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【新宿/BEAMS JAPAN】良いもの、おいしいものを通じて日本の文化と地域の魅力を再発見。

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記事投稿日:2018/10/07
最終更新日:2018/10/07

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明治から大正時代に作られた、細身ですらっとした古瀬戸型の『まねき猫』の橙(オレンジ)。愛知県瀬戸市の陶磁器メーカー「中外陶園」に別注したもの。左手と右手、5号5,616円、3号3,996円 ※以下、すべて税込価格

新宿の「BEAMS JAPAN(ビームス ジャパン)」は、全国から日本の魅力を集め、発信拠点とするショップ。フロアごとにテーマが設けられていますが、銘品とお土産が揃う1階に注目しました。伝統的な特産品に加えて、ビームス流のモダンなアレンジを加えたオリジナル商品が日本の昔と今をつなぎ、「こんな良いものが日本にはあるんだ!」と気づかせてくれます。ここでしか買えないお土産にもたくさん出合えますよ。

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「BEAMS JAPAN」の外観。63個の提灯をファザードにディスプレイ

目次

日本の魅力を発信

日本を代表するセレクトショップ「BEAMS(ビームス)」は1976 年に原宿で「American Life Shop Beams」として誕生。アメリカのカジュアルなファッションを基軸にライフスタイルグッズの扱いを始めました。その後、イタリアのスーツ文化やロンドンのストリートファッションを紹介するなど、40年間ファッションの世界で地位を築き、事業を拡張。それは日本のお客さんに助けてもらったから。これからは日本に恩返ししたいと設楽 洋CEOは考え、2016年、新宿に「BEAMS JAPAN」をオープン。日本をキーワードに幅広い商品の販売や作品の展示、異業種の企業や地方自治体と協働するイベントなどを通じて、さまざまな日本の魅力を発信しています。とくにその1階は日本の地域色を色濃く出せるよう作り上げられた特別な空間。「まったく新しいコンテンツを入れたい」と設楽CEO に声を掛けられた、BEAMS歴約20年の鈴木修司さんが企画から買い付けまで商品開発を務めています。日本の伝統的な手仕事をはじめ、世界中から集めた新旧デザインを融合するスタイルを提案する「fennica(フェニカ)」のMD(マーチャンダイザー)、ファミリー3世代で楽しめるレーベル「B:MING LIFE STORE(ビーミング ライフストア)」のバイヤーなどを歴任した鈴木さん。「もの」を売るだけでなく、「もの」の背景にあるストーリーや文化を含む情報を共有し、物質的満足以上の価値を提供したいと話します。「たとえば福島県飯坂温泉のグラノーラ。ただ、おいしいというだけでなく、果物の里で生まれたグラノーラだから、飯坂の文化を詰めたいと、名産の桃を贅沢に入れました。そういう考えですべての商品を開発しています」。

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三重県松坂市出身、1998年にBEAMS 入社した鈴木修司さん。「BEAMS JAPAN」のチーフバイヤーとして全国を飛び回り、おいしいもの、地域で継がれてきた伝統文化を探り、商品化。1年の1/3は原宿のオフィスにいないそう

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日本の銘品がセレクトされた1階フロア

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入り口には東京・恵比寿のスペシャルティ・コーヒー専門店「猿田彦珈琲」のスタンドを併設。限定販売のオリジナルブレンド"JAPAN BLEND"は、日本の伝統菓子『あんこ』との相性を追求しているそう

もの選びの基準

鈴木さんがBEAMS JAPANで扱いたいと考える「もの」の基準は何か、まず伺いました。「地域色が色濃く、わかりやすく出ているものを選びます。パッと見て、直観でわかるものが今は受け入れられやすいと思います」。1階の売り場に並ぶものは食品、文房具、郷土玩具など多種多様。横並びに陳列したとき、違和感が出ないようにするためには、わかりやすいテーマや色などの共通したテイストがあった方がいいと鈴木さんは考えます。「代々(だいだい)栄えて子孫繁栄するという意味で、縁起の良い色とされる橙(オレンジ)や日本の伝統色、藍をBEAMS JAPANはテーマカラーとしているのですが、オリジナル商品として開発する際には、このオレンジや藍を特別に彩色してもらっているとか。日本古来の郷土玩具は繁栄や健康、厄除けなど祈りをこめた縁起物。そこにBEAMSならではの縁起をプラスした、別注カラーの商品はどれも長く継続的に売れているそうです。

