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お茶の達人 小原さんが教える「自分に合ったお茶の選び方」~板橋のお茶屋「大山園」~
こんにちは!たびこふれ編集部のシンジーノです。
日本茶、お好きですか?私はそこそこ好きです(笑)。食事の時、お茶を飲むと口の中がさっぱりするし、疲れた時や休憩したい時、お茶を飲むとリラックスできますよね。お茶の銘柄とか産地には特にこだわりがなく、スーパーで買った普段飲みの手頃なお茶を飲んでいました。わざわざお茶屋さんでお茶を買うことはなかったですね。なんかお茶屋さんに行くと高いお茶を薦められそうな気がしたし、どうせ品質にたいした違いはないだろうからスーパーの方がお得じゃな いの?なんてなんとなく思っていました。
お茶の見方が変わった出会いがありました
ところがある縁でお茶屋さんと知り合う機会があり、お話を聞いて私の無知さに愕然としました。そこで、今回は日本茶のお話をしたいと思います。
- お茶の見方が変わった出会いがありました
- お茶の淹れ方講座を開催「お茶は淹れ方でこうも変わるものか」
- ひとりきりの時間を大切にしたい方におススメの空間
- こんなかき氷、見たことないっ!
- 小原社長が薦めるお茶の選び方のコツ
お茶の話を私に教えてくれたのは、東京板橋区のハッピーロード大山商店街にある「大山園(おおやまえん)」の小原宜義(おはらのぶよし)社長です。
手に持っている四角いものが何なのかは後ほどお話するとして。。。
小原さんは大山園の三代目社長、40歳です。茶審査技術七段をお持ちで「全国茶審査技術競技大会」という利き茶競技会の東京予選会で準優勝され、全国大会に東京代表で出場された経歴の持ち主です。
「お茶屋にも千差万別あるので一概に言えません。あくまで当店(大山園)のお話ですが、、、」と前置きされた後こう続けられました。「お茶の良し悪しは"製茶問屋さん"によって決まります。私は静岡の掛川の製茶問屋さんらとおつきあいしていますが、普段お客さんからよくこういう質問を受けます。「どこの(産地)のお茶が美味しいですか?」と。しかし、同じ掛川のお茶といっても製茶問屋によってお茶の味は大きく変わってきます。その製茶問屋がどういうお茶農家を支持しているのか、お茶に対する情熱や真摯な姿勢、そういったこともお茶の味に実は影響してくるのです。
私は毎年5月初旬には必ず 静岡に出向き、その年の新茶の出来具合をチェックし、お茶農家さんや製茶問屋さんの話を聞いてきます。お茶屋の価値(実力)は、いかに信頼のおけるお茶農家、製茶問屋との良い関係を築き、質の良い お茶を仕入られるかに尽きると思います。大山園ではそのようにして自分の足で歩き、目で見、味わい、これだ!と確信して仕入れたお茶の葉を一番美味しい割合でブレンド、商品化しています。ですので大山園で売っているお茶はスーパーや他のお茶屋さんでは買えないんですよ。もちろんスーパーで売っているお茶が良くないと言っているのではありません。ただスーパーでは大きな規模で安定したお 茶の量を確保しなければならないので仕入れ方が私たちとは違ってくるんです。」
あるお客さんからこんな声をいただいたそうです。「大山園のお茶を北海道に住んでいる母に毎年送っているんです。一度母にここのお茶を飲ませたらもうここのお茶じゃなきゃだめだっていうんですよ。大山園のお茶を送ること、それが私にできるたったひとつの親孝行なんです。ありがとう。」と。素敵な話ですね。
お茶の淹れ方講座を開催「お茶は淹れ方でこうも違うものか」
大山園では不定期に「日本茶サロン」というお茶の入れ方講座を開いているそうです。人数はなんと6名という少人数限定で受講費用は1,000円。そしてこの講座に参加したほとんどの方がおっしゃるコメントがあるそうです。それは「私が今まで飲んでたお茶はなんだったの・・・」という言葉。参加者には3つの湯のみが配られ、各々がお茶を淹れて、他の参加者に飲み比べてもらうと、同じお茶の葉で同じお湯なのに、淹れる人によって味がまったく変わってくるそうです。「え~、この人の淹れたお茶の方が美味しい!なんで~?」なんてやりとりもされることがあるそうです。これまで知らなかったお茶に関する新しい世界に開眼したような気分かもしれませんね。
あなたも新しい世界を体感してみませんか。
ひとりきりの時間を大切にしたい方におススメの空間
お茶屋さんってどんなイメージでしょうか?私の持っていたイメージは商品棚にお茶の袋が並んでいて、ちょっとお茶の試飲もできるけれど、欲しいお茶を買ってすぐ帰るだけ。お店滞在時間も少ない 、そんな感じでした。
さて、大山園にはこのような喫茶コーナーがあります。
カウンターで7席。この喫茶コーナーは「お茶を味わいながらゆっくりと時間を過ごしてほしい」という思いから5年前に改装した時しつらえたそうです。ここに座ったお客さんからはこんな言葉をかけられるそうです。「ふ~っ、ひとりきりの素敵な時間を過ごすことができました、ありがとう。」「なんか、京都にいるような気分でした」こんなお茶屋さん聞いたことありますか?
