硬くて丈夫な理由は?スイス・ポケットティッシュ事情

日本ではポケットティッシュに広告を入れ、お店等の宣伝として街頭などで配られることが多い ― 少なくとも私が日本に居た10年ほど前まではそうだったが、スイスでは一部の例外(ティッシュや洗剤などの新製品の試供品をスーパーのレジでもらえることがたまにある)を除いて、ポケットティッシュがタダで手に入ることはない。

夫と一緒に日本を旅行中に、東京の繁華街でいわゆる「ティッシュ配り」に遭遇した夫が大変驚いていた(そして喜んだ)ことを今も鮮明に覚えている。その驚きの要素には、ポケットティッシュがタダでもらえるという状況はもちろん、もらったポケットティッシュの形状や紙の質感がスイスのそれとはかなり違っていたということも含まれている。今回は、そんなスイスのポケットティッシュについてちょっとご紹介したい。

スイスのポケットティッシュは硬くて丈夫!

日本のポケットティッシュは手のひらサイズの平らな形状で、折り畳まれた薄手の紙(通常2枚重ねで一組)が6~10枚ほど入っているのが王道だろう。そしてティッシュは、フィルムパッケージの真ん中から引き出すようにして取り出される。街頭で配布されるポケットティッシュには紙質があまり良くないものも多いが、有名メーカーの高級ポケットティッシュであっても、日本のものは基本的に薄手で柔らかいのが特徴だ。

翻ってスイスのポケットティッシュ―標準ドイツ語ではハンカチ・ちり紙・ポケットティッシュの類を「タッシェントゥークTaschentuch(単)/タッシェンテューヒャーTaschentücher(複)」と呼ぶが、スイスのドイツ語ではナーストゥークNastuch(単)/ナーステューヒャーNastücher(複)と呼ぶ。手のひらサイズなのはおおよそ同じだが、形状は平らではなく、厚みがあってコロッとした直方体。

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1パッケージは通常10枚入りで、ティッシュの取り出しは短辺部分にある取り出し口から行われ、開封した後は付属のシールで開け口を留められる仕組みになっている。紙のサイズは私の手元にあるものは21×20.5cmで、日本のものとあまり差はない。しかし大きな違いは紙の厚さで、基本的に4枚重ねであるのに加えて、紙1枚1枚がかなりしっかりとしている。質感・触感としては、レストランやテイクアウト店などに置かれている紙ナプキンに近い。

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<ペーパーを分解してみた様子。きれいに4枚重ねになっている。>

日本のソフトな紙の質感と比べると硬くてゴワゴワしているが、何よりも丈夫なのが長所。その丈夫さは、うっかりポケットに入れたまま洗濯してしまっても紙がボロボロにならないという私自身の経験でも証明されていて、実際に「洗濯してもボロボロになりません」というキャッチコピーを冠した商品もある。なぜそんなに丈夫な必要があるのかというのを考えてみると、思い当たるのはスイス人は「1回鼻をかんだ程度」ではティッシュを捨てないという現実。

スイスを始めとするヨーロッパの国では人前で鼻を「すする」のはマナー違反なので、こまめに鼻をかむ必要がある。1・2回使っただけであれば紙は捨てずに慎重にたたんで懐にしまい、ちょっと鼻が出てきたなと思ったらすする前にまたそれを取り出してかむのだ。

人前で頻繁に鼻をかむのはちょっと気が引けるかもしれないが、スイスでは電車の中などで現地の人が豪快に音をたてて(あれはどうやったら出来るのか...!)鼻をかんでいる場面によく遭遇する。これは、若いお嬢さんもイケメンのお兄さんも、バッチリとスーツを着たビジネスウーマンも、小ぎれいな装いの紳士も同じ(シニア世代では、今もハンカチで鼻をかむ人たちも決して少数派ではない)。お洒落な高級レストランなどではもちろんちょっと考慮するべきだろうが、基本的には「鼻かみ」は「鼻すすり」よりははるかに好意的に受けとられる(もしくは「容認できる行為」)と考えていい。

ポケットティッシュは10~30個ぐらいをまとめて梱包したものを購入するのが一般的で、私の手元にあるスーパーの広告には、30個入りの廉価ポケットティッシュが約4スイスフラン(日本円で約450円)とある。もちろんバラ売りもあり、今日立ち寄った大手スーパーではポケットティッシュ1個が50ラッペン(日本円で約60円)で売られていた。スイス人の日用品を手軽に試せるポケットティッシュ、お土産や話のネタに、機会があったら是非使ってみて頂きたい。

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Asami AMMANN-HONDA

スイス東部トゥールガウ州の農村在住。元書店員、現在は兼業主婦(介護補助士&日本語教師&日独英通訳)。趣味はスポーツ・園芸・料理、専門は音響映像技術。

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