【山登り道】~低山には低山の魅力があるのです②「大霧山編」~

こんにちは!たびこふれ編集部のシンジーノです。

私は山登り(低山)が好きです。東京近郊には日帰りで愉しめる低山がたくさんあります。

例えば高尾山、筑波山、奥多摩、奥武蔵、丹沢など。私は東武線に住んでいるので奥武蔵エリアが近いのですが、ここには秩父連峰を中心とした歩きやすい低山が多いです。

今回は東武東上線小川町(おがわまち)駅を起点とした奥武蔵/外秩父連峰のひとつ「大霧山(おおぎりやま)」の面白さをご案内しましょう。正直言って、奥武蔵は地味です(笑)。奥多摩、丹沢に比べたら「これ!」というスター選手がいないのです。が、しかし!奥武蔵にも良いところはあるのです。

シンジーノの独断による「奥武蔵」の良さとは

地味な奥武蔵(失礼!)ですが、ここならではの良いところもあるのです。例えば・・・

  • 人が少ない→なんといってもこれが一番の魅力です。(・・・ということは人気がないことの裏返し?(笑))
  • 階段や、根っこむき出しの道も少なく、歩きやすい→個人的感想ですが、山道としては広めの道が多いと思います。
  • 歩く時間、距離、標高差が適度→山によって違いはありますが、おおよそ歩行3~4時間、標高差400mくらいで歩きやすいです。

大霧山への起点は小川町駅

東武東上線 池袋駅から快速又は急行で約70分で小川町に到着します。激烈に混んでいる奥多摩などと違って電車は空いています。小川町駅からはイーグルバスという地元のバスで外秩父エリアの各登山口に向かいます。訪れたのは4月29日(日)ゴールデンウィーク最初の連休の中日。快晴で絶好の山登り日和です。

小川町駅前のバス乗り場です。乗り場は三か所あるのですが、登山は一番外側の木製のバス停看板のところ白石車庫行き乗り場です。

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奥武蔵エリアは他と比べて空いているといいましたが、残念ながらバスだけは混んでます。ここが最大の難点です。白石車庫(しろいししゃこ)行きに乗って各登山口で下車するのですが、ほぼすべての登山客はこのバスに乗り込みます。バスは1時間に1本程度しかありません。私は9:12発のバスに乗るつもりで早めの8:30には駅に着きましたが、既に20名近くの人たちが並んでいました。その後みるみる増えて60名ほどの行列となり、こりゃバス1台には乗り切れないなと思っていたら臨時で1台増発され無事全員乗れました。次のバスは1時間後ですからね。なんとしても乗りたいところです。イーグルバスさんに確認したところ9:12発だけは混雑状況によってバスを増発させているそうです(ただし終点の「白石車庫」ではなく途中の「皆谷(かいや)」止まり)

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注意点ですが、このイーグルバスはICカードが使えず支払いは現金のみなので、小銭を準備しておくことが必要です。(お札でもおつりはもらえますがお金のやりとりで下車にかなり時間がかかります。できるだけ小銭のご準備を!)

大霧山の登山口は「橋場」バス停から

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大霧山の登山口は「橋場」バス停です。小川町駅から約20分(500円)でバス停にはトイレもあります。ここから橋を渡って10分くらい車道を歩いたら、いよいよ登山道が現れます。さあ登るぞ~!

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登り始めはゆっくりゆっくり

登り始めは抑えめに、ゆっくり歩きます。今日の自分の体調はどうだろうか?と自分に問いかけながらアイドリングしていきます。決して急いではいけません。ところで山里に近い山道はシダなどが生えていてやや湿気を帯びた場所が多いように思います。私こういう雰囲気があまり好きではありません。それはヘビが出てきそうだからです。実は私、爬虫類が大の苦手なんです。

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一旦車道へ出て道なりに5分ほど歩き、再び登山道に入ります。

これこれ、こういう感じの登山道が個人的には好きですね。

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粥新田峠へ向かう案内板です。

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どうでしょうか。冒頭にも書きましたように、歩きやすそうな比較的広い道とは思いませんか。