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BEAMS JAPANのテーマカラーに彩色し、ビームスジャパンのロゴに使われる富士山を描いてもらった『信楽焼 オレンジたぬき』。大6,480円、中4,320円

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熊本県の人吉球磨地方に古くから伝わる民芸品『花手箱』。天然木が使われ、職人がひとつひとつ丁寧に作る。鮮やかな椿の花を明るいオレンジに塗ってもらった。3号2,376円、6号7,020円

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熊本県山鹿市で神社への奉納品として受け継がれる和紙工芸「山鹿灯籠」をアレンジしたモビール『TouRou』。オレンジを基調に別注。金属リング部品は新潟県燕市のササゲ工業が製作。紙と金属、両職人の技が融合。16,200円

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京都の料亭が使う、軽くて丈夫な業務用漆器。200年以上前に創業し、福井県を代表する伝統工芸、越前漆器の塗師屋として伝統を継ぐ漆琳堂が製作。膨大なパターンから尾形光琳風の絵柄を選んだ。『光琳菊 太丸碗』16,200円

福島を忘れないために

時期限定の、地方自治体との協働イベントを催しているBEAMS JAPANですが、福島については関心を持ち続けなければいけない、忘れてはならないと考え、福島の魅力を掘り起こした商品を月替わりで販売しています。福島県とのタイアッププロジェクト「ふくしまものまっぷ」は、鈴木さんが福島県総合情報誌「ふくしままっぷ」に着想を得て、実際に福島県を訪れて復興の現状への理解や県民との交流を深めた経験から実現したもの。白河だるま、磐城杉箸、喜多方ラーメン、なみえ焼きそば、赤べこ、飯坂温泉のグラノーラなど、伝統工芸品、食、郷土玩具といった多ジャンルの福島名産をひと月ごとにピックアップして、オリジナル商品も生み出してきました。この熱意ある取組みは地元でも高く評価され、福島県の内堀雅雄知事はお忍びでBEAMS JAPANを訪れ、販売の有り様に感激したそうです。

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店内ではイラストと写真をふんだんに用いて名産とつくり手を紹介する「ふくしまものまっぷ」を無料配布している

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豊臣秀吉の時代から作られてきた郷土玩具の会津張り子。誕生した子供の壮健を祈り、厄病除としても贈られる縁起物の「赤べこ」を「ふくしまものまっぷ」のキャラクター『ベコ太郎』のカラーで別注。2,376円

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福島県飯坂温泉の銘菓「巻せんべい」と地元で採れた桃など旬の果物をふんだんに使ったグラノーラ。サクサクと香ばしい「巻せんべい」の食感、無添加ドライフルーツの優しい甘味を味わえる。『巻せんべいグラノーラ』833円

食いしん坊な旅

私は鈴木さんとは10数年来の知り合いで、共通の恩師がいます。その人は「民藝」という「もの」の見方で、日本各地の美しい手仕事品を調べ、光を当て、現代の暮らしに合うようにアレンジする活動に打ち込まれていました。鈴木さんの現在の仕事は選ぶ「もの」は違えども、しょっちゅう旅をして、現地でしか知り得ないことを大事にする姿勢は通じるのではないかと感じています。恩師の旅に誰よりも多く同行していたのが鈴木さん。恩師と同じように、地域ならではのおいしいものを探り当てる嗅覚が鋭く、食べられる店を基軸に旅のプランを練っていくプロセスも似通っているなぁと思います。そんなとびきりの食いしん坊の鈴木さんが選んだ食べものは間違いないと、自信をもってお勧めします。

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鈴木さんが出張先にも携行しているPC。事故に遭わないように、交通安全で有名な神社のお守りステッカーを貼っている。右は西浅草の「岡野弥生商店」に別注したオリジナル『新宿 千社札ステッカー』702円

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出張先で食べたものを紹介する鈴木さんのインスタグラム。ローカルで愛される、おいしいものばかり。ユーザーネームはshuji_suzuki_1036

