣のオーストリアではカフェ文化が発達し、おしゃれな名前のコーヒー・バリエーションが何十種類もあることを考えれば、ドイツのこの状況はちょっと寂しい。
何年か前から"Coffee-to-go"という、それまであまり馴染みのなかった言葉が巷にあふれるようになった。何のことはない、コーヒーのテイクアウトのことで、それまでにもファーストフード店やアメリカのコーヒーチェーン店などでは普通にあった。それが小ぶりなエスプレッソマシンの普及によって、パン屋やケーキ屋、キオスクなどでも手軽にそこそこ美味しいコーヒーがテイクアウトできるようになったのだ。
日本のコンビニで挽きたてのコーヒーが買えるようになったのとよく似ている。朝、通勤途中の人々がコーヒーを片手に歩いている姿は、今では日常風景になった。

近所のカフェの看板「コーヒーのテイクアウト全種類2.80ユーロ。マイカップを持参すれば2.30ユーロ」

近所のカフェの看板「コーヒーのテイクアウト全種類2.80ユーロ。マイカップを持参すれば2.30ユーロ」

テイクアウトの注目はココ!

さて、新しいコーヒーの飲み方の開拓にはあまり情熱をかけなかったドイツ人が、本領を発揮するのはここからである。コーヒーのテイクアウトによって発生するゴミに注目したのだ。因みに最新のデータによると、ドイツで1年間に捨てられるテイクアウト用コーヒーカップは28億個で、これは4万トンのゴミに相当するらしい。かなり早い時期から買い物袋を有料制にし、ゴミの分別も徹底してきた環境問題に敏感なドイツである。早速市民や自治体が動き出した。

マイカップを売る店をあちこちで見かけるようになった

マイカップを売る店をあちこちで見かけるようになった。

生み出されたプロジェクト「Recup」

昨年の夏、ミュンヘンで政治学を学ぶ学生が"Coffee to go again" というプロジェクトを立ち上げた。テイクアウト用のコーヒーを売っている店に、自分のカップを持参する客を受け入れてくれるように呼びかけたのだ。協力する店は次々と名乗りを上げ、その数は今では全国で400軒以上になった。中にはカップを持参した客に割引サービスを提供する店もある。

同年秋に同じくミュンヘンで発足した"Recup"というプロジェクトは、パートナー店で1ユーロの補償金を払うと再利用が可能なカップにコーヒーを入れてくれるデポジットシステムだ。このシステムを利用するとコーヒーの料金も少し割り引いてくれる。ポリプロピレン製のカップは500回の洗浄に耐えることができるらしい。飲み終わったら最寄りのRecupパートナー店にカップを返還すればいい。もちろん1ユーロは戻ってくる。

Recup
<Recup>

フライブルクやハンブルク、ベルリンなどでも既にそれぞれ独自のデポジットシステムが導入されている。同様の活動が今後も各地に広がっていくのは確実だ。

アプリで探そうパートナー店

Recupのパートナー店はスマホのアプリで検索することができる

Recupのパートナー店はスマホのアプリで検索することができる。

いつか日本でも、お気に入りのマイカップを持って、コーヒーを買いに行く日が来るかもしれない。

公式HP: https://meinbecher.berlin

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みるこ

ドイツ生活20年以上。バイエルンの文化や伝統が大好きです。

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