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山登りの一番素敵な場面は実はここ!今日来てよかったと思える時

登山道に差し込んでくる木洩れ陽が私、大好きなんです。

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「さっきまでのバスの混雑はなんだったんだ」と思うくらいとても静かな道です。前後誰も歩いてません。

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ウグイスが軽やかにさえずります。気持ちが落ち着きます。ずっと歩き続けていたい・・・そう思える道です。

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中継地「粥仁田峠」に到着

橋場のバス停から歩き始めて約50分。粥仁田峠に到着。標識によっては粥新田峠や粥仁田峠と字が違ったり、読み方も「かゆにた」だったり「かいにた」だったりと統一されていませんがどちらも間違いではないようです。この峠の名の由来は、日本武尊や坂上田村麻呂がここで粥を似て食べたとか諸説あるそうです。この峠は昔、秩父から江戸へ至る道のひとつで川越に抜ける重要な交通の要所だったそうですが、今では当時の栄華の名残りもほとんど見ることのできないくらい静かな場所です。

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粥仁田峠から大霧山頂まで約30分。今回の行程で私が一番好きなルートです。

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粥仁田峠~大霧山間の道は歩いていてとっても気持ちいいんです。きっと尾根づたいの道が多いからでしょう。

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奥武蔵の良さはこんなところにも

高尾山とか丹沢はたくさんの人々が登る為(もともとの土壌の問題もあると思いますが)、道が崩れてきて木道や階段に補修する箇所がどんどん増えているんです。この大霧山コースには階段はほぼありません。階段がないとなぜ良いかというと、自分の歩幅で歩けるから疲れにくいんです。階段ばっかりだと山道らしくありませんしね。

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思わず鼻歌でも口ずさみたくなる気分で歩いてます。

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爽やかな風が体をすり抜けていきます。

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たまに急な登りも現れますが、これはこれでメリハリが出ていい感じです。さあがんばるぞ!

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ずいぶん登ってきました。下を見下ろすと・・・さすが秩父。緑が豊かなところですね。

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なんか時代劇っぽい。武士が出てきそうな風景です。

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尾根歩き、最高!

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さあいよいよ大霧山頂へ

橋場バス停から歩き初めて約1時間半、大霧山の頂上が見えてきました。

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じゃーん!大霧山登頂。山頂はさほど広くありませんが北側の眺望が開けています。空気が澄んでいる時は浅間山、日光連山、榛名山、赤城山などが見渡せるようです。

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標高766.7メートル。霧の文字が霞んでます。この日は一日中いい天気だったのですが、霞んでいて眺望はあまりよくありませんでした。この季節(春)はしょうがないですね。良い眺望を期待するなら晩秋から初冬が良いでしょう。

では、山頂からの動画をどうぞ!

大霧山から外秩父連峰を縦走します。旧定峰峠へ。

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急な下りを経て牧草地沿いを歩きます。ここは秩父高原牧場が隣接しているんです。(草原の写真を撮り忘れてしまいました)

尾根沿いの道が続き、旧定峰峠~定峰峠と縦走します。定峰峠はサイクリング愛好家の方々には有名な場所のようですね。

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歩きやすそうな道でしょう?

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山登り後の楽しみといったら・・・

定峰峠から約30分下ったら車道に出ます。車道を5分くらい歩いた道沿いにある有名なお店が定峰峠の「鬼うどん」です。

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ここの名物は「辛みきんぴら鬼うどん(冷やし)」です。

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このうどん、絶品でした。うどんのコシが半端ないです。しこしこです。大根おろしとゆずが効いていて天かすも入り、おつゆはあっさりさっぱりで食べやすい。量はかなり多めでしたがつるつるっと一気に食べちゃいました。お値段はそこそこします(1,200円)が、それだけの価値があると思います。鬼うどんから更に車道を降りていくと目的地白石車庫バス停に到着です。イーグルバス東秩父村路線 白石ゾーンの終点でかなり山深い谷にあります。近くにはキャンプ場や釣り場があり、トイレも完備しています。