魅力的なフリーペーパー

私はBEAMS JAPANのイベントを定期的に覗きに行っているのですが、オリジナル商品はもちろん、配布されるフリーペーパーも楽しみにしています。驚くほどクオリティが高く、これを無料でもらっていいのかと戸惑うほど立派な出来なのです。最近では三重県伊勢の名産を揃えた「BEAMS EYE on ISE」で配られた『ぼくの伊勢だより/わたしの伊勢だより』が秀逸でした。編集者の岡本 仁さんと、美術作家の岡 美里さんの散歩エッセイがなんと40 ページにわたって掲載されています。冊子を編集した柴田隆寛さんは雑誌『アンドプレミアム』(マガジンハウス)のエグゼクティブディレクターを約3年半務めるなどファッションやライフスタイル全般の領域を得意にする方。デザインは人気のアートディレクター矢部綾子さんが担当。一線で活躍する彼らが制作した軽妙な伊勢案内。手にしながら旅し、岡本さん、岡さんの視線をたどって町の景観やおいしい店を観てまわりたくなります。「軸になるのは名産品の開発事業ですが、名産品やお土産品、ものを見せるだけでは地域の魅力を伝えきれません。観光など『こと』を絡めた取り組みですので、冊子や特設のウエブサイトを作っています。冊子の構成は地域それぞれで変えます。写真だけでシンプルに魅力を紹介する場合もありますし、伊勢は語らないと独自の文化がわからない。ただし、堅い内容にすると読む人が疲れてしまうので、岡本さんと岡さんに旅をしてもらい、記録的でちょっと軽い感じで伊勢の文化を伝えようと考えました」と鈴木さん。広い人脈をもつ彼がプロデュースするフリーペーパーがこれからも楽しみで仕方ありません!

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お守りやお札を保管する、パーソナル神社。伊勢神宮の門前町にある神棚や神具を専門に製作する俵田屋(ひょうたや)に依頼し、職人に作ってもらったMADE IN ISE。素材は神聖な三重近隣の檜(ひのき)を使用。左は『板葺社 小』9,180円、右は『小神棚』3,240円

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地方自治体との協業プロジェクト、イベントに合わせてガイドブック、フリーペーパー、フリーマガジンを制作

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『ぼくの伊勢だより/わたしの伊勢だより』。関心の赴くまま、町をじっくりと味わい尽くす岡本さん。その散歩術と写真と文章のセンスにはファンが多い。私もそのひとり

BEAMSが勧める東京の土産

BEAMS JAPANの1階売り場には、イベント毎に開発される新商品のほか、ロングセラーのお土産が並びます。オープン当初から扱われる定番土産のひとつが<新吉原>の手ぬぐいや絵札。明暦3年(1657年)の大火以降、日本橋葺屋町から浅草千束村に移転し、「新吉原」と呼称された遊郭をブランド名に冠したのは、吉原で生まれ育った岡野弥生さん。「歴史があるわりには寂しい感じになってしまっているので、お土産ものを作って、とくに若い人が吉原を知るきっかけになればと2014年から始め、店ができたのは2016年です」遊郭をイメージしたオリジナル商品はなるべく近くの職人と協働して作りたいと岡野さん。たとえば手ぬぐいは葛飾区四つ木の染め屋が注染という明治時代に生まれた技法により型紙で染めたもの。岡野さんが考えた図案をイラストレーターが描き、それをもとに型紙屋に手作業で型紙を切ってもらいます。プリントのように細かい線を表現できませんが、線のにじみ具合など、一枚一枚の風合いが異なるのが魅力です。絵札は浅草で代々続く「長尾版画匠」に版を依頼。その色もカラーチップではなく、ニュアンスを伝えて、色を作ってもらっているとか。職人とのやりとりで、できないことが多々あり、もどかしさはあるけれど、不揃いの色やかすれなど手仕事の味わいをわかってもらえればと岡野さんは笑います。遊女は吉原を意識したモチーフですが、「私の好きな加減で、艶を匂わせる程度にすることが多い」という絵柄には洗練した色気を感じます。その塩梅は生まれ持った粋なセンスと、20代をファッション誌の編集者として奔走した経験にもとづくものなのでしょう。

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西浅草にある「岡野弥生商店」土産商・岡野弥生さん。HP:www.shin-yoshiwara.com

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上/手ぬぐい『a boin』1,620円、下/『一服』1,728 円。「岡野弥生商店」は手ぬぐい専用の額縁も用意9,720円

※額縁・額装はBEAMS JAPANでは扱わない

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新吉原絵札。左より『いれずみ』、『しんぢゅう』、『ゆびきり』。各1,296 円。額装・3枚セット17,280 円

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BEAMS JAPAN別注の手ぬぐい『新吉原』1,728円。新宿の混沌をイメージしてレインボーカラーに染めた

BEAMS JAPANビームス ジャパン (1F「日本の銘品と珈琲」フロア)

住所:東京都新宿区新宿3-32-6
営業時間:11:00~20:00
定休日:不定休
電話:03-5368-7300
HP:https://www.beams.co.jp/shop/j/

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最終更新日:2018/10/07

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