真冬に美しさ極まる、丸の内の夜景遺産

丸の内仲通りのイルミネーション、東京駅丸の内駅舎のライトアップ。夜景遺産に選ばれた情景は澄んだ空気のなかでより幻想的に見えます。東京随一の夜景を堪能してきました。

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丸の内仲通りの夜を彩る「丸の内イルミネーション」

まだ間に合うイルミネーション

皆さんは「イルミネーション」と「ライトアップ」の違いをご存知ですか? 私は混同していたのですが、「イルミネーション」とはたくさんの電球を用いて電飾し、「ライトアップ」は照明器具で建物などを照らし出す演出法だそうです。「ライトアップ」といえば、都内ではクリスマスシーズンの風物詩で、年末には終わってしまう印象が強いかもしれません。ところが、今回ご紹介する毎年恒例のイベント「丸の内イルミネーション」は2月18日まで開催。まだ観ることができるのです。しかも、師走と異なり、1~2月は静かで平穏な空気が漂い、私はこの時期にゆったりとした気分で光の演出を鑑賞するのが好きです。

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今季から、有楽町エリアの国際ビル、新国際ビル前にアール・ヌーボー調デザインのゲートが登場。

JR東京駅の周辺、約1.2kmにおよぶ丸の内通り。両側には重厚な建物と世界的なブランドショップが並びます。街灯の照度も控えめで、まるで異国の街の風景。この洗練された街並みの200本を越える街路樹が約98万球のLED電球により「シャンパンゴールド」色に染められるのが「丸の内イルミネーション」です。

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丸の内エリア、馬場先通りと行幸通りに交差する区間は街路樹の密集度が高く、より劇的な光景に

周囲の照明、光の映りこみも楽しむ

丸の内仲通り沿いには大きな壁とガラス面積をもつビルが多く、日没直後には黒塗りの社用車が停車しています。その壁面やショーウインドウ、磨かれた車体に映る電球の灯りにも目を向けると、いっそうとイルミネーションを楽しめると思います。また、ビルの低層階に出店するブランドショップの暖色照明が外の電球色と調和する様子も、見どころです。

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黒塗りの車にきらめく灯り

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丸の内仲通り沿いに建つ「丸の内ブリックスクエア」のアールデコ調装飾と暖色系照明

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有楽町エリア・国際ビルの「バカラショップ丸の内」エクステリア

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英国の高級靴ブランド「ジョンロブ丸の内店」(国際ビル)のショーウインドウ

広場でひとやすみ

丸の内仲通りにはじっくりイルミネーションを愛でられる場所があります。「丸の内ブリックスクエア」脇の「一号館広場」です。あたりは照度が低く、ほんのりと赤レンガの建物が照らされるさまに心安らぎます。この建物は英国の建築家ジョサイア・コンドルが設計し、1894年(明治27年)に建てられた「三菱一号館」を復元したもの。イルミネーション越しに洋館を眺めていると、ヨーロッパの広場でなごんでいるような感覚に浸れます。

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一号館広場と三菱一号館美術館

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一号館広場にはオープンテラスのあるカフェやバーも。瀟洒なインテリアに心ときめきます

彫刻作品も見どころ

丸の内仲通りの丸の内エリア(馬場先通りから永代橋通りにかけて)には歩道に彫刻作品が展示されています。「彫刻の森美術館」の協力によるもので、作品は定期的に入れ替えされるとか。これら彫刻作品の背景にイルミネーションがきらめくアングルで撮ると、ちょっと自慢したくなる記念写真になります。

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草間彌生『われは南瓜』

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三沢厚彦『Animal2012-01B』

東京駅「丸の内駅前広場」がオープン

3年以上前から工事が続いていた「丸の内駅前広場」が2017年12月7日に全面オープンしました。JR東京駅・丸の内中央口からこの広場、さらには皇居方向へつながる行幸通りは広々としていて開放感たっぷり。日没後にはこの広がりのなかで、駅舎が浮かびあがるさまに息を呑みます。この夜景は「丸の内イルミネーション」とともに「日本夜景遺産」に選ばれました。ゴージャスに輝くストリートで昂揚したあと、行幸通りに差しかかり、目に入ってくるのが控えめに照らし出される駅舎。「華」と「静」の対照的な光の演出が、まったく異なるタイプの絵画を鑑賞しているような感動を観る者にもたらしてくれます。

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行幸通りから見たJR東京駅「丸の内駅前広場」と駅舎のライトアップ。約1,200個ものLED照明器具の光量、配光、色温度を微細にコントロールして駅舎を照らし出しています。この写真は望遠レンズで撮影しました

和やかな景色

東京駅丸の内駅舎は歴史や文化を表現する「和やかな景色」をテーマにライトアップされているそうです。具体的には、低層部分を暖かな光で優しく照らし、赤レンガの存在感を際立たせ、壁面に並ぶ白い花崗岩の柱を意匠的なアクセントとしてほんのり照らす。駅舎の重厚さと品格が感じられ、繊細な陰影に魅了されます。

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行幸通りの端(大名小路との接点)から駅舎正面を撮影。駅舎内のホテル客室から漏れ出る暖かい灯りも美麗

スマホで撮る

行幸通りから大名小路を越え、東京駅丸の内駅前広場に近づき三脚を立てていると、警備員に注意されました。この広場は三脚の使用が禁じられているとのことでした。仕方なしに三脚をリュックに仕舞い、iPhone SEで撮ることにしました。丸の内中央口近くは駅舎内からの明るい照明が白い御影石舗装の広場に反射して、スマホの手持ち撮影でも手ブレせずにきれいな写真を撮ることができます。その作例が下の画像です。スマホのカメラは暗所では自動的に高感度の設定に切り替わり、粒子の荒れた画像になりがちですが、駅舎になるべく近づくことで、ブレ・荒れを抑えることができます。

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丸の内中央口近くからiPhoneで撮影。フラッシュは発光禁止に設定するのが夜景撮影の基本です

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iPhoneパノラマモードで撮影。駅舎から離れると明るさが足りず、画像は荒れてしまいます。

上から撮る

東京駅丸の内駅舎は屋根部分にも凝ったライトアップをしています。スレート屋根は直線を強調するように、南北2カ所のドーム屋根は形状がシンボリックに見えるように照らしているそうです。この光の演出を見下ろせるスポットが3ヵ所あります。商業施設「KITTE」6階の屋上庭園、「丸ビル」5階の展望テラス、そして「新丸ビル」7階の展望テラスです。「新丸ビル」の展望テラスはテーブルやベンチも設置された空間。東京駅丸の内駅舎との間に高い障害物がなく、3ヵ所のうちベストな夜景鑑賞・撮影スポットだと思います。

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「新丸ビル」7階の展望テラス。「丸ビル」と「KITTE」のテラス同様、三脚は使用禁止

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望遠レンズでテラス中央付近から、丸の内中央口を中心に撮影

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テラス北側から丸の内北口のドームを中心に、望遠レンズで撮影

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テラスの南側から丸の内南口と「KITTE」を撮影

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テラス北側からiPhoneのパノラマモードでも撮影。一昔前の高感度フィルム写真のような荒れた風合いがお気に入り

東京駅丸の内駅舎ライトアップ

期間・時間:通年 日没~21:00(消灯前、段階的に照度が落ちます)

HP: https://www.jreast.co.jp/press/2010/20100906.pdf(東京駅丸の内駅舎ライトアップについて)

http://www.tokyostationcity.com/learning/station_building/(丸の内駅舎の見どころ)

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ヤスヒロ・ワールド

東京佃島生まれ育ちの江戸っ子。旅行ガイドの編集者。
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