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ここにも名店が・・・

白石車庫バス停そばにあるのが食堂「やまびこ」です。

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店内には地元で取れた特産品(味噌、お茶、くず粉、小豆等)が売られています。しぶ~い地味あふれる・・・もとい滋味あふれる素朴なものばかりです。天皇皇后両陛下の写真が飾ってありましたからここまで来られたのでしょうか。

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ここ「やまびこ」の名物は地元のそば粉で打った手打ちそばです。3人のご婦人方が丁寧に料理を作っておられました。接客も優しくて旅人が嬉しくなるような応対でしたね。

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バス出発まで30分あるので、まずは乾杯!小川町は酒蔵が3つ(帝松、晴雲、武蔵鶴)もある地酒どころですので、ここは迷わず日本酒で!(カップ酒350円)

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サービスで出てくるおつまみが、柿ピーとかじゃなく、山菜の煮たのっていうのが涙ものです。(優しい味でした)

そして・・・さっき鬼うどん食べたばっかだけど、やっぱり食べるしかないでしょ、名物を!野菜天ぷら付もりそば(1,000円)

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この手打ちそばもコシがあって美味しかったです。ワイルドな田舎そばというよりは洗練されて上品な食感でした(つゆもあっさりめでグーでした)

こころもお腹も満足して、白石車庫発14:03のバスに乗って約30分(640円)で小川町駅に到着(帰りのバスも混んでましたね~)

小川町は「武蔵の小京都」と呼ばれ、情緒ある町です。最近では「和紙の里」として地元の「細川紙」がユネスコ無形文化遺産として登録されたことでも有名になりました。小川町駅前通りにはお蕎麦屋さんや中華料理などいくつかの食べ物屋さんもあり、山歩きの疲れを癒してくれることでしょう。町全体がどこか懐かしく、のんびりした雰囲気が漂っていて、私がここに初めて訪れた時、こどもの頃を思い出すような田舎に帰ったような、優しい温かい町だなという印象を持ちました。

やっぱり低山はいいな~

さて奥武蔵・外秩父の「大霧山」はいかがだったでしょうか。私は山登りの面白さは、山頂に到達した時の達成感はもちろんなのですが、そこに至る道中こそが山歩きの真骨頂ではないかと思うんです。風の音や、木の葉のざわめき、鳥の声に耳をすませ、木洩れ陽を全身に浴びる。こんなふうに自然に浸かる時を過ごす・・・都会で生活する者にとってこれ以上の贅沢はないのではないでしょうか。

山登りは特別な人の為のものではありません。特に日帰り、低山であれば、誰でも気軽に楽しむことが出来ます。以前に比べ山登り人口が増えているのは嬉しいですね。標高3,000メートルを超える北アルプス、南アルプスなどには森林限界や高山植物など、そこでしか味わえない素晴らしい世界がありますが、低山であっても想像以上に本格的な山歩きを楽しむことも出来ます。この記事を読んで、普段ビルに囲まれて生活している人が、自然に触れて心が休まる時間を持つことの価値を少しでも知っていただけたらうれしいです。それではまた!たびこふれ編集部のシンジーノでした。

【大霧山登山情報まとめ】

  • 概要:走行距離約8km、所要時間約3時間(バス移動時間含まず)
  • 東武東上線:池袋~小川町 約70分 810円(片道)
  • イーグルバス:小川町~橋場 約20分 500円 / 白石車庫~小川町 約30分 640円

<シンジーノ関連記事>

低山には低山の魅力があるのです①「金勝山・官ノ倉山・石尊山」

冬山にはなぜ魅力があるのか「景信・城山・高尾山編」

大霧山ハイキングコース詳細、マップはこちら

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3人娘の父で、最近は山歩きにハマっているシンジーノです。私は「お客さまが”笑顔”で買いに来られる商品」を扱う仕事がしたいと思い、旅行会社に入って二十数年。今はその経験を元にできるだけ多くの人に旅の魅力を伝えたいと“たびこふれ”の編集局にいます。旅はカタチには残りませんが、生涯忘れられない宝物を心の中に残してくれます。このブログを通じて、人生を豊かに彩るパワーを秘めた旅の素晴らしさをお伝えしていきたいと思います。

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