イタリア旅行で飛行機を逃したトラブルに遭っても、最終的に「逃してよかった」と心から思った話

旅行でのトラブルが怖い、と思うことはありませんか?

サムネイル出典:unsplash(Photo by Ben White on Unsplash)

旅行には何かとトラブルがつきもの。飛行機が飛ばなかったり、財布を盗まれたり、食中毒になったりと、予想外のことは常に起きるものです。

実は私も、1年間のイタリア・ローマ留学中の旅行で、あるうっかりミスにより飛行機を逃してしまったことがありました。しかし次の日の朝、私は「飛行機を逃してよかった」と思ったのです。

それは、2人の友人との出会いによるものでした。どんな状況でも楽しむことを忘れなければ旅はもっと楽しくなる、そんなエピソードをご紹介します。

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私のトラブル:飛行機を逃した!

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<イタリアの夏を代表する観光地・アマルフィ海岸 撮影:ゆうさん>

留学も終わりに近づいていた7月、私は友人達とイタリア南部の旅行に出発しました。

その行程はとても長く「イタリア半島(ナポリ→カプリ→アマルフィ)」→「シチリア島(パレルモ→チェファルー→カターニア→シラクーザ→タオルミーナ→ランダッツォ→カターニア)」→「サルデーニャ島(カリャリ)」を、約3週間程度かけて周遊する国内旅行でした。

パスポートを持たずにシチリア旅行

この国内旅行で不安だったのが、南部の治安。私にとっては初めての南部旅行で、スリに遭わないかとても不安でした。特に、「留学最後にパスポートを盗まれるわけにはいかない!」と思ったので、パスポートを持たず、滞在許可証だけを持って旅行をスタートさせたのです。

この判断が誤りだったということは、このときの私は知る由もありませんでした。

カターニア空港でまさかの飛行機乗れず

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<タオルミーナのビーチはとても美しかった 撮影:ゆうさん>

ナポリから順調に旅路を進め、南イタリアの美しさを堪能した私たち。特にカプリ島の青の洞窟や、タオルミーナとチェファルーの海、毎日食べたグラニータ(南イタリア名物のかき氷)が思い出に残りました。

そして意気揚々とカターニアからサルデーニャの州都カリャリまで行こうと、空港で待っていたときに事件が起こります。

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<私の現在のパスポートとイタリアの滞在許可証 撮影:ゆうさん>

チェックインや手荷物検査も済ませたのに、搭乗ゲート口で「パスポートが無いと飛行機には乗れません」の一言。

恥ずかしながら後になって知ったのですが、イタリアは身分証明書の携帯が全国民に求められる国だったのです。そして、先述の滞在許可証は、常にパスポートなどの身分証明書と一緒にあってこそ効力を発揮するものだと伝えられました。

スリという不安要素を減らすためにリスク回避したつもりが、まさかの大馬鹿者になってしまいました。そして友人はカリャリへ向けて旅立ち、私はカターニアに残ることに......。まさに絶望のときです。

とりあえず諦めない!

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<カターニア空港の混雑 撮影:ゆうさん>

それでもめげずに「何としてもカリャリに行きたい」と思っていた私は、往路で利用した寝台列車でローマまで戻り、そこでパスポートを入手してフィウミチーノ空港へ行き、そこからカリャリまで行く計画を立てました。

急いで日本にいる両親やローマのホームステイ先の人たちに連絡をした後、寝台列車と飛行機のチケットを何とか確保。ですがそのときの時刻は11時。寝台列車が出発する19時まではまだまだ時間がありました。

巡り会った友人1:ホステルのオーナー

ここでやっと、私が出会った人々の話になります。

とりあえず夜まで荷物を置かせてもらえる場所や充電が減っていたスマホを充電する場所を探していた私は、とりあえずカターニア滞在でお世話になったB&B(Bed and Breakfast)のオーナーに電話をして事情を説明しました。

すると2つ返事でオーケーをしてくれたため、急いで空港から市街地へ引き返しました。

「よかったじゃないか!」

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<カターニアのホステル 写真提供:Casa Sinatra

ホステルに戻ってくると、オーナーがつい先ほどと変わらない笑顔で迎え入れてくれました。「こんなことになってびっくりしたよ」と話し合う私たち。それでも、突然の事態に何とか対応したもののすっかり疲弊し、がっかりもしていた私の気持ちを察したのでしょうか、オーナーが私にある言葉をかけてくれました。

「ゆうさん!よかったじゃないか!こうして君がまたこのB&Bに戻ってきたのも、きっと何かの運命だったんだよ。カターニアの街もこのB&Bもそして僕も、君が帰っちゃって寂しかったんだ。だから気落ちすることなんてないよ!」

彼の言葉には、本当に驚きました。こんな最悪の状況をも楽しみに変え、むしろ運命として明るく受け容れようとする彼の姿勢に、私もいつの間にか元気になったのを覚えています。

