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鉄道歴史物語「石川県の鉄道」現在、過去、未来
車掌かんちゃんです。一つの県だけでも、鉄道には歴史があって、魅力があります。今回は石川県の鉄道のお話です。
目次
地域の風習、伝統文化、工芸品と旅館のおもてなしを乗せて走ってます
2015年10月3日、JR西日本が金沢から和倉温泉を結ぶ観光特急「花嫁のれん」の運行を開始しました。この列車名の「花嫁のれん」は、石川県を中心とする旧加賀藩の地域に伝わる、娘の幸せを祈る嫁入り道具の一つです。婚礼当日、嫁ぎ先の仏間の入口に掛けられた、こののれんをくぐって嫁ぎ先の先祖に報告した後、結婚式に臨みます。
「花嫁のれん」のデザインコンセプトは「和と美のおもてなし」であるため、車両の外観や内装は加賀友禅をイメージし、輪島塗や金沢金箔で装飾されています。
豪華な車内では能登の食材を使った郷土料理が提供されます。料理を監修するのは、和倉温泉の老舗旅館である「加賀屋」の総料理長であり、着物を着て料理提供や案内を行う列車の乗務員も「加賀屋」で研修を受けています。まさに、旅館の仲井さんが列車に乗り込み、老舗旅館のおもてなしをイメージしています。
私も、ゆっくりと丁寧に「花嫁のれん」をくぐって列車に乗り込みました。この列車には、「花嫁のれん」をくぐった乗客の皆様に幸せになってほしいとの願いが込められているのです。
以前は日本全国の列車に連結されていました
七尾から和倉温泉を通って穴水まで運行しているのが「のと鉄道」です。途中駅の能登中島駅に保存されている車両があります。
現在、国内では2両しか保存されていない、国鉄時代の郵便客車オユ10です。1957年から1971年までに72両製造されましたが、1976年に全廃されました。
車内はまさに、郵便局。走る列車の中で郵便物の仕分けが行われていました。
先月、駅と郵便局の相互利用や互いの物流ネットワークの活用などで、日本郵便とJR東日本が協定を結びました。トラック運転手の人手不足や排ガスによる環境問題の点から鉄道貨物輸送が見直されている現代、郵便列車の復活も大いに期待できるかなと思います。
保存されているオユ10は1969年に製造された車両です。私と同級生なんです。「のんびり余生を過ごしてないで、これから、しっかり働く時が来るから準備しとくように」と言ってきました。
列車は来なくても、駅は町のシンボルです
のと鉄道は2001年4月1日廃止になるまで、穴水から先、蛸島まで運行していました。恋路という、とてもロマンチックな駅もありました。
廃止になった珠洲駅です。プラットホームと線路があり、今にも列車がやってきそうな雰囲気です。駅舎は現在、「道の駅すず」となって、土産物や地元特産品を販売しており、多くの人に利用されています。利用目的は替わっても、駅はずっと愛されています。
新幹線は更に先に伸びて行く
2015年3月14日、北陸新幹線は金沢まで開業しました。東京~金沢を最速2時間28分で走破しています。現在、金沢より更に西へ延伸する工事が進んでおり、各停車駅の工事も始まっています。小松、加賀温泉、芦原温泉、福井、南越、終着駅の敦賀まで2022年度開業予定です。
建設が進んでいる加賀温泉駅は、片山津温泉、山代温泉、山中温泉の玄関駅です。現在も、特急列車が到着すると、改札口の前で多くの旅館の番頭さんが旗を持って待っていて、駅前の広場には旅館のマイクロバスがずらりと並んでいます。新幹線が開業したら、もっと多くのお客様が利用するんだろうと思います。
北陸新幹線金沢開業日に、私はツアーの添乗で東京から富山まで乗車しました。開業日の富山駅は大混雑。改札口から観光バスの駐車場に行くまでに迷子になったお客様がいました。鉄道マニアにとって開業初日の乗車は最高です。この時も添乗員やってて良かったと思いました。
4年後の敦賀開業日も乗車できるかな?「いい仕事してますねぇ」と言いたいですね。今から、とても楽しみです。
いかがでしたか。鉄道は新幹線が開業したら、合わせて観光列車が運行を開始するように、常に歴史が作られるのです。また、過去の栄光が復活する可能性もあるのです。人生よりも面白い鉄道に、更に興味を持っていただけたら嬉しいです。
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車掌かんちゃん
- 親からの最初の本は時刻表。いろんな列車に乗れて、給料ももらえるからと添乗員になりました。日本の鉄道路線、全て完全乗車の乗り鉄。住んでいる家も電車がよく見える線路沿い。鉄道が人生そのものです。