こんなかき氷、見たことないっ!
大山園の喫茶コーナーで味わえるメニューは、お茶とお菓子のセットはもちろん、抹茶ラテ、ほうじ茶ラテ、抹茶ソフトクリームなどなど、下手な喫茶店よりは品揃えが多いんです。その中でも大山園ならではの人気メニューが夏季限定の"かき氷"です。この特徴は、氷にシロップをかけるのではなく、お茶の葉が閉じ込められている特製の氷を削って作られる点です。
この氷、千利氷(せんりひょう)って言います。定番は抹茶とイチゴ(果実が氷の中に・・・)ですが、今年から新商品で「ほうじ茶かき氷」を作ったそうですので、私はほうじ茶かき氷をいただきました。冒頭の小原社長の写真は抹茶を閉じ込めた緑色の氷だったんですね。
このほうじ茶かき氷、食べた印象は「さっぱりあっさりして甘すぎないのがいい。限りなく薄く削られた氷が舌の上でサッと溶ける。」というものです。甘味が足りないという人には別添の蜜(これも甘すぎず大人の蜜)をお好みでかけて。 ほうじ茶かき氷を食べる時に小原社長のおススメはトッピングで練乳をかけること。さっそくやってみました・・・絶妙です。ほうじ茶かき氷650円(白玉とあずき入り。温かいほうじ茶も付きます)練乳ト ッピングはプラス80円。
後日、一番人気の宇治金時かき氷(650円)も食べました。今年は暑さも手伝ってかき氷が大人気だそうです。
濃い!抹茶が濃い!抹茶を食べている感じです(笑)他のお店で食べる宇治金時とは抹茶の量が全然違うと思います。かといって苦くはなく、甘味も抑えめ(右の抹茶色の液体が追い蜜です)なので食べやすい。体に良いものを涼やかに食べているという感じです。美味しかった!
そしてもうひとつの喫茶コーナーの看板メニューが抹茶ソフトクリーム(290円)です。この抹茶ソフトクリームは抹茶をお店でソフトクリームに投入して作るそうです。他で聞いたことないですね。まさに大山園オリジナル。
舌触りに抹茶感がしっかりあっておいしかったです。
小原社長が薦めるお茶の選び方のコツ
最後に小原社長より「お茶の選び方のコツ」を教えていただきました。
例えば、600円くらいのお茶の葉を買いたいと思うなら、3つくらいのお店(お茶屋、スーパーなど)から同じ価格帯のお茶の葉を買ってそれを飲み比べてみてください。その中で「一番美味しいなあ」とか「自分は好きだなあ」と感じるお茶の葉を売っているお店で次回から買うと良いでしょう。そのお店は良い(あなたに合う)製茶問屋から仕入れているということです。(もちろんお茶は嗜好品なので個人の好みによるところが大きいですが)小原社長が心がけていることは「どんなお茶がおススメですか?」と訊かれた時、高いお茶を薦めるのではなく、「どんな時にお使いになるお茶をお探しですか?」と尋ねることだそうです。贈答用なのか、自宅用なのか、そのお茶を飲むシチュエーションによってぴったりのお茶も変わってくるのは当然ですね。ちなみに大山園さんで一番売れているのはこちらの「お福茶」で、二代目社長のお父さんが命名された大山園オリジナルのお茶だそうです。
ちなみに東京都茶協同組合は年1回抜き買い調査をしているそうです。価格が適正か、品質は大丈夫か表示は?包装は?など様々な視点からチェックされるそうですが、2018年度1,000円クラスのお茶を調査したところ、この「お福茶」が上位3店舗に選ばれたそうです。滋味、水色、香気、外観などSランクの高得点を得られたそうです。さすがですね。(お福茶 私も愛飲しています。)・・・2018年10月追記
いかがでしたか?お茶に対する見方がちょっと変わったのではないでしょうか?
大山園さんは目利きの優れた人が、確かな目で選んだお茶の葉を独自の調整力でブレンドし、店オリジナルの商品を作って販売していいます。そして喫茶コーナーではお茶を売るのではなく、「お茶のある、こころ豊かな生活」を提案しています 。
お茶が日本に伝わったのは今を遡ること平安時代、中国からでしたが、そもそもは嗜好品というよりは薬だったそうです。「お茶を一服」と言うのはその名残りだそうですね。
「お茶のある生活」があなたの毎日に潤いを与えてくれるかもしれません。ぜひ一度、板橋区ハッピーロード大山商店街の大山園を訪ねてみてください。
右が大山園二代目社長、左が三代目社長です。おふたりとも温かく優しい語り口で話してくださいました。癒されました~
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シンジーノ
- 3人娘の父で、最近は山歩きにハマっているシンジーノです。私は「お客さまが”笑顔”で買いに来られる商品」を扱う仕事がしたいと思い、旅行会社に入って二十数年。今はその経験を元にできるだけ多くの人に旅の魅力を伝えたいと“たびこふれ”の編集局にいます。旅はカタチには残りませんが、生涯忘れられない宝物を心の中に残してくれます。このブログを通じて、人生を豊かに彩るパワーを秘めた旅の素晴らしさをお伝えしていきたいと思います。