話は弾み、気づけば夜に

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<カターニアの街並み 撮影:ゆうさん>

こうして偶然繋がった縁だからこそ、私はその後市内観光をせず、このB&Bでずっと寝台列車を待ちました。彼を含むスタッフ数人と、日本のこと、イタリアのこと、シチリアのこと、お互いの夢など、客とスタッフとの関係であれば決して話せないであろうことを語り合いました。

そこで話したこと、そして芽生えた信頼関係は、長い留学生活の中でも印象に残っています。

巡り会った友人2:寝台列車のおじいちゃん

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<シチリア名物アランチーニ 撮影:ゆうさん>

その後、オーナーと強くハグをして別れ、19時の寝台列車に乗り込みました。まだ誰も来ないのでコンパートメントでシチリア名物のアランチーニ(チキンライスを丸めて揚げた食べ物)を食べていると、随分と高齢な人が入ってきました。

安い寝台列車なんて、若者や旅人のものだとばかり思っていた私は、こんな年齢の人も利用するんだなと感じました。

朝、2人っきりのおしゃべりタイム

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<寝台列車インターシティ・ノッテ 撮影:ゆうさん 出典:BUONO!ITALIA(ボーノ!イタリア)>

同じコンパ―トメントには5人の乗客がいましたが、朝になると徐々に降り始め、ローマに着くまでの最後の1時間は、私とおじいちゃんの2人きりの時間になりました。2人で向かい合っていて、おしゃべりが始まらないはずがないのがイタリア。

私が極東の日本から来たということもあり、やはり私自身や私の考え方に色々と興味を持ってくれました。その日初めて会ったのに、お互いに深い部分まで話し合っていたのは、今思うと不思議な時間だったなと感じます。

「人生は運命で形作られてるんだよ」

そして、やはり80年近く生きてきた人の考えは、すごく深いし勉強になる部分が多かったです。 また、私が「飛行機を逃したのは辛かったけど、その代わりに素敵な出会いがあった」と話すと、「人生は運命で形作られてるんだよ」と、おじいちゃん。

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<今でも連絡をとるおじいちゃんとのWhatsapp 撮影:ゆうさん>

この言葉もすごく覚えています。ローマ・テルミニ駅で別れる前に連絡先を交換し、今でもときどき、Whatsappで連絡を取り合っています。

逃すべくして逃したのだ

本来であればこんな話をせずに、この事件で迷惑をかけた友人や家族、ステイ先の人たちに対して謝らなければなりません。 ただこの素晴らしい2つの出会いは、ある意味で運命だったのだと思い、「逃すべくして逃したのだ」と感じるようになりました。

イタリアでは、予想していないことが常に起こります。それは観光客の私たちだけではなく、住んでいる国民たちはもっとそうです。

だからこそ辛い状況を受け容れて楽しむ、それでもなんとか打開しようとする能力が高いのかなと、改めて実感しました。起きた出来事をある種「運命」として捉える姿勢は、そうそうマネできないものかもしれません。

そしてこの旅行のトラブルは、かけがえのない大切な時間と人との繋がりを作ってくれました。たかが2人、されど2人の友情を。だからこそ、失敗も悪くないなと思えたのです。

最後に

この旅行を通じて、「色々なことが起こっても、その場その場で臨機応変に対応しながら、今を必死に楽しもうとすることが良い経験を作るんだな」と痛感しました。

楽しい旅行で何かミスがあると、本当に凹んでしまうと思います。そんなときだからこそ「きっと楽しいことがあるはず」「だからこそ面白いこと探そう」という気持ちが、その旅行に忘れ難い思い出を刻んでくれるはずです。

新しい世界へ一歩踏み出す旅行は、楽しみと不安が表裏一体。だけど、全てひっくるめて忘れられない思い出ができる旅行に、勇気を出して出掛けませんか?

補足:イタリアで飛行機に乗り遅れちゃったときは

もしイタリアで飛行機を逃してしまった場合は、なるべく早く別の移動手段(別の飛行機・電車など)を予約しましょう。また移動を諦める場合は、その日の宿泊場所を確保しましょう。

飛行機の場合は、オンラインであればスカイスキャナーが最も便利ですが、空港のカウンターで購入することももちろんできます。

電車の場合は、トレニタリアイタロの券売機かホームページでの購入になります。

ホテルを確保する場合は、Booking.comが網羅しているホテル数的にも非常に多く、直前の予約にも最も対応できると思います。

また、もし旅行中にパスポートを紛失してしまった場合は、すぐに在イタリア日本大使館か在ミラノ日本総領事館に連絡してください。

在イタリア日本大使館

電話番号:(39)06487991
住所:Via Quintino Sella, 60 00187 Roma, Italia

在ミラノ日本総領事館

電話番号:(39)026241141
住所:Via Privata Cesare Mangili 2/4, 20121, Milano, Italia

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イタリア・ローマ大学に1年留学。イタリア各地の魅力を学生ならではの視点から紹介できたらと思っております。南米一人旅を敢行するほど旅が大好きです!

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